学資保険を解約する前に!解約返戻金や解約時のリスクと対処法
せっかく子どものためにと入った学資保険ですが、解約しようかどうしようか悩んでいませんか?
子どもが大学に入るまで、という長い期間には何が起こるかわかりません。
加入時には払えると思った保険料が、何らかの理由によって解約をしようかどうか悩む状況になっている方も少なくないと思います。
しかし、学資保険をもし解約したとき、これまで支払った保険料はどの程度戻ってくるのでしょうか?
よく、
「生命保険と違って途中解約してもほとんど戻ってくる」
「これまで支払った保険料よりも返ってくるお金は少なくなってしまう」
などといいますが、これってどれがほんとうなのでしょう?
もしほんとうに解約した場合、どのくらい損になるのかはあらかじめ知っておきたいですよね。解約することでどういったリスクがあるのか?また解約手続きはどのように行えばよいのか。解約前にできる対処法などについても解説してきます。
苦しい家計でもがんばって支払ったほうがいいのか、それともスパッと解約すべきなのか、こちらの記事を参考にしてみてください。
途中解約時の解約返戻金
途中解約の解約返戻金はいくらもらえる?
学資保険を途中解約した場合の解約返戻金はどのくらいになるのでしょうか。
学資保険は掛け捨ての生命保険と違い、確かに途中解約してもお金が返ってきます。
ただし、解約のタイミングによって戻ってくるお金には違いがあり、解約返戻金が払込保険料の合計額より少なくなる、いわゆる元本割れすることもあります。
なぜ支払った保険料が減ってしまうのか?預貯金の場合と違うのは、生命保険の場合、保険料の一部は
- 保険金の支払い
- 契約の締結や維持に必要な経費
- 医療保障(特約等ついている場合)
などに充てられます。そのため、それらを差し引いた残額が解約の際に払い戻されるというわけです。
解約のタイミングによって解約返戻金の額が違ってくるのはそのためなんですね。
しかし、多くの学資保険が満期まで支払っても100%程度の返戻率となっている現在、そこからさらに経費等を差し引くことを考えますと、解約返戻金は払込保険料の合計額よりも少なくなると思っておいたほうがいいかもしれません。とくに、契約後短期間で解約してしまったときの解約返戻金は、かなり少なくなると考えておきましょう。
解約返戻金は契約時の年齢や性別、保険期間のほか、もちろん各保険会社によっても違ってきます。契約時に渡される書類等にも書いてありますが、わからない場合は保険会社に直接確認してみましょう。
解約返戻金はいつ返金される?
解約返戻金は保険契約を解約してから受け取ることになります。
一般的に、解約書類等が保険会社や代理店が受領した日が解約日となりますので、口座振込の場合には入金まで数日~1週間程度かかると言われていますが、なかには10日ほどかかるところもあります。急ぎの場合、窓口での手続きでその場で現金払いが可能なところもあるようです。
全期前納の場合の解約返戻金は?
全期間の保険料をすべて払いこむ方法である全期前納払いの学資保険を途中で解約した場合はどうなるのでしょうか。
全期前納は一括で払い込んだ保険料を一旦保険会社が預かり、そのなかから年払いのように毎年保険料を支払うという支払い方法です。そのため実際のところ払込完了しているのは毎年分の保険料だけになります。
途中解約の際には今まで払い込んだ保険料から解約返戻金と、それ以降支払われる予定だった未納分保険料が返還してもらえます。
解約返戻金の計算方法は?
学資保険の解約返戻金がいくらになるのかは、前述のとおり契約の年数や契約者や被保険者などの条件によって違ってきます。
そのため契約時に渡される約款で確認するか、または保険会社に相談して現時点で解約した場合の返金額を算出してもらいましょう。
もしも新しく別の保険への乗り換えを考えているというのであれば、FPの方に計算してもらい、かけ続けたほうがいいのか、新たな保険を組み直したほうがいいのかなどの相談をしてみてもいいかもしれません。
【学資保険別】解約返戻金について
〈ニッセイ学資保険〉
・解約払戻金額は多くの場合、払込保険料の合計額よりも少ない金額となります。特に、ご契約の経過月数によっては、解約払戻金はまったくないか、あってもごくわずかです。
〈明治安田生命〉
・生命保険では、保険料の一部は保険金などのお支払いに、また他の一部は契約の締結や維持に必要な経費にあてられています。それらを除いた残額が解約の際に払い戻されます。このため、多くの場合、返戻金はお払込保険料の合計より少ない金額になります。
〈ソニー生命〉
Q. 解約したら、解約返戻金は支払われますか?
A. 解約日時点で、解約返戻金がある場合はお支払いいたします。保険種類によっては解約返戻金がない契約や、保険料をお支払いいただいている期間のみ解約返戻金がない契約があります。詳しくは担当者またはカスタマーセンターへお問い合わせください。
Q. 解約返戻金は、払った保険料と同じ金額ですか?
A. 解約返戻金は、お払い込みいただいた保険料の合計額とは異なります。保険種類や期間などによっても異なります。
Q. 契約期間が短いと解約返戻金がないのでしょうか?
A. ご契約後すぐに解約された場合、解約返戻金が少額、またはまったくない場合もございます。
〈JA共済 こども共済 学資応援隊〉
解約に際しては、組合の定める取扱いに基づき計算した金額を返れい金としてお支払いしますが、場合によってはお支払いできないことがあります。詳細は組合までお問い合わせください。
〈かんぽ生命 学資保険〉
現在の契約について解約または減額した場合に支払う返戻金額は、多くの場合、払い込んだ保険料の合計額より少ない金額となります。特に契約後、短期間で解約した場合は、返戻金がまったくないか、あってもごくわずかです。
※2018年5月現在の情報です。
学資保険解約時の7つのリスク
学資保険は解約したら後戻りできません。長い期間支払いを続けてきたもののどうしようもなくなって解約したのに、「こんなはずじゃなかった…」とあとでなりたくはありませんよね。
学資保険を解約する際にはどのようなリスクがあるのでしょうか。解約前に知っておきたい7つのリスクについて紹介します。
➀元本割れのリスク
前述のとおり、学資保険の解約には元本割れのリスクがあります。
2018年5月現在、満期まで支払いを続けても元本割れしない学資保険はそれほど多くありません。その返戻率も、18歳まで払い込んで104%程度とそれほど高くないのが現状です。
途中解約して経費等が差し引かれてしまえば、元本割れする可能性が非常に高くなります。
➁返戻金がそれほど多いわけではない
学資保険は前述のように現在返戻率がそれほど高くありませんし、保険会社各社の対応を見ても、途中解約は多くの場合払込保険料の総額よりも少なくなってしまうといいます。
学資保険を住宅ローンの頭金や返済など何かの資金に充てるために解約するという方もいらっしゃいますが、返戻金はそれほど多いわけではありません。解約したからといってそれほど足しにならない可能性もあるのです。
➂年払の場合未経過分保険料が返還されないことも
月払の場合には毎月の支払いがストップするだけですが、年払や半年払の場合にはどうなるのでしょうか。
たとえば、2月15日に年払の保険料の支払いがあったとして、4月25日に解約したとします。そうすると、残りの5月~1月までの9ヶ月分の未経過分保険料が無駄になってしまうんでしょうか?
実は、これは「いつ契約したか」によって違ってくるのです。
平成22年4月1日に「保険法」という新しい法律が施行されたのですが、この法律によって、払込方法が年払・半年払の場合、解約などで保険契約が消滅した際の未経過分の保険料が返還されるようになりました。
逆にいいますと、これ以前に学資保険の契約をした場合には、未経過分の保険料の返還はないということです。
該当の方は保険料の引き落とし直後の解約になりますと大きく損をすることになってしまいますので注意しましょう。
➃解約金を受け取ると税金がかかる場合も
解約返戻金を受け取るとなると、気になるのが税金と確定申告です。
〈50万円以上増えれば所得税の対象〉
学資保険を解約した際受け取る解約返戻金がそれまで支払った保険料の総額より多いとき、一時所得として所得税がかかります。一時所得には特別控除50万円がありますので、差額が50万円までなら所得は0円となり税金はかかりません。
現在売られている学資保険の返戻率は短期払込をしても110%いかない程度です。たとえば300万円の満期金の場合ですと、満期までの払込総額は273万円で差額は27万円です。これを途中解約するわけですから、多くの場合所得税の対象にはならないと思っていいでしょう。
〈贈与税になるケースも〉
気をつけたいのは贈与税です。一般的には契約者と保険料負担者、解約返戻金受取人は同一人物です。
しかし父親が保険料を支払って受取人が子どもや母親になっているケースなど、保険料を支払っている人と解約返戻金を受け取る人が同一人物でない場合、かたちとしてはお金をもらった、つまり贈与と同じ扱いになるため、贈与税がかかります。
贈与税は110万円の基礎控除がありますが、こちらは差額ではなく贈与を受けた額がそのまま課税対象となります。つまり解約返戻金が110万円を超えると税金が発生するということです。
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | – |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
例えば200万円の解約返戻金を受け取った場合、200万円から基礎控除110万円を引くと90万円になりますから、90万円の10%で9万円の贈与税がかかるというわけです。意外とかかることがわかると思います。
贈与税は年間に受けた贈与の総額に対しての課税になりますので、満期金としてもらった場合にも同様になります。
➄解約後の年齢によっては再加入できない
今は家計が苦しいから解約せざるを得ないけれど、家計にゆとりが出てきたら再加入すればいいやと考えている方もなかにはいらっしゃるかもしれません。しかし、学資保険は加入に年齢制限があります。
学資保険の加入年齢は保険会社によってさまざまです。エラー! ハイパーリンクの参照に誤りがあります。にも書いていますが、12歳まで加入可能なところもあればなかには0~3歳までしか入れないというところも。
また保険料は加入年齢によってかなり違ってきます。今の学資保険からより返戻率の高い学資保険へと乗り換えしたいと解約を考える方もいらっしゃるようですが、解約によって元本割れした金額以上に新しく加入する学資保険で取り戻せなければ乗り換える意味がありません。現在売られている学資保険は0歳で加入してかろうじて100%超える程度の返戻率です。1歳、2歳、3歳と年齢が高くなるにつれ返戻率はどんどん悪くなってしまいます。
年齢によっては再加入できない、また再加入しても損をするだけになりますので気をつけましょう。
➅学資保険じゃないとなかなかお金を貯められない方も
子どもの教育資金を貯める手段は、なにも学資保険だけに限りません。エラー! ハイパーリンクの参照に誤りがあります。にも書きましたが、いろいろな方法があります。銀行でコツコツ貯金をしていくのでもいいですし、実際、学資保険を解約して貯金ができるときにするというかたちで教育資金を貯めたという方もいらっしゃいます。
しかしなかにはなかなかお金が貯められない、貯蓄が苦手な方もいますよね。
貯めよう貯めようとは思っているのだけどついついいつも使ってしまう、なんてこと思い当たる方はいませんか?
解約したら教育資金はなんとか貯金で貯めていこう、と思っていても、うまくいきそうですか?
学資保険はお金を貯めるのが苦手な方にあった教育資金の準備方法です。学資保険じゃないとお金を貯められない、という方は今一度解約について考え直してみてもいいかもしれません。
➆契約者の万一の場合の保障がなくなってしまう
学資保険には子どもの教育資金のための貯蓄にプラスして、契約者が万が一亡くなった時に保険料払込免除と祝金や満期金は受け取ることのできる保障がついています。(学資保険によってはついていないものもあります。)
もしも契約者であるお父さん(お母さん)に万一のことがあった場合、収入が激減してしまったとしても子どもの教育資金だけはしっかり確保できる仕組みになっています。
学資保険を解約してしまえば、教育資金の貯蓄だけでなく、この保障もなくなってしまいます。
解約には以上のようなリスクがありますが、最大のリスクは18年後の教育資金の用意がなくなってしまうということではないでしょうか。学資保険に入っていてなんとか支払いを続けていればそのぶんだけは現金を用意することができます。100万円以上のまとまった現金は急には用意できません。
解約前にできる対処法は?
学資保険の解約に以上のような思わぬリスクがあることはおわかりいただけたかと思います。しかし、このままの支払いを続けるのは厳しい…そんなとき、解約前にできる対処法がいくつかありますのでご紹介します。
対処法1. 自動振替貸付制度
「支払いできなかったときに自動振替してくれる」
保険料の支払いができなかった場合に解約返戻金のなかから自動で保険料を振り替えて行なってくれる制度です。
この制度は保険契約時に契約者が拒否していなければ多くの場合自動的についてくるものになりますが、契約直後など解約返戻金が保険料を立て替えるほどに貯まっていない場合には行われません。
また、この制度は保険会社が貸付を行うという形になるため利子が発生します。
一時的な資金不足であればいいですが、自動振替貸付になった場合にはなるべく早い段階で対処していく必要があります。
対処法2. 契約者貸付制度
「保険をやめずにまとまったお金を用意する」
契約者貸付制度は、解約払戻金を担保に保険会社からお金を借りる制度です。
限度額は保険会社各商品によっても異なりますが、一般的には解約返戻金の70%~90%、申請から振り込みまでの期間は早いところで即日~1週間程度と言われています。こちらも貸付になりますので利子が発生します。借入後は引き続き保険料を支払いつつ、借りたお金が準備できた段階で組み戻すようなかたちです。
一時的に現金が必要な場合や短期的に保険料の支払いが難しいなどの理由で解約を検討している場合にはこの制度を利用することで解決できるかもしれません。
対処法3. 払い済み保険
「保険料の支払いを中止して保障を続ける」
保険料が支払えなくなった場合に、現在の学資保険を払い済み保険にしてしまうという手段もあります。払い済み保険は、これまで支払ってきた保険料を利用することで保険契約を継続し、将来満期金を受け取れるというものです。
保障内容と満期金はそれまで積立をした金額に応じて再計算して設定されます。保障額はそのぶん減りますし特約がついてる場合も消滅してしまいますが、保険料を今後支払うことなく契約を継続できるメリットがあります。
生命保険のなかでも終身保険や養老保険などに使われている制度です。
学資保険の払い済み保険ができない商品もあるので保険会社に確認してみましょう。
対処法4. 減額(一部解約)
「保険料の支払い額を抑える➀」
減額は契約した学資保険の一部を解約して保険料を下げるというものです。例えば、月々30,000円支払っていた保険料を15,000円にするようなイメージですね。
この場合、半分解約したような形になりますので、この時点までに貯まっている解約返戻金の半分を受け取ることができます。全部解約するよりは損が少ない方法です。
将来受け取れる保険金の額は減ってしまいますが、今より保険料を減らせばなんとか支払っていけるという場合におすすめです。
対処法5. 特約を外す
「保険料の支払い額を抑える➁」
学資保険に医療や育英年金など特約がついている場合、その部分は掛け捨てになります。主契約のみを残して特約を外すことが可能であれば、わずかかもしれませんが保険料の負担を少なくすることができます。
ただし、特約は一度解約してしまえばその保障機能は失われてしまいますので慎重に判断しましょう。
対処法6. 解約時期を遅らせる
「少しでも損失を抑える」
一時的に利用できる「貸付」や保険料を下げられる「減額」、以降保険料を支払わなくて済む「払済み保険」など解約するまえにできることはいろいろあります。
しかし、こうした対処法を検討してもやはり解約せざるをえないという結論に至った場合には、解約するタイミングを見計らうことで少しでも元本割れによる損を少なくすることを考えてみましょう。
経過年数が大きくなればなるほど返戻率は高くなっていきます。解約を検討する際は、契約時の約款などで戻る金額を確認してから手続きに入るようにしましょう。
学資保険の解約手続き
それでは実際に学資保険を解約する、と決めた場合、解約手続きはどのように進めたらいいのでしょうか。
解約手続きの方法
学資保険を解約する場合には、一般的に次の3通りの方法があります。
- 来店窓口
- 電話
- 担当者による訪問
保険会社の場合には、
- 保険会社(担当者、コールセンターなど)に連絡
- 手続き書類の郵送
- 手続き書類+必要書類を返送
という流れが多いようです。
解約時に必要な書類
解約時に必要な書類は各保険会社によって異なりますが、一般的には以下のようなものが必要となっています。
- 保険証券
- 印章
- 運転免許証(本人確認書類)
- 本人名義の銀行通帳
代理人は委任状が必要
基本的に解約手続きができるは契約者本人からの請求のみです。しかし、契約者がどうしても手続きできない場合、本人が代理人に手続きを委任することができるケースもあるようです。
その際には上記の必要書類のほか
- 委任状
- 代理人の運転免許証等
- 代理人の印章
などの書類が必要になります。かんぽ生命などは、委任の意思確認のため、代理人へ電話連絡等をする場合があるようです。
学資保険の解約理由
そもそも学資保険を解約するのにはどういった理由があるのでしょうか。
「保険料の支払いがキツイ」「保険の見直しをしたから」といった理由の方ももちろん多いですが、ほかにもこのようなことで解約に至る・解約を考える方がいるようです。
離婚
学資保険解約理由のひとつに、両親の離婚があります。
〈学資保険は財産分与の対象〉
離婚の際には財産分与がありますが、学資保険も財産分与の対象となります。その場合、学資保険を解約して解約返戻金を受け取り夫婦で分配することが考えられますが、途中解約は元本割れリスクがありますしこどものためにコツコツ積み立ててきた学資保険ですのでできれば続けたいですよね。
〈離婚後も学資保険を続けるリスク〉
ではもしも学資保険を継続するとして、学資保険の契約者(保険料を支払っている人)と子どもの親権とが別々になってしまうとどういうことになるのか。
例えば子どもの親権が母親にある場合です。父親が学資保険の契約者で払込期間満了まで保険料を支払い続け、満期金がおりたときに子どもの学費として渡してもらう、というように夫婦で合意しておいてその通りになればよいですが、こんなリスクがあります。
- 満期前に勝手に解約されてしまう
- 満期のときに元夫の行方が分からない
- 元夫が税金滞納で学資保険が差し押さえになってしまう
満期時には受け取り手続きに必要な書類等もありますし、離婚後も契約者と一定のつながりがないと難しいです。
〈契約者変更の手続きをする〉
こうしたリスクを避けるには、やはり離婚の時点で途中解約して財産分与してしまうか、契約者と受取人を子どもの親権を持つ側に変更することです。
子どもの将来の教育費のためですので、離婚手続き中に学資保険についてもしっかり相談しておきましょう。「離婚公正証書」に契約者変更と手続きに協力することなどの約束を記載するという対策もあります。
〈契約変更により支払いが困難になることも〉
しかし、契約者変更となりますと、離婚後はこれまでどおりの保険料の支払いを続けるのが難しくなることも考えられます。特に長期にわたって支払い期間が残っている場合には厳しいです。
そうした場合には一時的なお金の借入に「契約者貸付制度」を利用することや、今後の保険料の支払いを中止して保障を継続できる「払い済み保険」、また保険料の支払額を抑える「減額(一部解約)」などの対策を検討してみるといいかもしれません。
住宅ローン返済
〈住宅ローン返済をするなら学資保険は解約した方がいい?〉
学資保険の解約理由のひとつに、住宅ローンの頭金や繰り上げ返済に充てようと検討されている方がいらっしゃいます。
子どもの教育資金である学資保険と住宅ローン返済を並行して支払っていくよりは、金利が高い住宅ローンを早く返済するほうが、確かに総支払額で考えれば損がないのかもしれません。
しかしすでに学資保険を契約している場合や貯蓄があまりない場合には次のようなリスクも考えられます。
リスク1. 学資保険の途中解約は元本割れリスクがある
学資保険は2018年現在、返戻率が低くなっています。元本割れしていないものでも、100%をわずかに超える程度で返戻率がそれほど高いものはありません。途中解約は多くの場合、元本割れのリスクがあります。特に契約して間もない場合には、解約返戻金がまったくないものもあります。
リスク2. 大学入学までに教育資金が用意できない可能性も
学資保険があれば、将来子どもの教育資金として必要なときにお金を用意することができます。解約しても貯金をしてしっかり貯めていければいいですが、100万円以上のお金はすぐにはなかなか貯められません。
確かに住宅ローンのことを考えますと、早く支払ってしまったほうが余計な利息を支払わずに済んで得かもしれません。しかし、途中解約することで元本割れのリスクや必要なときに現金を用意できないというリスクがあることを考えますと、必ずしも住宅ローン返済に充てることのほうが得とも言い切れないのではないかと思います。
税金滞納
〈税金の滞納で学資保険が解約になることも!?〉
こんなことで学資保険が解約に!?と思うのが、税金の滞納です。実は貯蓄性の高い学資保険は、財産の一部として差し押さえの対象となることがあるのです。
〈どういった場合に差し押さえになる?〉
市民税や国民健康保険料の滞納が続きますと、督促通知などが送られてきます。その時点で役所に相談に行くなど支払いの意思をもって対応すれば、支払い期日を伸ばしてもらえたりする場合もあるのですが、そうした通知を無視し続けますと役所側が差し押さえに向けて動き出します。
〈差し押さえになるとどうなる?〉
学資保険が差し押さえ対象となった場合にはどうなるのか?といいますと、契約者にあった解約等の権利は役所へと移ります。実際に解約された場合は、解約返戻金が税金や健康保険料に充てられるようです。解約返戻金では滞納金に足りない場合には、他の財産が差し押さえられることになります。
〈学資保険の差し押さえを避ける傾向も?〉
最近では、滞納するのが悪いとはいえこどものための学資保険までむしりとるのはひどいというように声があがるなど学資保険の差し押さえについて慎重論も出ているようです。しかし、なくなったわけではなく滞納すればやはり差し押さえにはなるようです。
近年、税金の滞納をしてしまう方が増えているといいます。何もせずに無視していると、ほんとうに学資保険が解約されてしまいます。実際、あと少しで満期金がもらえたのに…という方もいらっしゃるようです。
長期間コツコツ支払い続けて来た学資保険が差し押さえにならないよう、税金は遅れずしっかり払い、もし支払えないときには役所にきちんと相談しにいくようにしましょう。
まとめ
学資保険の解約にはリスクがありますが、紹介したように解約する前に検討できる対処法もあります。
しかし、苦しいなか無理をして支払いを続けて家計が破綻してしまってもいけません。
解約を検討されている方は、教育資金の確保や解約による損をできるだけしないで済むような方法をまずは保険会社に相談するなどして考えてみましょう。