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少人数私募債とは?

金融用語集   129 Views

少人数私募債とは?

企業が事業資金を調達する手段のひとつに「社債」があります。その企業の信用を利用して資金を調達する手段で、一般的な株式とは異なる資金調達手段です。

期間を定めて一定の利子を付加したうえで返済する必要がありますが、希望した金額を株式より確実に調達しやすいというメリットがあります。

社債には大きく分けると「公募債」と「私募債」の2種類があります。

社債といえば、広い範囲から社債の購入の勧誘を行う公募債が一般的です。これに対して、ごく狭い範囲、しかも少人数を相手に勧誘を行うタイプを私募債といいます。

少人数私募債は、そのような私募債の中でもとくに規模と人数が少ないタイプとなります。一般的には募集人数が50人未満とされており、譲渡条件が設定されているケースが多いのが特徴です。

不特定多数に購入を勧誘する公募債の場合は、基本的に譲渡制限はなく、購入者は状況や利害関係を考慮して自由に売却・処分することができます。
これに対し少人数私募債は、このような譲渡に対して一定の制限条件が付けられているのが一般的です。
募集人数の少なさも合わせて、少人数私募債は「相手の顔が見える社債」という側面があります。

少人数私募債の特徴

公募債の場合、金商法開示規制という制限が設けられており、有価証券届出書や有価証券報告書などの書類の作成と提出が必要になります。
ところが少人数私募債には、このような制限がありません。
また社債では、通常発行の際に目論見書を作成する義務と行政庁への通知を行う義務があります。
一方、少人数私募債では、総額が1億円以下の場合このような通知義務も特に設けられていません。
なお1億円を終える場合には、譲渡制限などが行われていることを通知する必要があります。

一般的な少人数私募債の発行条件は、以下の4点です。

①法人であること

少人数私募債は会社組織でなければ発行できません。
そのため個人事業主は少人数私募債を発行できません。

②勧誘する対象者の人数が50名未満であること

一般的には勧誘者が50名未満、そのうえ私募債発行後も50名未満という規定があります。
社債は短期間に何度も発行できますが「6ヶ月以内に発行した社債のうち、利子と償還期限が同じ社債は同一のものとみなす」という規定があります。
つまり同一とみなされる6ヶ月以内に発行した少人数私募債の勧誘者の合計が50名未満でなければいけません。

③総額を1口の金額で割った口数が50未満であること

社債は「1口いくら」というように金額設定が行われます。
その1口が最低額となるのですが、社債を発行する場合は、社債総額と1口の金額を設定しなければいけません。
少人数私募債では、「社債総額÷1口の金額(最低額)」を50未満としなければいけません。

④譲渡制限を設けること

少人数私募債は発行後も50名未満でなければいけません。
そのため譲渡制限を設けて、社債所有者の分散を防ぐのが一般的です。

少人数私募債のメリットとデメリット

メリット

  • 金融機関等からの借入と違い、毎月返済する必要がない
  • 担保や保証人が不要
  • 償還期間を決定できる
  • 利率を自ら決定できる
  • 審査が不要
  • 経営意識が向上する
  • 社債購入者にとって魅力的な金融商品である
  • 金融機関からの評価・信頼を向上させることができる

デメリット

  • 一括で返済することが多いので、償還時の負担が大きい
  • 信用で発行しているので、結果をださなければ信用を失う
  • 募集人数が限られるため、多額の資金調達がしにくい
  • 勧誘者を説得するための詳細な事業計画が必要である

少人数私募債の発行流れ

①事業計画の策定

「資金がないので貸してほしい」といっても計画も提示しないで貸してくれる方はまずいません。
まずは詳細な事業計画書を作成し、勧誘者からの信用を得る必要があります。

②募集要項の策定

会社法において、少人数私募債の募集にあたり決定し勧誘者に告知しなければいけない事項が決められています。
これらの事項を満たした募集要項の決定・策定を行います。
ここでは償還期限や利率なども決定することになります。

③社債発行決議

少人数私募債の発行は、取締役会の決議事項にあたります。
取締役会がない会社の場合は、株主総会の決議事項となります。

④勧誘書類の作成

募集要項以外に、社債発行趣意書や、少人数私募債の説明文書などを作成します。
少人数私募債について知らない方に対してしっかりと説明できるようにしておかなくてはいけません。

⑤社債引受人の選定

少人数私募債は49名までしか勧誘できませんので、購入してくれそうな方をある程度絞る必要があります。

⑥社債引受人への勧誘

引受人を選定できれば、その方に対し勧誘を行います。
会社や経営者を信用してくれている方を勧誘するわけですから、一人ひとりに絞って説明するのが最も望ましいといえるでしょう。
人数が多い場合は「説明会」などを開催し、勧誘者にしっかりとアピールしましょう。

⑦申込の受付

勧誘者は募集要項や説明に納得したうえで、申込を決定します。
購入すると決定すれば、社債発行会社に社債申込証を提出します。

⑧社債引受人の審査

引受人の中には発行会社の内容をよく知らない方もおられるかもしれません。
将来のトラブルを回避する目的でも、引受人は慎重に審査しなければいけません。
社債を引き受けてくれることは、発行会社からは望ましいことなのですが、誰もが適正とは限りません。

⑨発行総額の決定

引受人の審査が完了し、社債購入予定者が決定すると、その人数も確定します。
つまり社債発行総額が決定します。

⑩募集決定通知書の作成

申込者に対して、募集決定通知書を作成し送付します。
決定金額を通知するとともに、払い込みを依頼する重要な書類です。

⑪払込金の受領

振込を含めて様々な入金方法が考えられますので、受領漏れのないようにしっかりと管理する必要があります。

⑫社債券の発行

入金確認を行い、間違いがなければ、社債券を発行します。

⑬社債原簿の作成

社債利息の支払いや、償還期限などを管理する社債原簿を作成し、しっかり管理していきましょう。

少人数私募債は、迅速に資金調達できる手段として、近年注目を集めています。一部の縁故者、あるいは確実に引き受けを行ってもらえる相手に限定することで、迅速にコストをかけることなく、必要な資金調達を行うことも可能です。利用を検討してみたい事業者は、発行までの流れをあらかじめしっかりと確認しておきましょう。

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若松 貴英

若松 貴英

保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士(中小企業主資産相談業務)・AFP(日本FP協会認定)/金融業務検定(法務上級)/銀行業務検定(法務2級・財務3級・税務3級)など。銀行勤務時は融資のスペシャリスト」(悪く言えば「融資しか知らない」)として勤務していました。そのため「借入」に対しる知識や経験には自信があります。

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