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借入金の仕訳について

 2018/02/01 借入   27,273 Views
 

銀行などの金融機関から資金を借入した際には、決算書を作成するためにも仕訳作業を行う必要があります。簿記に精通していない企業経営者は、仕訳についての認識も少なく、出入りの税理士などに任せっきりにしてしまうかもしれません。

しかし、借入金の仕訳をどのように行うのか知っておくことも経営者としては大切なことではないでしょうか。

借入金の仕訳は、その名の通り「借入金」という負債勘定に計上します。これは法人・個人とも同様です。

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短期借入金と長期借入金の仕訳

借入金は通常「短期借入金」「長期借入金」の2つに分けられます。会計処理の「1年基準(ワン・イヤー・ルール)」を適用し、次のように分類し処理が行われます。

短期借入金
決算日の翌日から1年以内に支払期限が到来する借入金

貸借対照表→負債の部→流動負債→短期借入金 に計上

長期借入金
決算日の翌日から1年を超えて支払期限が到来する借入金

貸借対照表→負債の部→固定負債→長期借入金 に計上

ただし個人事業主では、短期借入金と長期借入金に分けず、一括して借入金とし処理することが認められており、こちらのほうが経費処理も簡単に済みます。

青色申告の場合に、税務署から郵送されてくる「所得税青色申告決算書」においても、一括して「借入金」という勘定科目で処理されているケースも多くあります。

貸付金、借入金、差入保証金、受入保証金、当該企業の主目的以外の取引によって発生した未収金、未払金等の債権及び債務で、貸借対照表日の翌日から起算して一年以内に入金又は支払の期限が到来するものは、流動資産又は流動負債に属するものとし、入金又は支払の期限が一年をこえて到来するものは、投資その他の資産又は固定負債に属するものとする。企業会計原則注解

借入金利息の取り扱い

通常、借入金には利息(利子)が発生しますが、元本と利息は分けて処理しなければいけません。借入金の利息の会計処理には、返済時に支払った利息を「支払利息勘定」という費用勘定の借方に計上することになります。

なお利息(利子)の計算方法は以下の通りです。

利息(利子)=借入金額×年利率×借入日数÷365日

実際の仕訳方法

では具体例を挙げて借入金の仕訳方法を簡単に説明しましょう。

現金50万円を借入した(返済期日1年、年利率5.0%)

借方勘定 金額 貸方勘定 金額
現金 500,000 短期借入金 500,000

1年後、利息を合わせて借入した50万円を返済した

借方勘定 金額 貸方勘定 金額
短期借入金 500,000 現金 525,000
支払利息 25,000

事業主からの借入の注意点

中小企業では、事業主(社長や役員など)が会社の運転資金を自己資金(ポケットマネー)などから支払うケースも多いでしょう。この場合は、会計的には企業が事業主から資金を借入したということになり、借入金として処理します。

ただし場合によっては、借入金として処理を行ったこの資金が、事業主から企業への「贈与」として認定されてしまうこともあります。

そうなると収入(雑収入など)として課税対象となるおそれがあります。そうならないために、事業主が企業に資金を貸付する場合には、借用書(金銭消費貸借契約書)を作成し、文書として証拠を残しておきましょう。
また必ず企業の預金口座を通じて、資金を貸付するなどの対応も行うようにしましょう。

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ライター紹介 ライター一覧

若松 貴英

若松 貴英

保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士(中小企業主資産相談業務)・AFP(日本FP協会認定)/金融業務検定(法務上級)/銀行業務検定(法務2級・財務3級・税務3級)など。銀行勤務時は融資のスペシャリスト」(悪く言えば「融資しか知らない」)として勤務していました。そのため「借入」に対しる知識や経験には自信があります。