1. 借入DX
  2. 銀行融資
  3. 銀行員を説得してリスケ交渉に成功するコツ

銀行員を説得してリスケ交渉に成功するコツ

 2018/02/01 銀行融資   2,160 Views

銀行などの金融機関から借入を行うと、毎月決まった金額を返済しなければいけません。しかし事業を行っていく中では、突如として思いもかけないこともあります。

  • 取引先の倒産
  • 競合先との競争激化
  • 自然災害
  • 経営者や担当者の病気、怪我

このような事情で借入の返済が困難になることもあります。そんなときに借入先の金融機関に申し込むのが「リスケジュール(リスケ)」です。

しかし、いざリスケを申し込みたいと考えてみても、銀行との交渉に自信が持てないという経営者もたくさんおられます。銀行員はいわゆる「数字のプロ」。数字の苦手な中小企業経営者が難敵と考えるのも無理はないでしょう。

しかし銀行員を説得するには、いくつかのコツがあります。そのコツをつかんで交渉に臨めば、十分リスケ交渉にも成功するはずです。

交渉事は「相手の思考や行動パターンをリサーチして、相手が納得するような方法を模索すること」が基本です。これを踏まえて、リスケ交渉に対してのポイントを考えてみましょう。

リスケジュール(リスケ)とは?

英語で「Reschedule(リスケジュール)」はスケジュールを立て直すことを意味します。ここから金融機関に対する「リスケジュール(リスケ)」とは「融資の返済条件の延期や変更を申し込む手続き」を指します。既存の返済計画を見直して、返済額の減額、返済期間の延長、据え置き期間の設置などの便宜を図ってもらうように依頼する行為のことを指します。

「事業を立て直す期間、返済を猶予してほしい」と申し込むことです。銀行などの金融機関は、「猶予期間を与える=リスケジュールさせる」ことにより、倒産による貸し倒れを防ぎ、融資したお金を回収することを目的としています。

金融機関はリスケを嫌がる!!

とはいってもすべてのリスケ要求に銀行が応じるとは限りません。むしろリスケを嫌がる金融機関が多いのが実情です。銀行がリスケを嫌がるにはある理由があります。

銀行では融資取引先に対して以下のような格付けと、その格付けに応じて貸倒引当金を計上しています。

  • 正常先:0.2%
  • 要注意先:5.0%
  • 要管理先:20.0%~60.0%
  • 破綻懸念先:60.0%~100.0%
  • 実質破綻先:100.0%
  • 破綻先:100.0%

貸倒引当率は銀行により異なりますが、概ね以上の割合になっています。返済に問題ない先=「正常先」で貸倒引当率は低いのですが、正常先でも「リスケ」を実行して格付けがランクダウンすると、貸倒引当率も高くなります。

つまりそれだげ銀行は貸倒引当金を積み立てる必要があり、その分だけ、利益が食われてしまうことになります。

収益に悪影響を与えるリスクを嫌がる理由はこうした金融機関の事情があります。

銀行が一番気にすることとは?

融資を行う銀行が一番気にすることとは何でしょうか?

それは「貸したお金がきちんと返済されるかどうか」です。

貸したお金が返済されなければ、銀行はまるまる損を発生させてしまいます。逆に返済を一時的に猶予したとしても、最終的に返済が履行されればいいのです。

つまり経営改善計画書、資金繰り予定表などをもとに、「最終的にはきちんと返済します」ということを伝える必要があります。この点を踏まえてリスケを申し込む際に伝えるべき情報は、主に以下の3点となります。

①返済が不可能になった理由

  • 過剰な設備投資
  • 収益の悪化
  • 売掛金の焦げ付き

このような資金繰りが悪化した理由を示し、リスケの必要性を訴えます。

②返済を再開するための対策

  • 収益アップの対策
  • 経費削減
  • 今後どのような対策を立て、返済を行っていくのかを伝えます。

③返済の見通し

各種対策により、今後どのように返済していくのかを示します。

これら3つの情報は、銀行がリスケの可否を判断するために必要不可欠な情報です。各種資料を元に、正確に伝えるようにしましょう。

銀行員は数字には強い

銀行に対してリスケを申し込むと、銀行内部で「稟議書」に基づき審査が行われます。担当部署に稟議書を回付し、承認を受けて初めてリスケを認められたことになります。

そのため、経営再建策を丁寧に書面にまとめ、信用できる数字を備えておけば、稟議書の作成だけでなく、リスケ交渉もスムーズに進みます。

ここで大切なのは「銀行員は数字に強い」という事実です。

提出された書類の数字に整合性や実現性が無い場合、かなり厳しく指摘されることになります。

逆に業界に関する知識や商品・サービスに対する特殊情報は、あまり精通していない銀行員も多くいますので、これらの情報はわかりやすく説明できるようにしておきましょう。

リスケ交渉をうまく進めるための2つのポイント

リスケとは、金融機関に対する「お願い」です。先の「嫌がる事情」を勘案しても必ず交渉がスムーズに進むとは限りません。リスケ交渉を成功させるポイントは主に次の2点です。

①金融機関側にメリットがあることを明確にする

リスケはあくまでも「お願い」ですので、金融機関側にメリットがなければ応じる理由はありません。

  • 現状のキャッシュフローで支払える返済額の妥当性
  • 遊休資産の売却や役員報酬の削減といった現状の資金繰り改善策はやりつくしていること
  • 今後、どのように対策していくのか?収益改善の具体的なプラン
  • 今後の借入金の返済計画

これらの点を補足資料を提示しつつ明確に説明することが重要です。それにより「リスケをしてくれれば、リスケをしない場合よりも融資額を回収できる可能性が高くなります。」ということを伝えるのです。

資料の作成では税理士や会計士などにに相談することも時には必要でしょう。ただし、自分が経営する会社の経営改善案を人任せにするのは問題です。あくまで相談にとどめ、経営者自身が主体的に経営改善計画に取り組む姿勢を示しましょう。

②他の金融機関にも依頼していることを伝える

複数の金融機関から借入がある場合は、1つの金融機関にだけリスケを依頼するのは不公平です。万が一、発覚すると提案している金融機関にすれば「よそはどうなの、なんでうちだけなの」と不信感を抱かれてしまいます。

すべての金融機関に応分の負担を求めていることを強調する姿勢も大切です。

リスケのメリット

①一定期間、返済猶予を受けることができる

リスケは、貸付条件の変更依頼のことを意味しており、一般的には「返済を一定期間待ってもらう」形の貸付条件の変更を行います。

  • 元金返済額の見直し(0もしくは一定金額の減額)
  • 利息のみの返済

このような返済条件の変更を半年~1年程度行うのが一般的です。一方、利息の支払いを0とするリスケはまずありません。とはいっても、金融機関の融資返済では、元本返済の割合の方が圧倒的に大きいケースがほとんどで、返済額の8割~9割は元本返済となっています。つまり、リスケをすることで、毎月の返済額は、1割以下に抑えられることも可能になります。

②倒産の危険を防ぐ

借入の返済が1割以下になれば、多くの中小企業では、経常利益率が大幅に改善するでしょう。それにより赤字から黒字に転換することも可能です。

この状態で資金繰りの改善手法を実行し、正常な返済をしても、問題ないように立て直すことで、倒産という最悪の事態を逃れることができます。

リスケのデメリット

①新規融資が困難になる

リスケを実行することで、銀行などでは先に説明した通り、格付けがランクダウンします。正常先から要注意先以下に格付けが低下すると、新規融資を受けることはまず不可能になります。

そもそも「返済が困難になったからリスケを実行した」のですから、新規融資を行っても正常に返済できるわけがありません。

リスケにより経営再建が可能になり、正常の返済に戻れば新規融資を受けることも可能でしょう。ただしリスケ期間中は、まず新規融資を受けることはできません。

②保証協会保証融資では他行からの新規融資も困難になる

ある銀行で「保証協会保証付き融資」のリスケを実行すると、当然ですが保証協会にもその情報が入ります。保証協会も、一度リスケを行うと、経営が再建され正常返済に戻らない間は、保証協会の保証審査は合格できません。

つまり、保証協会の保証付き融資でリスケを行うと、他行で保証協会保証付きの新規融資の申込をしても、保証協会の審査に通らないので、融資審査が通らないことになります。

③経営者の精神的負担

リスケの申込には、金融機関に何度も足を運んでお願いをしなければいけません。きちんとした資料を作成し、頭を下げ、交渉を根気よく続ける必要があります。その精神的プレッシャーは想像するのも恐ろしいものです。

またリスケには「期間」が設けられます。定められた「期間内」に経営再建を行い、正常に返済できる体制を整なければいけません。万が一再建できなければ「再交渉」を行う必要もあります。

初回のリスケには寛容であった金融機関も「リスケの更新」にはシビアに対応してくる可能性が高いといえます。なぜなら、経営者側から提示された経営改善計画により認可された「リスケを更新」するということは「経営改善計画」が未達であることを意味しているからです。

「一度、猶予を与えても、計画通りに実行できないなら、更新させても同じ事になる」と考えるのも当然かもしれません。

このような事態とならないための経営再建に対するプレッシャーも相当のものでしょう。

まとめ

資金繰りが悪化したときに、リスケは考えなければならない手段の一つです。とはいってもリスケが最終手段ではありません。なんらかの対策で資金繰りが改善する方法は無いかを、自社の状況をしっかり把握したうえで検討することも必要です。

しかし改善策がとれない事情では、恐れずにリスケを申し込むことも求められます。改善策がないと判断した以上は、早急にリスケを実行すれば資金繰りも大幅に改善できる可能性もあります。

そしてリスケに応じてくれた金融機関の信頼を裏切らないためにも、早急に事業の立て直しを図るようにしましょう。

\ SNSでシェアしよう! /

借入DXの注目記事を受け取ろう

NO IMAGE

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

借入DXの人気記事をお届けします。

  • 気に入ったらブックマーク! このエントリーをはてなブックマークに追加
  • フォローしよう!

ライター紹介 ライター一覧

若松 貴英

若松 貴英

保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士(中小企業主資産相談業務)・AFP(日本FP協会認定)/金融業務検定(法務上級)/銀行業務検定(法務2級・財務3級・税務3級)など。銀行勤務時は融資のスペシャリスト」(悪く言えば「融資しか知らない」)として勤務していました。そのため「借入」に対しる知識や経験には自信があります。

関連記事

  • 証書貸付契約とは?返済方法と返済期間について

  • 融資を受けるための必要書類とは?

  • 金融機関の自己査定とは

  • 信用保証協会とは?わかりやすく解説

  • 個人や法人が銀行借入するための条件とは?

  • 資金繰りとは?資金ショートを引き起こさないための基礎知識を身に着けよう