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退職金にかかる税金は?計算方法を紹介

お金に関する豆知識   45 Views
退職金にどのくらいの税金がかかるのか不安な人もいるでしょう。覚えておきたいのは「勤続30年の人の退職金では1500万円まではまったく税金がかからない」ということです。ただし、退職して他の事業を始めようとする人は勤続30年以内というケースもあるので、退職金にかかる税金の仕組みを知っておく必要があります。

退職金に関する税法の知識まとめ

他の所得より優遇される

退職金は年金と並んで老後の生活設計に欠かせないものですし、長年の功労に報いるという意味合いから、他の所得よりも優遇されます。課税方式は「分離課税」という方式で、所得税といった他の種類の所得と合算せずに、分離して課税することになっています。

通常、税金は給与所得や一時所得、副業などによる事業所得や雑所得を「所得」として合算して計算します。これを総合課税と言います。分離課税というのは、給与所得などと分けて課税する方式のことで、たとえば土地や建物の譲渡による所得などがこれに当たります。

退職金もこういった分離課税のひとつとなっており、所得税などとは異なった税制として独立しています。退職金は長年の勤労に対する報奨的給与という意味合いがあり、一時的に支払われるものであることから、退職所得控除を設けるなど、税負担が軽くなるように配慮されています。

退職金にかかる税金がゼロになるケース

退職金については、一時金と年金の2つの制度がありますが、多くの会社では一時金として扱われます。退職一時金の平均金額は大卒・勤続35年以上の定年退職者で1567万円、勤続30年~34年で1457万円、勤続25年~29年で756万円となっています。

退職金は、長年勤め上げた人にとっては老後の生活を支える重要な資金です。なかには、退職金を含めて住宅ローンを組んでいる人もいるでしょう。そのため、所得税では「退職書所得控除」という制度が設けられ、税負担が軽くなっています。

この控除を受けるには、退職者が勤務先の会社に「退職所得の受給に関する申告書」という書類を提出することになっています。通常は退職時に会社から用紙を受け取って、それを書いて提出します。この書類を提出すると、退職所得控除が適用された状態で源泉徴収された退職金が支給されます。

勤続年数が長く、退職所得の受給に関する申告書を提出するときには、税金がかかることはレアケースで、ほとんどの場合で税金はかかりません。

所得税の対象となる退職所得は以下のような計算式で算出します。

・(退職金の金額-退職所得控除額)×2分の1=退職所得

要するに、退職所得控除額が退職金の金額と同じか、または上回っていれば、退職所得はゼロになります。

勤続年数と控除額

勤続年数 退職所得控除額
20年以下 40万円×勤続年数(最低80万円)
20年超 70万円×(勤続年数-20)+800万円

節目の年の控除額

勤続20年 800万円
勤続25年 1150万円
勤続30年 1500万円
勤続35年 1850万円
勤続40年 2200万円

たとえば、大卒・勤続35年以上の定年退職者の退職金の平均は1567万円です。

退職所得控除が1850万円認められるので、この場合は退職金に対して所得税がかかる心配はありません。

転職したときどうなる?

退職金は、勤務していた会社に制度さえあれば勤続年数に関わりなく支給されます。たとえば大卒で勤続年数が10年あれば、自己都合退職でも約122万円の退職金が支給されるというデータがあります。

ただし、制度は会社ごとに異なります。通常は1ヶ月の基本給×勤続年数×給付率という計算式で算出されるのが一般的です。

注意点
給付率として目安となるのは、勤続5年で自己都合退職なら36%、会社都合なら51%という割合です。勤続年数が10年未満のときには退職金が出ないという制度の会社もあるので注意しましょう。

退職金は給与所得とは分離して課税する方式となっており、退職所得控除は非常に大きく取ってあるので、実際には退職金に税金が課せられることは少ないと言っていいでしょう。ただし、これは会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合で、そうでないときには自分で転職後に確定申告する必要があります。

通常は、申告書を出しておけば転職した先の経理で処理してくれます。申告書を提出していない場合には、特に優遇されることもなく20.42%という所得税が天引きされてしまい、退職所得控除の制度の恩恵を受けられないことになります。申告書を提出しなかったときには、自分で確定申告をして、余分に納めた税金を還付してもらいましょう。

退職金にかかる税金を計算すると?

基本の計算式

退職金は退職所得と呼ばれる一時金で、定年退職などで職場を離れる場合や、役員に就く場合、退職金のある企業が倒産したときや解雇されたときの手当を受け取った場合も退職所得に分類されます。

仕事をしているときに支給される給与は退職所得とは別の所得とされており、税金の計算の仕方が変わるので注意しましょう。基本的に、退職金は税制上は優遇されており、あまり高額の税金を支払うことはありません。

退職所得の計算で注意したいのは、退職所得控除額という特別な控除が設けられている点です。

  • 勤続年数20年以下:40万円×勤続年数(この額が80万円未満のときには80万円)
  • 勤続年数20年超:800万円+70万円×(勤続年数-20年)

 

たとえば勤続年数が30年だった場合には以下のように計算されます。

・800万円+70万円×(30年-20年)=1500万円

控除額の計算をする場合には、勤続年数の数え方は端数を切り上げます。勤続年数が1年と1日であったとしても、1日を1年として計算するので勤続年数は2年となります。

計算式で算出された額が80万円に満たないときには控除額を80万円とすることができます。控除額が80万円を切るのは勤続年数が1年未満の人に多いケースですが、控除されないと勘違いする人も少なくありません。

最低でも80万円の控除は受けられることを覚えておきましょう。

実例で計算してみよう

1.勤続10年2ヶ月・退職金800万円

この場合の退職金について、控除を計算するにあたっては「勤続11年」として計算します。

勤続20年以下ですので、計算式は以下のようになります。

・40万円×11年=440万円

課税退職所得金額は以下のように計算されます。

・(800万円-440万円)×2分の1=180万円

課税退職所得金額は180万円となります。次に所得税額を計算しますが、「所得税率」と「控除額」を国税庁の所得税額表から確認する必要があります。

国税庁の平成30年分の所得税の税額表によると、年収800万円の場合の課税退職所得金額は180万円ですので、所得税率は5%、控除額は0円です。この所得税率をもとに計算すると、所得税額は以下のようになります。

・課税退職所得金額180万円×所得税率5%-控除額0円=9万円

さらに復興特別所得税を計算すると以下のようになります。

・基準所得税額9万円×2.1%=1890円

勤続10年2ヶ月で退職し、退職支給額が800万円のときに、所得税と復興特別所得税は併せて9万1890円となります。

2.勤続年数29年2ヶ月・退職金2300万円

退職所得税を計算するにあたって、勤続年数は切り上げですので30年に相当すると考えます。勤続年数からの計算式では「20年超」のケースを適用し、以下のように計算されます。

・800万円+70万円(30年-20年)=1500万円

課税退職所得金額は以下のように計算されます。

・(退職支給額2300万円-1500万円)×2分の1=400万円

所得税額を計算するために国税庁の税額表を参照すると、330万円~694.9万円にあたるため、税率20%、控除額42万7500円を適用します。これを所得税額に当てはめると以下のように計算されます。

・課税退職所得金額400万円×所得税率20%-控除額42万7500円=37万2500万円

・復興特別所得税:37万×2.1%=1万322円

このとき、所得税と復興特別所得税は併せて38万322円となります。

退職金の確定申告で還付があるケース

退職後に再就職しなかった

本来は退職金の手続きは源泉徴収で行うので、原則的には自分で確定申告する必要はありません。ただし、年の途中で退職して再就職しなかったときには、確定申告すると還付金が発生するケースがあります。

通常、退職金を含む収入は1年間で計上され、そこから控除額を差し引くことになっています。控除額の合計よりも収入が少ないときには、退職所得を再計算することができます。

年の途中で退職して再就職をしなかったケースとして、たとえば3月に退職すると1月で年度が変わるので、1月~3月まで3ヶ月分で計算することになります。そのため、3ヶ月分の給与に対して控除額が上回ると収入が「赤字」として計上され、還付金が受けられます。

控除
主な控除として、給与所得控除・配偶者控除・社会保険控除・基礎控除などがあります。他にも医療控除といった控除項目があり、金額が前後するため、控除が受けられる項目を確認しておきましょう。

3ヶ月分の給与が100万円で、たとえば給与所得控除は65万円、配偶者控除が38万円、社会保険料控除が25万円、基礎控除が38万円あるとします。

計算式に当てはめると、以下のようになります。

・所得収入100万円-(65万円+38万円+25万円+38万円)=-66万円

年間で66万円の赤字が出たと算出されます。確定申告を行えばおよそ3万円程度の還付金があると期待できます。控除額は国税庁のホームページに公開されています。具体的な控除額を知りたい人は、確認してみましょう。

再就職したが収入が少なかった

還付金は再就職しなかった場合だけでなく収入が少ないときにも発生する可能性があります。年の途中で退職して独立開業したケースなどです。収入が1年を通して少なかったときにも、所得税が還付されることがあります。

注意したいのは、所得税は前年の1月1日から12月31日までの収入に対して課税されるという点です。4月ではありません。申告の時期も決まっており、2月16日から3月15日までとなっています。会社で使う年度は4月から開始ですが、所得税ではそういった考え方はしないので注意しましょう。

たとえば、1月から3月までの収入が60万円で、4月から12月までの収入が80万円とすると、合計で年収は140万円となります。

このとき、給与所得控除65万円・配偶者控除38万円・社会保険料控除35万円・基礎控除38万円といった控除を受けることができるので、控除額の合計は176万円となります。収入から控除を差し引くと「-36万円」となるため、確定申告を行えば還付金が受け取れます。

ただし、同じ控除額176万円があっても収入が180万円のときには確定申告をしても還付されない可能性があります。他にも、退職所得の受給に関する申告書を提出していないときにも、確定申告によって還付されるケースがあります。

申告書を提出していなかった

退職所得の受給に関する申告書は、退職金を受け取る前に役所で入手して、会社に提出する必要があります。これを提出することで、確定申告をしなくても所得税率を通常よりも低い税率で計算してくれます。

提出していないときには、一律で20.24%の所得税率が源泉徴収されることになります。退職金が500万円だったとき、102万1000円が所得税および復興特別所得税として徴収されています。

退職所得の受給に関する申告書が未提出のときには、確定申告をすることによって、所得税率を20.42%よりも低く計算することができます。退職金にかかる税金の計算を正しく適用して、より有利な税率が適用となります。そのためには、退職所得の受給に関する申告書を提出したかどうかを確認しましょう。

提出していなければ確定申告を行います。外資系企業に勤めていた場合には、退職金などを源泉徴収されないケースがあるので、その場合にも確定申告で再計算する必要があります。

副業で赤字があるとき

退職した会社に退職の受給に関する申告書を提出しているときには、通常は確定申告は不要です。ただ、年度途中の退職や申告書が未提出のときに確定申告はしておくべきですが、それ以外にも「副業で赤字がある」ときに、確定申告を検討したほうが良いケースがあります。

事例
たとえば投資などを副業としていて、そこで赤字が出ているときに退職所得と相殺できることがあります。このときには確定申告することによって、還付金が戻ってくることがあります。

近年では自由な働き方が推奨されていることもあり、本業のサラリーマンの他に副業による事業所得がある人も増えています。その事業所得が赤字であるとき、「損益通算」という計算方法によって所得から赤字を差し引くことができます。

それでも赤字が残ってしまうとき、さらに退職所得からも差し引くことができることになっており、損益通算すると退職所得から源泉徴収されていた所得税が還付されます。

損益通算は赤字をどこから引くことができるかという順序があり、複雑な仕組みの制度です。不動産所得や事業所得の計算をするには専門知識が必要になることもあります。

退職所得の確定申告

1.必要書類

確定申告をするには、事前に記入時に必要な書類を揃えておきましょう。

  • 給与や退職金の源泉徴収票
  • 生命保険料などの控除証明書
  • 社会保険料の納付書

退職後に自分で納めた社会保険料の納付書は忘れずに用意しましょう。国民健康保険に加入し、介護保険料と併せて納付した保険料や、夫婦の国民年金保険料なども控除対象ですので、しっかりと準備しておきます。

確定申告の申告書は以下の2つです。

  1. 確定申告書様式B
  2. 申告書第三表

国税庁のホームページで用紙のフォーマットをダウンロードできます。

2.書き方

【確定申告書B】
退職所得の確定申告では、「申告書B」を使います。

申告書に記載するのは以下のような項目です

  • 氏名と住所
  • 収入金額等
  • 所得金額
  • 所得から差し引かれる金額(社会保険料や生命保険料など)
  • 税金の計算(控除できる特別控除など)
【申告書第三表】
退職所得がある場合の確定申告書の書き方で通常と違うのは、申告書第三表を書く必要がある点です。ここに記載するのは「分離課税」の申告です。退職金は分離課税するもののひとつですので、この第三表を使用します。

【申告書第三表に記入すべき項目】

  • 収入金額
  • 所得金額
  • 税金の計算
  • 退職所得に関する事項
ここで源泉徴収票の「支払金額」と「退職所得控除額」を記入します。源泉徴収票に記載されている数字を間違いのないように転記しましょう。記述例は国税庁のホームページで確認できます。

まとめ

退職金に課税されることは通常ありません。あったとしても、転職した場合には転職先の会計でやってくれますし、退職時に源泉徴収で清算されます。分離課税として優遇されており、大きな額を納税することはないでしょう。

再就職しなかった場合などでは、自分で確定申告をして還付金を受け取ることになる可能性があります。

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若松 貴英

若松 貴英

保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士(中小企業主資産相談業務)・AFP(日本FP協会認定)/金融業務検定(法務上級)/銀行業務検定(法務2級・財務3級・税務3級)など。銀行勤務時は融資のスペシャリスト」(悪く言えば「融資しか知らない」)として勤務していました。そのため「借入」に対しる知識や経験には自信があります。

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