物やサービスとの交換に使われる手段が「お金」です。
欲しい物や旅行のため、結婚資金や子供の進学、老後の資金など、さまざまな形で「お金」を貯めている方も多いと思います。
お金を貯める方法は「貯金」呼ばれていて、他にも「預金」と呼ばれたり、「貯蓄」という言葉が使われたりします。
それぞれの言葉を何気なく使っていますが、厳密にいうと意味が異なっています。
貯金・預金・貯蓄の言葉の意味や違い、使い方を紹介します。
貯金とは?
「貯金」は一般的に家計で多く利用されている、代表的な金融資産です。
いわゆる「お金を貯める」方法の一つになります。
自宅で貯金箱に小銭を貯める方法も貯金ですし、金融機関に預け入れる意味にも使われます。
短期、中期の貯蓄方法として利用されることが多く、資金の保存や決済手段としても活用されます。
主に、ゆうちょ銀行、農協や漁協でのお金の預け入れに「貯金」という言葉が使われます。
預金とは?
「預金」の意味や方法は「貯金」と同様に「お金を貯める」方法になります。
主に、銀行、信金、信用組合などでのお金の預け入れに「預金」をいう言葉が使われます。
貯金と預金の法律的な区分
ゆうちょ銀行の「貯金」は、もともとは郵政民営化以前に、日本郵政公社が行っていたお金の受入れ事業のことでかつては「郵便貯金」と呼ばれていました。
金融機関の商品名として「貯金」や「預金」と名付けられている、事業の基本となる法律に「貯金」や「預金」という記載があるためです。
銀行法の第二章 第十条に、銀行の営むことができる業務として、「1.預金又は定期積金等の受入れ」との記載があります。この法律の記載をベースに、銀行は「預金」を扱うことができるのです。
厳密に言うと、ゆうちょ銀行も銀行法の管理下にあるので、法律上は「預金」と記載しなければなりませんが、民営化前の表記である「貯金」名を使用しています。
JAバンクは農業協同組合法により「貯金」業務を行い、信用金庫は信用金庫法により「預金」業務を行うことができるので、それぞれの金融商品の名前に使用しています。
金融機関別の法律区分
・銀行=銀行法で「預金」
・信用金庫=信用金庫法で「預金」
・信用組合=中小企業等協同組合法で「預金」
・労働金庫=労働金庫法で「預金」
・JAバンク=農業協同組合法で「貯金」
・JFマリンバンク=水産業協同組合法で「貯金」
貯金・預金のメリットやデメリット
貯金のメリットは、貯めたものがそのまま貯蓄になることです。
例えば、1万円を1年間貯金すると、12万円になります。
貯金箱の場合は取り出さない限りはお金が減りませんし、金融機関に預け入れた際は元本が保証されているので、確実にお金を貯めることが出来ます。
デメリットは、お金が増えないということです。
1990年頃には定期預金が6.0%という金利の時代がありましたが、2018年現在は0.01%程の金利しかつきません。
※定額貯金3年以上の適用利率
100万円を10年間預けた場合の比較
金利 6.0% = 元利合計金額(税引き後)1,630,186円
金利 0.02% = 元利合計金額(税引き後)1,001,594円
金利がいかに大切だったのかが分かりますね。
マイナス金利時代からは逃れられそうな状態ではありませんので、貯金だけでは元本よりも増えることがないのです。
貯蓄とは?
「貯蓄」とはGoogle辞典では「金銭などの財貨をたくわえること。また、その財貨。」と説明されています。
財貨とは、「金銭と品物。財物。」という意味があります。
つまり、貯蓄とは、お金を貯める他に、金・銀などの貴金属、株式や投資信託などの投資商品、不動産などの換金が可能な「金融資産」という意味があります。
預けているお金の保険制度
貯金している皆さんの資産を守るしくみを、金融商品のセーフティーネットといい、代表的なものに「預金保険制度」があります。
預金保険制度は、金融機関が破綻した場合に預金者のお金を保護してくれる制度です。
日本国内に本店がある銀行、信用金庫、信用組合などの金融機関に預け入れた預金が保護の対象になっています。
全額保護される預金の種類
当座預金などの決済用預金は、全額保護の対象となっています。
決済用預金は以下の要件を満たしている預金です。
1.無利息
2.預金者の要求にしたがって、いつでも引き出し可能な要求払い
3.引き落とし等もできる決済サービス用
それ以外の一般的な預金は、一つの金融機関ごとで預金者1人あたり、元本1,000万円までとその利息が保護されます。
預金補正制度の分類
保護の対象となる預金など | 保護の対象とならない預金など |
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○ 預貯金 ○ 定期積金 ○ 元本補填契約のある金銭信託 ○ 金融債(保護預り専用商品に限る) | × 外貨預金 × 譲渡性預金 × 元本補填契約のない金銭信託(ヒットなど) × 金融債(保護預り専用商品以外) |
まとめ 資産を貯める貯蓄が必要な時代
日本でお金を貯める・貯蓄するというと、自宅の金庫に保管するか、銀行などの金融機関で、預けておくだけという方が多いのが現状です。
(引用元:金融庁)
政府もiDeCOやNISAなどの税金優遇制度を整備して「貯金から投資へ」という流れを作ろうとしていますが、お金以外に資産を構築する「貯蓄」を行っている人はまだまだ少ないのが現実です。
日本は、日銀が2013年1月の金融政策決定会合で、2%のインフレ目標を定めています。
物価上昇率を安定的に+2%になることを目標に金融政策を実施していますが、まだ実現には至らず今後も継続目標として実行されることが予想されています。
未来はだれにも予想できませんが、インフレを推進している以上は、物価が上がることを想定しておくことも必要です。
仮に2%ずつ物価が上昇した場合は、預金として預けているお金も2%以上の金利をもらわなければ、資産としての価値が少しづつ減っていく事を意味しています。
これからの時代は、貯金だけを行っていてはお金の価値が相対的に下がってしまいます。
預金で持っている金融資産は、すべてを貯金するのではなく、株式や投資信託といった、お金が増える可能性のある金融商品も一定の割合で組み入れていくことが大切になります。