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プロパー融資とは?プロパー融資のメリットデメリット

 2018/02/20 銀行融資   3,402 Views

銀行が事業主に対して融資を行う場合、主に「信用保証付き融資」「プロパー融資」の2種類に分けられます。

「信用保証付き融資」とは地元の信用保証協会が保証を行う融資のことです。万が一貸した資金が回収不能になった場合には、信用保証協会が貸した相手側に代わって銀行に返済を行います。つまり銀行にとっては回収不能に対するリスクを抑えることができます。

一方「プロパー融資」とは信用保証協会の保証がつかない融資のことです。直接銀行からお金を借りる融資のことですが、その仕組みがあまりわからないという事業主も多いのではないでしょうか?

プロパー融資とは?

そもその「PROPER(プロパー)」とは「本来の、固有の」という意味の他「適切な、正しい」という意味もあります。後者を取ると「プロパー融資=適切な融資、正しい融資」となります。

「適切な融資とは何なの?」と思われるかもしれません。ここでは前者を取って「プロパー融資=本来の融資」と考えておきましょう。

結論からいえば、「プロパー融資」とは「保証協会の保証が付かない融資」のことです。つまり銀行が直接、銀行の100%責任で行う融資のことを指します。

万が一貸したお金が回収できない場合には、その分まるまる銀行の損失となってしまいます。

ちなみに銀行では「プロパー融資」という名称の商品はありません。「銀行が保証協会を通じないで直接行う融資の総称を「プロパー融資」と呼んでいます。

プロパー融資のメリットは?信用保証付き融資との違い

信用保証付き融資と比較したプロパー融資のメリットは、主に次の2点です。

①保証料がかからない

通常信用保証付き融資では、信用保証協会に対して借入額に応じて保証料を支払う必要があります。一般的な制度融資では借入額1,000万円に対して5万円~20万円程度の保証料が発生します。当然借入額が多くなれば、保証料も高くなりますのでその分の負担を考慮しなければいけません。

一方、プロパー融資には、このような保証料は発生しませんので、借入に対する費用負担を抑えることができます。

②借入上限金額がない

信用保証付き融資には、1企業に対する貸付上限額が設けられています。通常、無担保融資で8,000万円、有担保融資で2億8,000万円という貸付上限以上の融資を受けることはできません。どれだけ返済能力が高くてもこの上限を超える借入はできません。

一方、プロパー融資には、このような貸付上限がありません。銀行がOKさえ出せばいくらでも借入することができます。特にに大型設備資金などでは信用保証付き融資では対応できないこともあるでしょうから、プロパー融資を検討する必要も出てきます。

プロパー融資 信用保証付き融資
保証料 保証料なし 1,000万に対して5~20万
貸付上限額 貸付上限なし 無担保融資で8,000万円
有担保融資で2億8,000万円

プロパー融資のデメリットは厳しい審査基準

一方、信用保証付き融資に比較したプロパー融資の一番のデメリットは「審査が厳しい」という点です。

信用保証付き融資では、保証協会の保証さえ取り付けることができれば、まず銀行の審査に対しても問題ありません。

一方、プロパー融資では回収不能の損失が、そのまま銀行の損失につながることになりますので、審査基準が厳しくなるのは止むをえないところです。そのため審査に合格するには、事前に念密な準備が欠かせません。

逆にいえば審査にさえ合格できれば、その後のメリットが大きくなるのがプロパー融資といえます。

一般的に中小企業では銀行側から「プロパー融資で対応しましょう」とはなかなか提案されません。プロパー融資を銀行側から打診されるということは、それだけ返済能力を備えている問題ない企業であると判断されていることになります。

強固な信頼のもとで「優良企業」のお墨付きを頂いているといえるのではないでしょうか。

プロパー融資の金利は銀行内部の信用格付により決定される

信用保証付き融資の場合には、1%~2%代の固定金利を利用することができます。ただし保証料負担を考えなくてはいけませんので、実質的には「金利+1%以上」の負担が発生することになります。

一方、プロパー融資の場合には、保証料は発生しません。しかし適用される金利は、融資先の内容によって異なってきます。

一般的には「信用格付」と呼ばれている、銀行内部の企業格付により適用金利が決定されます。格付が高い企業ほど低金利になり、条件次第では信用保証付き融資よりも低金利で借入することも可能です。

逆に格付が悪ければ金利が高くなる傾向になるとともに、財務内容その他に問題がある場合には、審査そのものに合格できることも難しくなります。

「保証料の負担がもったいないからプロパー融資で……」

このように考える企業経営者も多いかもしれませんが、自社の状況と信用格付を含む審査基準を考慮しておくことが大切です。

プロパー融資の審査で重要視されるのは決算内容

プロパー融資は100%銀行の責任で行います。回収不能となった場合には、全額が銀行の損失となりますので、審査は慎重に行われます。

プロパー融資を受けたいと考えるのであれば、自社の状況をよく把握したうえできちんと銀行側に説明できるように、十分対策を講じる必要があります。

プロパー融資の審査で重要視されるのは自社の決算内容です。審査ではまず提出された決算資料をチェックすることから始めます。

最近の銀行では事業融資でもスコアリングが導入されており、決算資料の各数字や各比率(自己資本比率・流動比率など)を点数化、つまりスコアリング化した「定量分析」を行うようになっています。

ただし提出された決算資料をそのまま、額面通りに審査するわけではありません。
以下の内容などを審査担当者自らがチェックし、マイナス要素として加味することになります。

  • 売掛金の中に回収不能な不良債権はないか
  • 在庫は適正水準か、つまり水増ししていないか
  • 無駄な固定資産はないか(壊れて使用不能の機械などはないか)
  • 開発費や権利金などの繰り延べ資産はどれくらいか
  • 出資金や長期貸付金などの長期前払費用はどれくらいか
  • 代表者役員などへの貸付金はないか

これらは「資産のうち換金性の乏しいものは資産として認められない」として決算書の資産の部から差し引かれることになります。その結果「自己資本比率」が圧縮される要因となります。

逆にプラス材料として挙げられるのは固定負債の部に計上されている「長期の役員借入金」ぐらいです。つまり「役員に対して返済しない(返済できない・する必要のない)借入金は負債として考慮する必要はない」という考えからです。

以上は主に決算資料のうち「貸借対照表」に関する事項です。

では「損益計算書」ではどうでしょうか?

当然、税引前当期利益がプラスであることが前提で、その他の要素としては次のような項目を判断します。

減価償却費は適切か?

減価償却費は返済原資としてプラスとしてみることができます。ただし最近の審査傾向ではあくまで「税引前当期利益」が「プラス」である補てんとしてとらえられる傾向があります。もちろん「減価償却不足」などはマイナス要素として判断されます。

また、近年では「再投資が必要な減価償却費はキャッシュフローとしてプラスとは認められない」という傾向もあります。例えばパチンコ業などのパチンコ台の減価償却費は、新台への入替・購入資金などで「再投資」が必要な金額としてキャッシュフローのプラスとは認められないという考えです。業種により減価償却費の取扱も異なってきます。

役員報酬は適切か?

役員報酬も返済原資としてプラスとしてみることができます。いざという場合に、役員報酬の削減も可能だろう、という理由からです。ただしあくまで「適正な額」が前提で、役員の最低限の生活費を考えて充当可能金額を推測します。

ここでは役員家族の構成なども判断材料となります。もちろん生活費などを考慮して不足と判断されるとマイナス要素となります。

このような(実質の内容を加味した)スコアリング判定に合わせて

  • 経営者の人柄や熱意
  • 経営戦略や経営計画の内容
  • 後継者の有無

なども審査の判断材料となることもあります。これらはスコアリングの「定量分析」に対して「定性分析」と呼ばれる評価項目です。

銀行の審査担当者も人の子ですので、このような内容が審査に影響を与えないとも限りません。特に地元の地方銀行などでは、このような主観的判断を尊重する傾向にあります。もちろん一番大切なことは自社の返済能力であることには違いありませんが。

プロパー融資を受けやすくするには「定量分析」をよくする

プロパー融資の審査では「定量分析」と「定性分析」の2点が大きなポイントです。ただし「定性分析」をすぐに改善するのは困難です。そこでプロパー融資を受けやすくするには、まず「定量分析」を改善する必要があります。信用格付の評価にもつながる「定量分析」の改善には、どのようなことに取り組むべきでしょうか?

収益性の改善

単純なことですが、会社の利益を改善すれば評価は上昇します。企業努力による収益性の改善が見込める項目には、以下のようなものがあります。

  • 売上単価の引き上げ
  • 在庫ロスの削減
  • 役員報酬の見直し
  • 不要な広告費の削減

財務体質の改善

長期的な視点からは、財務体質の改善も大切です。次のような項目を検討して財務体質を改善していくことが重要です。

  • 売掛金や受取手形などの売上債権の回収サイトを短くできる取引先がないかどうか
  • 短期借入金を長期借入金へ変更できないか
  • 銀行からの借入金を役員借入金で借り換えができないか

銀行との信頼関係も重要

プロパー融資を受けやすくするには、「銀行との信頼関係」も大きなポイントです。あまり重要視されない項目ですが、「この会社が大丈夫」と判断するのは数字だけでなく、最後は人間が判断するものなのです。

考えてみてください。これまで取引が全くない事業主が、いきなり窓口で「プロパー融資をお願いします」と言われても、銀行担当者は不信感を抱くだけです。「なぜうちに来たの?」「よそで借入できないのでは?」と入口の段階で失敗です。

以下のポイントを押さえて、銀行との信頼関係を構築していきましょう。

定期的に銀行へ顔を出す

まずは窓口に顔を出すことから始めましょう。預金口座取引を開始した後は、それほど大きな用がなくても定期的に銀行へ顔を出し、担当者や課長や支店長と話をするようにしましょう。これは自分が銀行から「信頼できる人間」と思ってもらうための第一歩です。

プロパー融資をスムーズに受けるには、人間関係も重要なのです。よく知らない経営者にお金を貸すのと、よく知っている人にお金を貸すのではどちらが安心できるかは、言うまでもありません。

銀行の依頼には積極的に協力する

企業と銀行は持ちつ持たれつの関係であることが理想です。銀行員は事業融資以外にも預金や積立のノルマなどを負っていますので、できるだけ協力してあげましょう。

銀行がリスクを負うのがプロパー融資です。日頃からこのようなことに協力し、悪く言えば銀行に恩を売っておくこと、で銀行もプロパー融資の依頼を断りにくくなります。

メインバンクを絞る

メインバンクというのは、取引先企業の資金繰りに対してある程度の責任を負っています。「メインバンクの意地」という言葉でプロパー融資に応じる側面もあります。

そのため、メインバンクを絞っておくことも効果的です。プロパー融資の審査の際には、「メインバンクとして〇〇年付き合っているので支援したい」という文言が上司や審査本部に対して有効なのです。

銀行はメインバンクの責任としてリスクを負って融資をしなければならないという社会的な責任を負っています。複数の銀行と取引をしている企業に対しては、銀行も責任が曖昧になるため「他行から借りればよい」というスタンスになってしまうこともあります。

「複数の銀行と浮気しない」ことを頭に入れておきましょう。

プロパー融資に担保は必要?

プロパー融資の交渉では「担保」が有効な場面もあります。銀行が100%リスクを請け負うプロパー融資は、担保を提供できれば銀行側も安心です。

担保にも様々な種類がありますが、一番用いられるのが「不動産」です。特に高額融資になるほど不動産担保があれば、融資を受けやすくなります。当然自社の利益などからの返済能力が一番のポイントですが、リスクを補てんする意味での担保の有無も、審査に大きく影響を与えます。

また「人的担保」つまり「保証人」を立てることができるかどうかも、プロパー融資の大きなポイントです。一般的には「法人の代表者」は「保証人」として要求されますが、資産背景のある「第三者保証人」を立てることができれば、審査でも有利に働きます。

バブル経済崩壊以後、銀行のプロパー融資の審査では「担保神話」は崩壊しました。それでもなお、担保が有るか無いかでは審査に大きな影響を与えています。

プロパー融資が返済不能になったらどうする?

融資を受けた後は、きちんと返済していくことが重要です。それでも何等かの事情で返済ができない場面もあり得ます。万が一プロパー融資が返済できない状況になった場合、どうすればいいのでしょう。

まずは速やかに銀行に相談することが重要です。できるだけ早期に(できれば返済が遅延する前に)銀行担当者に相談しましょう。状況次第では、期限延長や元金据置などの条件変更(リスケ)に応じてくれます。

当然、相談時にはその状況をきちんと説明できるようにしておかなくてはいけません。返済できなくなった事情を丁寧に説明し、今後どのような対策を取るのか、どのように返済を履行していくのかを、資料を添えて説明しなければいけません。

一番最悪なのは、返済できないのにも関わらず放置することです。事情の説明や、以後の対策が無い状況では銀行も待ってはくれません。担保や資産の差押えといった法的処置で回収を講じなければいけません。こうなると、事業継続も困難になります。

せっかく自社を信頼してプロパー融資を行った銀行を裏切ることのないようにしておきましょう。

プロパー融資は難しい?

通常、創業したての企業が銀行からプロパー融資を引き出すのはまず不可能です。銀行としても何の実績のない企業に対して、リスクを承知で貸し出すようなことはまずありません。

一般的に、創業から2~3年たった企業でないとプロパー融資は難しいとされています。その期間は信用保証付き融資で、銀行との信頼関係を築いていくことが大切です。その後、プロパー融資に切り替えるという流れを覚えておきましょう。

だからといって銀行との信頼関係が出来上がっても、いきなり高額融資を申込んでもスムーズにはいかないかもしれません。信用保証付き融資の実績を積んだ後は、少額のプロパー融資でさらに銀行との絆を築いていきましょう。

銀行にとって融資しやすいといえるのは短期間で少額の融資です。季節的な需要やつなぎ的な融資資金は、資金使途がある程度明確で回収できる可能性も高いと判断されます。

まずはこのような少額融資で実績を積んでおき、いざという場合の資金需要に対応できるように、銀行との関係を深いものとしておくようにしましょう。

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若松 貴英

若松 貴英

保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士(中小企業主資産相談業務)・AFP(日本FP協会認定)/金融業務検定(法務上級)/銀行業務検定(法務2級・財務3級・税務3級)など。銀行勤務時は融資のスペシャリスト」(悪く言えば「融資しか知らない」)として勤務していました。そのため「借入」に対しる知識や経験には自信があります。

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