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資金繰りとは?資金ショートを引き起こさないための基礎知識を身に着けよう

銀行融資   178 Views

「資金繰り」と聞くと、何か倒産寸前の会社が銀行などから融資をお願いするというマイナスのイメージがあります。

しかし「資金繰り」とは、会社の資金の増減を管理して、資金が無くならないようにために調整することを意味します。一見順調に利益を挙げている会社でも、資金繰りに失敗してしまうと倒産の危機に陥ることもあります。

そのようにならないよう、経営者が最低限知っておくべき資金繰りについて考えてみましょう。

資金繰りとは?

資金繰り」とは、経費などの支払いを踏まえて、会社に入ってくる資金の流れをコントロールすることを指します。

ここでいう「資金」とは、現金・当座預金・有価証券など、すぐに支払いに使えるもので、すぐに支払いに使うことができない定期預金・貸付金・売掛金や、現金化に日数がかかる不動産などは「資金」には含まれまず、「資産」に該当します。

資金は時として会社にとっての血液や空気に例えられます。血液や空気の流れが止まってしまうと、会社は生きることができず、倒産してしまうことになります。

「資金繰り」とは、このようにならないよう会社の収入と支出を管理することを意味します。

資金と利益の違い

会社の経営者の中には「利益=資金」と思われている方も多いかもしれません。会社が利益を挙げて儲かっているのに、資金は不足してしまうという状況は十分にあり得ることです。

資金はすぐ支払うことができる現金や預金を指し、帳簿上の利益ではないことを理解しているでしょうか。会社が仕入・雇用・販促など活動を行う都度、増減するのが資金なのです。

会計上の利益は、現金を表しているわけではありません。計算上の利益と実際の現金にはずれが生じます。

例えば、4月の売上が発生したとしても、入金が翌々月の6月であれば、会計上、売上として計上されていても資金は増えません。逆に500万円の設備を購入しても、支払いが翌々月であれば資金は減少しません。

このように、利益と資金は一致しないことを認識することが大切なのです。

黒字でも安心できない!!

先ほどのように「利益=資金」ではないことを理解していないと、いわゆる「黒字倒産」という事態にもなりかねません。売上も増加、利益もきちんと計上しているのに手元資金が不足している状況も企業では十分にあり得ます。

もうおわかりでしょう。その理由は損益計算(利益)と現金収支(資金)が一致していないことにあります。

企業ビジネスでは、売掛・買掛・手形などの信用取引が存在しています。特に季節的要因が大きい業種、売掛金の回収機関と仕入や経費などの支払期間が大きく異なる企業、設備投資などが必要な会社などは、特に資金繰りに注意しておかなければいけません。

逆に、売上が下がったり利益が下がったりしたからといって、すぐに倒産の危機に直面するとも限りません。しかし、資金が一時的であっても不足=「資金ショート」すれば、取引先への支払いや従業員の給与の支払いができなくなり、さらには倒産の危機に直面してしまうことになります。

そのためにも日々の資金繰り管理は重要なのです。

資金繰り悪化の原因を見極める

なぜ資金繰りが悪化するのでしょう?その原因を突き止めないと資金不足はいつまでも解決できず、そのままでは倒産の危機に陥ることになります。

資金繰り悪化とは、いわゆる「会社の病気」です。「会社の資金=血液」が何らかの原因によりドロドロになってしまい流れが悪くなった結果、「資金不足=病気」になってしまうのです。初期の段階でなんらかの対策を講じなければ、さらに病気が悪化してしまいます。

病気には、必ず原因があります。その原因に対して正しい対処を行うことで、重度の病気にかかることを防ぐこともできます。

資金繰り悪化にも、必ず原因があります。一所懸命でまじめな経営者ほど、資金繰りの悪化にはいち早く気づくことができます。早めに気づくことはもちろん大切ですが、その後の対処が重要なのです。正しい対処を行わなければ、いつまでたっても問題が解決できません。

資金繰りの悪化に気づいた場合、まずは心を落ち着けてみましょう。そしてその原因を客観的に分析し、正しい対策を練るようにしましょう。

資金繰り悪化の原因は、主に以下の2つに分けることができます。自社の資金繰り悪化は、どちらの原因に該当するでしょうか?原因を正しく把握し、適切な対処を行うことで、資金繰り悪化という病気も完治することができます。

①企業の成長スピードが速く、資金需要に追い付かない

創業から浅い、成長過程の若い企業によく起こりうる状態です。売上自体はコンスタントに上がっているものの、売上を向上させるための先行投資費用(商品仕入代金や広告宣伝費など)を売上代金回収よりも先に支払う必要が多い企業は、資金不足に陥る危険性もあります。

せっかく成長気流にうまく乗っているのに、資金不足が企業の成長の妨げになるのは残念なことです。

このような状態では、上手に資金調達を行うことで企業の成長を進めることも可能です。資金調達には、様々な方法がありますので、自社の状況などに応じた最適な方法を検討するようにしましょう。

比較的時間的余裕がある場面では、「出資」を募ることもひとつの資金調達手段です。「会社」として経営している企業の場合、専門の出資ファンドに株式投資を募ることで、まとまった資金を確保することもできます。当然企業本体と事業の成長性を見込めなければ出資を受けることはできません。

しかし出資による資金調達は「返済義務」がありませんので、借金返済による業績の圧迫を考慮する必要がありません。ただし業績が軌道に乗ってくると、株主へ配当により利益還元を行う必要があります。また株価が上がった場合には、株主側が売却を行うこともあります。

株主出資を受けることができない場面では、やはり金融機関による借入の資金調達手段を考慮しなければいけません。借金ですので、返済義務が生じ、以後の業績への影響を考慮する必要があります。

ただし借入した資金は企業の「負債」として減税の対象とすることができ、出資のように株主への配当による利益還元の必要はありません。成長過程の企業、成長が見込まれる企業、業種ほど審査に合格できる可能性は高くなります。

一方、成長過程での資金不足では避けたほうがよい対処法もいくつか考えられます。せっかくの上昇気流の流れを遮らないような対処法を考えることが大切です。

仕入れの見直しや制限

成長過程での仕入れは「商品が枯渇しないこと」を一番に考えるべきです。無駄だと思える在庫でも、なんらかの役に立つかもしれません。成長過程では、往々にして在庫不足に陥ることもあります。そのような場面で、仕入れを見直したことで在庫が不足するという失敗は避けるべきです。

取引先に支払いを待ってもらう

成長過程にある段階ほど、取引先との信頼構築は重要です。この時期にはなるべく信用を落とさないように全力で尽くすことが大切です。支払いを先延ばしすることは、一番信用力を落とす行為ですので、絶対に避けるようにしましょう。商売は信用第一です。

②業績不振による資金不足

売れば売るほど赤字になる(安売りしすぎ)、それ以前にそもそも売れない状態が続いている状態は、業績不足による資金不足に陥る可能性も高くなります。

当面の営業継続にとっての資金調達と、根本的な解決策を同時に図る必要があります。まずは業績不振に陥った原因を追及し、解決策を検討するようにしましょう。

無駄の改善

第一に経営上の無駄を洗い出し、節約を徹底することを考えます。無駄な在庫商品の処分、換金も徹底するべきです。なかなか思い切って徹底できない場面もあるかもしれませんが、社員のリストラなど心を鬼にすることも求められます。

商品や販売価格の見直し

商品や販売価格が適正であるかどうかの検討も求められます。

現在の商品価格は、費用にあった適正な価格帯でしょうか。
仕入れ・整備・材料費・人件費などを補い、さらに利益を追求できる価格に設定されているでしょうか。

費用対効果にあった価格を改めて設定することで、資金繰りは改善されるかもしれません。

消費者は安い商品ほど買いたくなると考えがちです。しかし実際は値段が高いことで、消費者側が商品に対しての付加価値を植え付けることもあります。「本当によいもの」を好む消費者も多く、高い値段で販売することは決して悪い効果だけを生むものではありません。

当然単純に値段だけを上げても顧客は納得しません。高級感を見せるように店頭表示方法やパッケージを見直すなどの工夫も大切です。単純に「安い商品とはこんなにも違うのだ」と顧客に納得させることで、商品価値そのものが底上げされていきます。

営業力の向上

販売価格を見直した上で、目標の売上を達成するには、営業能力の向上が必須です。社員教育の見直しを図るとともに、社員全員で問題に取り組んでいく姿勢を磨いていきましょう。企業の団結力を生み出すことで、企業全体の体質改善にもつながります。

営業力の低下要因のひとつに、営業担当者本人の愛社精神や問題意識の欠如があります。これは営業担当者ひとりの問題ではありません。

本来営業担当者をサポートする営業事務や上司の関わりが薄弱であったり、経営者からの社員への感謝の気持ちが足りないことが、実は大きく影響するものなのです。

そこで経営者自身が、腹をくくるようにしましょう。場合によっては社員に頭を下げ、企業全体をひとつにまとめ、企業全体で問題に対処するという意識つけが大切なのです。

広告宣伝の見直し

広告宣伝費が経営を圧迫するケースも少なくありません。業績低迷の背景に、顧客に対して企業の良さが正しく伝えることができないという問題は考えられないでしょうか。心当たりがある場合は、宣伝方針も見直す必要があります。

最近ではそれほど費用をかけなくても、インターネットを利用して効率的に広告を掲示できる方法もあります。地域のホームページでは無料で広告バナーを貼れるコーナーを設けている自治体も存在しています。タウン誌で宣伝を行うなど、様々な方法がありますので、一度挑戦してみてはどうでしょうか。

一方、業績不振の状態で、金融機関からの安易な借入は危険が伴います。
借金を行うということは、返済義務を伴うということです。しかも金融機関からの借入は、利息を含めて返済しなければいけません。利息を含めた返済に対して、企業の体力が追いつかず、以後の経営を圧迫することは非常に危険です。金融機関からの借入は、当面の運転資金の確保にとどめ、無駄な借入は絶対に避けるようにしましょう。

どうしても借入が必要な場合は、金利の低い銀行借入や公的機関の制度融資を活用し、当面の時間稼ぎを行うようにしましょう。その間に企業体質の見直しを図り、以後の資金繰りの円滑化に備えることを目指します。

資金繰り表作成の意義

正確な資金繰りを把握するには、やはり「資金繰り表」を作成しておく必要があります。

「資金繰りなんてしっかり頭の中に入っているから、資金繰り表なんて面倒だし作成しなくてもいい」

このように思われる中小企業経営者や個人事業主もおられるかもしれません。しかしこれまで説明させていただいた資金繰りの役割を考えてみれば、やはり資金繰り表を作成しておくことの意義もおのずとお分かりになるでしょう。

資金繰り表の役割とは

資金繰り表を作成する意味には、以下の3点があります。

①将来の資金予測を行い。資金ショートを防ぐ

資金繰り表の一番の役割は、将来の資金ショートを防ぐことにあります。現在から近い将来にかけての手元資金に問題ないか、資金ショートという最悪の状態に陥らないかを事前につかんでおくことが、企業経営では重要なのです。

同時に以下の項目についての詳細な内容も把握することができます。

  • 資金金不足になる可能性
  • 売掛金の回収状況
  • 買掛金の支払状況
  • 借入金の調達、返済状況
  • 設備投資の予定

②資金予測と実績の確認

資金繰り表には、将来の予測にあわせて、過去の実績を記載するようにしましょう。それにより将来の予測と過去の実績を対比することができます。毎月の資金繰りの結果を検証することで、毎月の資金予測が正確であったかを検証できるとともに、資金予測の正確性を高めることもできます。

計画→結果→原因分析→対策→計画という資金管理によるサイクルを繰り返すことで、財務面のリスクを減らすことができ、安定した経営体制の基盤を構築することができるでしょう。

③金融機関への説明資料

資金不足が予想されると、資金調達を行う必要があります。資金調達方法にはいくつかありますが、一番多く用いられるのは金融機関からの融資です。

銀行などの金融機関に融資を依頼する場合には、「なぜ融資が必要なのか」を正確に説明することが大切です。そこで正確な資金繰り表に基づき資金の必要性を説明することで、金融機関側の理解を得ることができます。

しっかりした資金繰り表を作成しておけば、経営者の経営方針、経理担当者の計数管理能力などに好印象を与えることができ、審査面でも大きな効果を与えることができます。

資金繰り表はここが難しい

資金繰り表の重要性は認識していても、作成する要領がわからないという企業経営者や経理担当者も多いのではないでしょうか。「簿記」を勉強する機会は多いですが、資金繰り表について勉強する機会はなかなかないかもしれません。

「簿記」とはいわば「過去に起きたことを記録すること」です。
過去の実績を記録することですので、資料と知識さえあればそれほど難しくはありません。

一方「資金繰り表」には「未来の予測」も含まれます。
簿記の知識にあわせて、資金の流れ、企業の経営方針なども正確に把握しておく必要があります。

しかし「黒字倒産」という事態を防ぐためには、正確に資金繰り表を作成することが大切です。そのうえで、最低でも「3ヶ月先」の資金予測を立て、経営者や経理担当者の頭の中で「3ヶ月先」までの資金の流れをイメージできるようにすることが、経営上でも重要なことです。

なぜ「3ヶ月先」なのか?

なぜ「3ヶ月先」なのでしょうか?これは万が一、3か月後に資金が足りない(資金ショートに陥る)ことがわかっていれば、その間になんらかの対策をとることができるためです。

手元資金が不足する場合には、なんとかして資金調達を行わなければいけません。金融機関などから資金融資を受けるなどの資金調達には、時間が必要なケースもあります。書類を準備し、審査に合格する期間を考慮すると「最低でも3ヶ月先」の資金の流れを把握しておかなければいけません。

逆にいえば「3ヶ月」あれば比較的慌てることなく、なんらかの対策をとることができる期間ともいえます。

資金繰り表作成の注意とは?

経営場面では、時として高い数値目標を掲げることがあります。ただし資金予測については、逆に慎重な予測を行うことが大切です。つまり「収入は控えめに、支出は余裕をもって」予測を行うようにしましょう。

入金のタイミングはやや遅めに設定、逆に支出のタイミングはやや早めに設定するようにします。これにより余裕をもった資金繰りを立てることができます。

一番いけないのは「月末にあの売掛金が入ってくる予定だから、すぐこちらの支払いに充てれば大丈夫だろう」という楽観を持った予測です。資金予測については「〇〇だろう」という楽観的な予測は厳密、「〇〇かもしれない」という慎重論に基づく予測を行うようにしましょう。

資金繰り表を活かす

資金繰り表の作成には、経営体質の改善という効果もあります。資金繰り表において恒常的に資金不足が起きている場合は、必ずなんらかの理由が存在しているはずです。その理由を正確に把握して、改善することが経営体質の改善につながります。

  • 在庫過多・固定資産過剰
  • 売掛金の固定化(滞留債権化、不良債権化)
  • 売上の不足(量、単価等)
  • 借入金過大・借入金返済負担が多い(短期借入金が多い)

このような状況が資金繰り表からも見えてくるはずです。せっかく作成する資金繰り表です。検証と財務体質改善を繰り返し、財務に強い経営を目指しましょう。

まとめ

「勘定あって、銭足らず!!」

時として企業ビジネスの場面で使われている言葉です。いわゆる「黒字倒産」を防ぐには、日々の資金繰りに注力した経営が重要です。

常に資金状況を正確に把握し、将来の資金の出入りを予測して、資金不足に陥らないようにすることが企業の活動継続につながります。

どうしても問題が解決しない場合は、出入りの会計士や金融機関などに相談して、適切な対処法を共に考えてもらいましょう。

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若松 貴英

若松 貴英

保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士(中小企業主資産相談業務)・AFP(日本FP協会認定)/金融業務検定(法務上級)/銀行業務検定(法務2級・財務3級・税務3級)など。銀行勤務時は融資のスペシャリスト」(悪く言えば「融資しか知らない」)として勤務していました。そのため「借入」に対しる知識や経験には自信があります。

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