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資金調達にはどのような方法があるのか?最適な資金調達方法とは?

 2019/12/12 銀行融資   9,960 Views

会社が事業を開始、継続、拡大するのに必要不可欠なものが「事業資金」です。どのように「資金調達」を行うのかは、事業の生命線ともいえる永遠の課題です。そのため日々悩まれる事業主、経営者も多いでしょう。

最適な資金調達方法を見つけるには、どのような資金調達があるのかをまず知っておかなくてはいけません。そして資金調達方法は経済の多角化により、新たな手段が常に生まれている分野でもあります。常に最新の情報を入手しておく必要があります。

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適切な資金調達方法とは?

事業資金を調達する方法には様々なものがあります。会社や経営者の事情、業種や売上動向などによって様々に使い分けられます。

当然、どれか一つの調達方法に絞る必要はありません。以下のような項目を検討し、適切な方法を選択することが必要になってきます。

  • いくら必要なのか
  • いつまでに必要なのか
  • どのような目的で使うのか
  • どこから(誰から)調達するのか
  • どれだけの負担が必要か(金利など)

これらをよく検討し、また多くの情報を入手して、適切な資金調達方法を選択することが重要なのです。

資金調達方法は大きく3つに分かれる

では資金調達方法にはどのようなものがあるのでしょうか。主な方法は次の3種類に分けることができます。

アセット・ファイナンス 会社の「資産」を何らかの形で資金に変える
デッド・ファイナンス 誰かから借りる「負債」によって資金調達をする
エクイティ・ファイナンス 会社に投資をしてもらう「資本」によって資金調達をする

「資金調達」と聞くと、真っ先に「銀行融資」を思いつきますが、負債=借入以外にも、様々な方法があります。

アセット・ファイナンス

会社の持つ有形・無形の資産を売却し、資金を調達する方法です。

保有資産に信用力があれば、つまり換金能力があれば、会社自体の信用力に関わらず、低コストで資金を得られます。また、資産の売却は、保有する資産をオフバランス化(貸借対照表から切り離す)することにもなります。これによって、財務体質のスリム化が図られ、経営効率を高める効果もあります。

ただし、当然のことですが、保有資産に信用力、つまり購入者にとって「将来キャッシュを生み出せる」といった資産を保有していなければ、この方法で資金調達はできません。

アセット・ファイナスの主な内容は、以下の通りです。

①遊休資産を売却

不動産、有価証券、ゴルフ会員権など使っていない資産を売却する方法です。

②無駄な在庫処分

在庫は保有コストが発生する負債ともいえます。売却見込みで利益を生み出す適正な在庫であれば保有していても問題はありません。しかし過剰な在庫は管理コスト、保管コストを発生することになります。

場合によっては利益がでない状態=「たたき売り」しなければならないケースもあるでしょう。しかし利益が出る出ないにかかわらず、適正な在庫量を確保しておくことと資金調達の両方を実現できる方法として、無駄な在庫の処分は検討すべきです。

③ファクタリングによる資金調達

企業が持つ売掛債権を売却して資金調達を行うのが「ファクタリング」です。売掛先の信用力が高ければ買い取ってもらえますので、融資を受けるのが難しい企業でも利用できる可能性も高くあります。

ただし一定の手数料が必要で、信用力の低い売掛先の買取には高額の手数料が必要になることもあります。

デッド・ファイナンス

銀行借入や債権発行などの負債、すなわち「借金」によって、資金調達をする方法です。

他の方法に比較して、調達先=借入先が豊富で資金を得やすい方法だといえます。また、利息の支払は税務上の損金として扱われるので、税金を抑える効果があります。

ただし、元金返済に合わせて利息の支払も生じますので、将来のキャッシュフローが減少します。つまり借りた資金以上の負担が必要となります。また、借入が負債となりますので自己資本比率が下がることで、金融機関や取引先などからの信用を少なからず減少させることになります。

デッド・ファイナンスの主な内容は、以下の通りです。

①融資による資金調達

一番利用されている方法が「融資」でしょう、ただし一口に融資といっても民間銀行や政府系の銀行、自治体、信用金庫、ノンバンクのビジネスローンなど様々な金融機関が取り扱っています。当然金融機関ごとにその内容は異なっています。

ただ、どの金融機関の融資でも一定の審査があり、その審査を通過した場合だけ融資を受けることができます。審査基準は一般的には公開されていませんが、基本的には融資を希望する会社の返済能力、実績、社会的信頼などが評価項目となっています。

低金利の調達を目的とするなら、政府系の銀行がおすすめといえるでしょう。政府系の銀行は中小企業やベンチャー企業のための融資を行っており、実績がなくても審査を通過する可能性が高いうえに金利も低くなっているので資金調達の手段としてはかなり有効的です。

一方、審査通過率を求めるのであればノンバンクのビジネスローンなどが活用できるでしょう。銀行融資に比較して審査基準は緩めの先が多くなっています。

②自己資金・友人や家族からの借金

金融機関からの融資が難しいと感じる方が一番頼る方法が自己資金や友人・家族からの借金です。特に実績がない開業資金として用いられます。

融資と違って審査もなく、自己資金であれば返済もいらないため、ある意味一番使いやすい資金調達方法だといえます。ただし自己資金は自分に負担がかかり、友人や家族からの借金は返済を巡って人間関係が悪化することもありえますので、トラブルには十分注意しておきましょう。

③補助金・助成金による資金調達

国や自治体が行っている補助金・助成金も有効的な資金調達方法だといえます。基本的に補助金や助成金は返済の必要がないため、獲得することができれば返済を気にせず使うことができます。

しかし補助金は審査があり、特定の事業を完了させるまでは獲得できないものが多く、助成金は雇用などで一定の条件を満たしていなければ獲得することはできません。

エクイティ・ファイナンス

株式売却など出資を受けて資金調達をする方法です。

借金ではありませんので、原則として、調達した資金の返済義務が発生しません。また、自己資本が増強されるため、財務基盤が安定するという効果もあります。

ただし、株主に対して収益に応じた配当金を支払う義務があります。また出資者が増えることで、状況によっては会社の経営権が握られる可能性があります。第三者株主比率が増加し、会社の組織構成などにも影響が及んだ場合、経営の一貫性や安定性などが損なわれるといったリスクもあります。

エクイティ・ファイナンスの主な内容は、以下の通りです。

①第三者割当増資

新株を発行して増資を行う方法です。その名の通り第三者に株式を売却することで資金調達を行う手段です。

第三者割当増資を引き受けてもらうために、投資家にとってのメリット、会社の成長性や株価が上昇するといったこと説明する必要があります。ただし、第三者割当増資によって、経営者の出資比率が下がってしまうことになりますので、経営権を失わない程度に抑える必要もあるでしょう。

②エンジェル投資家・個人投資家からの出資

近年拡大している、ベンチャー企業に多い事業資金調達方法です。具体的には積極的にベンチャー企業に投資を行っているエンジェル投資家や個人投資家の協力を得て資金調達を行うというものです。非公開会社だと株式に譲渡制限がかかってしまうため、将来上場を目指している会社の経営者にとっては有効的な資金調達方法といえます。

またエンジェル投資家は元実業家や経営者など、経営に詳しい人間がほとんどです。そのため経営に関するアドバイスも得られます。ただ、経営に介入され過ぎると本来目指している経営ができなくなることがあるため、バランスを取ることが求められます。

③クラウドファンディングによる資金調達

こちらも近年注目されている資金調達方法です。クラウドファンディングとは、「ネット上で行われるカンパ」のようなものであり、善意でお金を出してもらうので返済する必要がありません。審査も金利もないため、上手くいけば負担なくすぐに調達することができます。

しかしクラウドファンディングで資金を調達するにはそれだけ多くの人がお金を提供したくなるような魅力的な事業・企業でなければなりません。またお金を提供してくれた人が喜ぶような特典を用意しておく必要もあります。

④M&Aによる資金調達

M&Aによる資金調達とは、資金を直接調達するというより、大手の企業に買収されることで経営基盤を強化し、事業資金を捻出しやすい状況を作るという側面があります。ただ、M&Aそれ自体に一定の資金が必要ですし、専門家の協力を得るのならなおさら負担が増えることになります。

まとめ

以上のように、資金調達には様々な方法があります。資金調達といえば、特に中小企業経営者は、銀行融資やノンバンクからの借入ぐらいしか検討しないことも多いでしょう。しかし実際には様々な方法があるのです。

また経済動向の多様化に伴い、新しい資金調達方法も登場しています。経営者としては、日々多くの情報を入手し、「食わず嫌い」を起こすことなくチャレンジしていく姿勢も大切でしょう。

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若松 貴英

若松 貴英

保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士(中小企業主資産相談業務)・AFP(日本FP協会認定)/金融業務検定(法務上級)/銀行業務検定(法務2級・財務3級・税務3級)など。銀行勤務時は融資のスペシャリスト」(悪く言えば「融資しか知らない」)として勤務していました。そのため「借入」に対しる知識や経験には自信があります。