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生活扶助とは?簡単にわかりやすく解説!

 2020/02/04 お金に関する豆知識   22,379 Views

生活保護といっても、実際には7つもの種類があります。小中学校に通う児童がいるときには教育扶助、賃貸物件に住んでいる人には住宅扶助が支給されます。

7つの生活保護のうち、衣食や光熱費、食費といった生活の基本となる部分に対して支給されるのが「生活扶助」で、生活保護の最も基本的な支給です。

生活扶助は、支給対象となる人の年齢や居住地などによって変動し、計算はかなり複雑です。

生活扶助とは

最低生活費が基準

生活保護の支給額は、基本的に「最低生活費」を基準にして算出します。そのため、毎月どの程度の額が支給されるのかは、まず自分の最低生活費を把握することが重要となります。

ところが、この最低生活費は居住地や世帯人数、年齢、持ち家の有無などによって金額が変わってくるため、計算は簡単ではありません。

生活扶助を算出するプロセスはおおざっぱに以下のようになります。

  1. 第1類(飲食費や被服費などの個人の出費)を計算する
  2. 世帯員数による逓減率(ていげんりつ)と掛ける
  3. 第2類(光熱費など家族で共通の部分)をプラスする
  4. 障害者や母子加算など該当するものがあればプラスする

2018年から計算式が変わっており、さらに2019年に変更されることが決まっており、正しく計算するには必ず役所に行って相談する必要があります。

生活扶助基準額は段階的に見直しされ、引き下げが実施されてますが、急激に引き下げられることがないよう調整されてます。そのため、計算式が複雑化しているという現状です。

計算式だけを掲げても、金額のイメージはなかなかつきにくいため、厚生労働省では「生活扶助基準額の事例」を発表しています。モデルケースとして確認しておきましょう。

世帯 東京都区部等 地方群部等
3人世帯(33歳、29歳、4歳) 158,900円 133,630円
高齢者単身世帯(68歳) 79,550円 65,500円
高齢者夫婦世帯(68歳、65歳) 120,410円 100,190円
母子世帯(30歳、4歳、2歳) 189,190円 161,890円

※平成30年10月時点

この金額に、住宅扶助や医療扶助といった各家庭ごとに必要な扶助がプラスされることになっています。生活保護ですので、「生活費の高い都市部で高くなる」「世帯人数が増えるほど高くなる」のが基本です。

生活保護の7つの扶助

生活保護には7つの種類があります。最低生活費は、これらの合計額を指します。収入がある場合には、その額を最低生活費から差し引いた額が支給されることになっています。

種類 支給方法 内容
生活扶助 金銭給付 生活保護の基本となる衣食や光熱費、日常生活費
住宅扶助 金銭給付 賃貸物件に住んでいる家賃
教育扶助 金銭給付 小中学校などの義務教育を受けるのに必要な費用
生業扶助 金銭給付 就労支度金や事業のための器具資材、技能習得の費用
医療扶助 現物給付 国民健康保険と同等の治療を受けるための現物支給
介護扶助 現物給付 要介護・要支援の認定がされた人
出産扶助 金銭給付 非保護者が出産するときの費用
葬祭扶助 金銭給付 葬儀を行う場合に支給される

生活扶助は、このうち最も基本的に必要とされる支援金です。食費や衣服費、光熱費の他、家具や家電などが故障したときの買い替え費用も生活扶助に含まれます。

家具や家電の費用は、最低限の生活を送るのに必要不可欠な物資を欠いていると認められる場合にのみ、臨時的に支給されます。通常は家具・家電の費用は生活扶助から買わなくてはならないので注意しましょう。

支給は毎月決められた支給日に生活保護費として現金で支給されます。世帯によっては生活扶助の他に教育扶助や住宅扶助も含まれるため、支給金額だけ見ても生活扶助費がいくらなのか分かりにくいでしょう。

詳しい内訳は、生活保護費と一緒に渡される支給金額決定通知書を確認しましょう。

生活扶助費の計算方法

3つの要素から計算する

生活扶助は、日常で最低限の生活を営むために支給される生活保護費です。そのため、一般的にはこの生活扶助が生活保護費であると考えても良いでしょう。

基準額の計算は多少ややこしいところがありますが、基本的には「第1類」「第2類」「加算額」の3つの要素から構成されています。

基準額を計算する3要素

要素 内容
生活扶助・第1類費 世帯それぞれの個人に支給される生活費。年齢によって支給額は異なる。
生活扶助・第2類費 世帯全体のために支給される生活費。家庭全員の電気代や水道代などを負担するための支給額。
加算額 身体障害者、母子家庭、妊婦などを対象に特別に加算して支給される金額。

生活扶助の費用を計算するために重要なのは本人が住んでいる場所です。生活保護を申請する場所を把握しましょう。

現在、住所がある人はその居住場所が所属している市区町村となります。ネットカフェを転々として暮らしているというケースでは、そのとき居る場所で構いません。

生活保護の費用はどこに住んでいるかによって支給額が変わってきます。東京都の23区は物価や地価が高いため、1級地として最低生活費も高めに設定されています。

一方でたとえば鳥取県の鳥取市以外に住んでいるときには3級地として最低生活費も低く設定されます。

首都圏、関西圏では1級地となるのは県庁所在地だけでなく周辺の都市も含みますが、基本的には県庁所在地は1級地、それ以外は2級地、人口の少ない町村部は3級地と考えてば良いでしょう。

生活扶助費・第1類

表はスライドしてご覧いただけます
年齢 1級地-1 1級地-2 2級地-1 2級地-2 3級地-1 3級地-2
0~2歳 26,660円 25,520円 24,100円 23,540円 22,490円 21,550円
3~5歳 29,970円 28,690円 27,090円 26,470円 25,290円 24,220円
6~11歳 34,390円 32,920円 31,090円 30,360円 29,010円 27,790円
12~19歳 39,660円 37,500円 35,510円 34,580円 33,040円 31,650円
20~40歳 38,430円 36,790円 34,740円 33,930円 32,420円 31,060円
41~59歳 39,360円 37,670円 35,570円 34,740円 33,210円 31,810円
60~69歳 38,990円 37,320円 35,230円 34,420円 32,890円 31,510円
70歳以上 33,830円 32,380円 30,580円 29,870円 28,540円 27,340円

これが基本中の基本となる額です。

世帯の個別の人それぞれに対して支給される額です。東京都の23区は1級地-1ですので、そこで暮らしている6歳の人には1ヶ月に3万4390円が支給され、その親が35歳と40歳であったときには7万6860円が支給されると計算できます。合計で11万1250円が生活扶助・第1類の支給額となります。

逓減率

さらに、生活扶助費・第1類に世帯人数に応じた「逓減率」を掛けることになっています。

逓減率とは、世帯人数が多い家族への支給額が多くなりすぎて、単身世帯に比較して有利になってしまうことを防ぐために、人数に応じて生活扶助費・第1類の金額から1人当たりの支給額を少し減らす計算率のことを言います。

世帯人数と逓減率

世帯人数 逓減率
1人 1.0倍
2人 0.885倍
3人 0.835倍
4人 0.7675倍
5人 0.714倍

1級地-2の世帯を考えてみます。北海道札幌市、宮城県仙台市、埼玉県所沢市、東京都青梅市、千葉県千葉市などが1級地-2です。1級地-2に単身で住んでいる30歳の場合、第1類の生活扶助額は3万6790円です。

同じ1級地-2に30歳の夫と妻、4歳の娘の3人で暮らしているとき、それぞれの第1類の生活扶助費の合計は10万2270円になりますが、3人世帯なので0.835倍の逓減率が適用されます。

そのため、合計額は8万5395円となります。このように、家族の人数が多くなるだけでかなり減らされるように感じられますが、さらに生活扶助費第・第2類で調整されることになっています。

生活扶助費・第2類

世帯人数 1級地-1 1級地-2 2級地-1 2級地-2 3級地-1 3級地-2
1人 40,800円 39,050円 36,880円 36,030円 34,420円 32,970円
2人 50,180円 48,030円 45,360円 44,310円 42,340円 40,550円
3人 59,170円 56,630円 53,480円 52,230円 49,920円 47,810円
4人 61,620円 58,970円 58,690円 54,390円 51,970円 49,780円
5人 65,690円 62,880円 59,370円 57,990円 55,420円 53,090円

1級地-2の世帯では、単身で住んでいる30歳の場合に、第1類と第2類の合計額は7万5840円となり、30歳の夫婦と4歳の娘の3人世帯では合計額は14万2025円となります。この程度が最低限の生活を営むための金額とされます。

アパートや賃貸住宅に住んでいるときには、家賃は住宅扶助として別途支給されますので、ここから家賃を支払う必要はありません。第1類と第2類は日々の食費や被服費、光熱費として使うものです。

日常の生活を送るのに必要な経費を出すための支給で、それ以外の急な出費に対しては、それに応じた支給が行われます。

加算額

さらに、身体障害者や母子家庭には生活扶助費とは別に加算を受けることが可能です。身体障害者は通常の生活を送るにも、障害を持っていない人よりも諸費用がかかりますし、母子家庭も夫婦のどちらかが在宅して子育てするよりもコストがかかります。

それを補填するための費用が加算額です。

対象者 1級地 2級地 3級地
身体障害者1級2級 26,310円 24,470円 22,630円
身体障害者3級 17,530円 16,310円 15,060円
母子世帯・児童1人 22,790円 21,200円 19,620円
母子世帯・児童2人 24,590円 22,890円 21,200円
3歳未満の児童の養育費 15,000円

その他、状況に応じて「妊産婦加算」「老齢加算」「在宅患者加算」「放射線障害者加算」などの加算を受けることができます。北海道や東北の寒い地域では、11月から3月にかけて冬季加算として光熱費を目的とした支給額が上乗せされます。

実際の生活保護の合計額は?

①住宅扶助

賃貸物件に住んでいる場合には、生活扶助から家賃を負担する必要はありません。生活扶助は食費や光熱費など、人間として命をつなぐために必要とされる費用に充てるお金で、家賃は生活扶助とは別に「住宅扶助」として支給されます。

ただ、この住宅扶助の金額には上限が設けられており、好きな住居に住めるというわけではありません。とはいっても、上限となる支給額以上の賃貸物件に住んでいる場合でも生活保護を受給することは可能です。通常は、住宅扶助費よりも高い家賃に住んでいる場合には福祉事務所から転居を指導されます。

この住宅扶助の家賃の上限金額も、住んでいる都道府県や級地、世帯人数によって定めれています。

地域別・1級地となる居住地での住宅扶助費

都道府県 世帯1人 世帯2人 世帯3人~5人 6人 7人以上
北海道 29,000円 35,000円 37,000円 41,000円 45,000円
埼玉 47,700円 57,000円 62,000円 67,000円 74,400円
千葉 46,000円 55,000円 59,800円 64,000円 71,800円
東京 53,700円 64,000円 69,800円 75,000円 83,800円
神奈川 41,000円 49,000円 53,000円 57,000円 64,000円
京都 40,000円 48,000円 52,000円 56,000円 62,000円
大阪 39,000円 47,000円 51,000円 55,000円 61,000円
兵庫 40,000円 48,000円 52,000円 56,000円 62,000円
広島 35,000円 42,000円 46,000円 49,000円 55,000円

北海道でも、たとえば札幌市などではさらに例外で住宅扶助の上限が高めに設定されます。仙台市、さいたま市、千葉市といった政令指定都市では住宅扶助費の上限は高くなります。その地域で暮らすのに、不足のない程度の住居を確保するために必要とされる金額が設定されています。

②教育扶助

生活扶助費とは別に、義務教育を受ける必要のある子供がいる世帯では、生活扶助や住宅扶助とは別に「教育扶助」として毎月一定の金額が支給されます。この基準額も最低生活費として計上されます。

基準額

基準額 小学校 2150円
中学校 4180円
学習支援費 小学校 2560円
中学校 4330円

基準額は鉛筆やノートなどの文房具、ハーモニカや書道道具といった学用品の購入、通学帽子、上履きといった通学のために支給されるものです。

学習支援費は教科書以外の教材や課外クラブ活動のために支給されるもので、生活保護を受けていない一般の世帯の子供と比べて不利な立場になることがないように追加支援の意味合いで支給されます。そのほか、正規の教科書や学校の給食費、通学交通費などは実費で支給されます。

良くドラマなどである「給食費の払えない子供」というのは、実際には生活保護家庭では考えられません。しっかりと実費支給されます。学校で子供が困るような事態にはならないので安心しましょう。

高等学校等就学費

高等学校への就学は義務教育ではありませんが、今は高校に行くくらいは当たり前という世の中です。ほとんどの就職口では「高卒以上」が最低の学歴となっていることも多く、義務教育以上ではありますが、高等学校の生徒に対する就学費も支給されます。

基本額 5300円
学習支援費 5010円

基本額・学習支援費の意味合いは義務教育の場合と変わりません。この他にも授業料や入学料、教科書代、通学交通費などは実費で支給されます。

③実際の生活保護の支給額事例

生活保護は対象者が住んでいる地域によっても異なりますし、年齢や世帯人数によってもまったく違ってきます。計算も複雑ですし、一見して分かりにくいものです。実際の例を見てみることでイメージが沸くかもしれません。

東京都・単身

東京都に一人暮らししている40歳の人を例に取ると以下のようになります。

世帯構成 単身者・40歳
住所 東京都練馬区
世帯人数 1人
住居 賃貸アパート(家賃5万円)

この世帯の場合、まず居住地の級地は「1級地-1」ですので、生活扶助の金額は第1類・3万8430円と第2類・4万800円の合計で7万9230円となります。その他の加算はありません。住居は賃貸ですので住宅扶助の対象となります。

東京都の1級地ですので、上限は5万3700円です。そのため、家賃は全額が支給されます。支給額は家賃を併せて12万9230円となります。実際には約8万円で食費から光熱費、被服費などの日々の暮らしを支える費用を出していくので、生活は厳しいものとなることが推測されます。

北海道・家族4人

世帯構成 父親:52歳・母親:44歳・娘:14歳・娘:9歳
住所 北海道旭川市
世帯人数 4人
住居 賃貸アパート(家賃4万円)

この世帯の場合、居住地の級地は「2級地-1」ですので、それぞれの生活扶助の第1類の金額は父親:3万5570円・母親:3万5570円・娘1人目:3万5410円・娘2人目:3万1090円となって合計で13万7640円となります。

ただし、世帯人数が4人ですので逓減率の「0.7675倍」が適用されて、第1類の合計額は10万5638円となります。

生活扶助の第2類は「2級地-1」で4人世帯ですので5万5690円となります。3歳未満の児童はいませんし、母子家庭でもないのでその他の加算はありません。

住宅扶助では旭川市で3人~5人世帯という分類になるので、上限支給額は3万6000円です。現状で暮らしている物件の家賃は4万円ですので、生活保護で支給されるのは3万6000円までになります。そのため、残りは生活扶助から負担するか、転居指導を受けて引っ越しすることになります。

小学校に通う娘が1人いて、中学校に通う娘も1人いるので、それぞれ教育扶助を受けることができます。基準額と学習支援費を併せて1万3220円です。

こういった扶助をすべて合計すると最低生活費は21万548円となります。特に他の手当や収入がなければ、この全額が支給されます。

④収入があれば受給額は減る

生活扶助を含む生活保護は、憲法で守られている「最低限度の文化的な生活」を送るために税金から支給されるものですので、必要以上に多くの額を受給することは認められません。そのため、生活保護以外に年金や給与所得がある場合では、その金額分は収入認定として生活保護費の支給額が減らされることになっています。

世帯の最低生活費から収入を差し引いた額が支給額となります。最低生活費が10万円の世帯で、障害年金の支給が5万円あるとき、生活扶助を含む生活保護費の支給額は単純計算で5万円となります。すべての収入の合計額が最低生活費になるように支給額が調整されることになっています。

働いてもその分だけ支給額が減るのであれば、働いたら損するのではないかと考えるかもしれませんが、労働による収入では収入認定の際に一定額の控除を受けることができるので、結果的には働いたほうが得する仕組みになっています。

最低生活費が15万円となっている世帯で、世帯に属する誰かがアルバイトをしており、その収入が5万円あるとすると、この場合には1万8000円の控除を受けることができるので、収入は3万2000円分しか認定されません。

収入認定が3万2000円なので、生活保護の支給額は11万8000円となります。アルバイトの5万円を足すと合計16万8000円となり、働かなかった場合の支給額15万円に比べて1万8000円手取りが多くなります。

生活保護は文化的な最低限度の暮らしを守るという意味合いだけでなく、生活保護者の自立した更生を促すという意味合いもあります。働けばその分だけ得するようにしておき、徐々に生活保護なしでも暮らせるようにしてほしいというのが、生活保護の本来的な役割です。

まとめ

生活扶助は居住地や世帯人数などによって大きく変わってきます。そのため、計算するための専用のサイトを見るか、各自治体の福祉事務所に行って計算してもらうほうが良いでしょう。

どのような状況にあっても、命を守るための最後の手段として活用できるよう設計されています。

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若松 貴英

若松 貴英

保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士(中小企業主資産相談業務)・AFP(日本FP協会認定)/金融業務検定(法務上級)/銀行業務検定(法務2級・財務3級・税務3級)など。銀行勤務時は融資のスペシャリスト」(悪く言えば「融資しか知らない」)として勤務していました。そのため「借入」に対しる知識や経験には自信があります。

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