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多重債務とはどういう状態?特徴と原因・借金苦の解決方法

お金に関する豆知識   992 Views

 

多重債務とは、複数の業者から借金をしていて、返済が困難になっている状況を言います。一般的にはお金にだらしない人がなるイメージがありますが、実際には低収入や収入の減少によって生活苦に陥ることから発生することが多く、一概に「ダメ人間」がなるものとは言えません。

軽いきっかけから、あっという間に多重債務に陥るというのは珍しくありません。誰にでも起こり得る状態です。

 

多重債務の定義とメカニズム

多重債務の定義

「多重債務」というと、通常は「複数の業者から借入」があり、「その返済が困難になっている」状態を指します。JICC(日本信用情報機構)の発表によると、貸金業者2社以上から借入をしている債務者は、全国に352万人も存在しています。

かといって、2社から借りていたら即「多重債務者」と呼ぶのかは解釈によります。

この352万人のうち、自己破産を申し立てる人は年間およそ6万人ほどいます。2003年には24万件以上もの自己破産申立がありました。2010年に貸金業法が改正されて減少を続けていますが、近年では徐々に上昇傾向にあります。

「多重債務」と呼べるのは、すでにある借金の返済に充てるために、他の金融業者から借入する行為を繰り返しており、利息の支払がかさんで借金が雪だるま式に増え続ける状態です。

消費者金融市場は1990年から一気に拡大して業者同士の競争を招き、消費者の借入を容易にして1人当たりの借入額は増大し、過度の借金依存世帯を生みました。

金融業者によって個人の返済能力を超えた過剰貸付が行われたことに主な原因がありますが、消費者のほうにも安易な借入依存の体質があったことも一因と言われています。

多重債務状態に陥ると、個人独力での解決は極めて困難となります。借金の返済のために他の業者から借りて、さらにまた返済のための借金をするという「自転車操業状態」は、いずれ破綻します。

利息が払いきれなくなる時期がやってきて、まったくどうしようもなくなります。弁護士を介して債務整理をしたり、裁判所による自己破産手続きを受けたりするケースは非常に多くあります。早期の問題の発見と解決が大事です。

多重債務のメカニズム

多重債務に陥る原因は、決して本人がだらしないとか、お金にルーズというだけではありません。自ら好んで多重債務になる人は皆無でしょう。誰にでも当てはまってしまうような落とし穴があり、そこにはまって抜け出せなくなるのが、多重債務の怖いところです。

たとえば、月収が25万円の会社員がいるとします。ぜい沢はできませんが、普通に生活できるレベルの収入です。この人が病気や怪我など不幸に見舞われたり、営業成績を上げようとして接待費を自腹で出していたりして、毎月5万円程度の余計な支出があると、何かしら対処を考え始めます。

生活費を補うためにクレジットカードのキャッシングを利用し始めましたが、給料の額は相変わらずであるため、すぐに限度額に達してしまいます。今度は消費者金融からも借りるようになります。消費者金融は継続的に利用していると限度額が上がるシステムになっています。

この人も、限度額が上がるとその分借り増ししてしまい、借金の額が増えていきます。ある時、返済日近くなって手元にお金がないことが判明します。返済するために、別の業者から借入をします。こうして、月収25万円・年収300万円程度の人が200万円以上の借金をしてしまうなどといった事態が発生します。

最初の借入から2年程度でこの状態になってしまうことも珍しくありません。「借りている状態が普通」という思考パターンになるまでに、それほど多くの時間はかかりません。ここに多重債務の怖さがあります。

この人の何が悪かったかを責め立てることには意味がありません。そもそも月にたった5万円の出費が厳しいために借金を始めただけです。しかし、200万円以上の借入となると、毎月25万円の収入では返済はもう無可能でしょう。何らかの解決手段を講じる必要があります。

返せないほどのお金をなぜ借りるのか

多重債務に陥ってしまうのも、最初はささいな用事を満たすためです。最初から100万円や200万円といったお金を借りるわけではありません。

国民生活センターの多重債務者対象のアンケートによると、およそ4割の人が「必要以上のお金を借りるよう業者から勧誘があった」と回答しています。消費者金融やクレジットカードのキャッシングは、利用しやすくて、いざというときに頼りになる存在ですが、無計画に借りていると後から苦しくなるばかりです。

多重債務に陥る理由
いったん完済したり、しばらく貸金業者を利用していると、いつの間にか限度額が増えたり、業者から利用枠を増やしましょうといった勧誘の連絡が来ることがあります。

お金はコンビニのATMなどを使って簡単に引き出すことができるので、ますます借金が増えることになってしまいます。

多重債務者の多くは、借りたお金なのに自分のものと勘違いしてしまう傾向があります。いずれは利息を付けて返済すべきお金を自分が自由に使えるものと思い込んでしまうことにも、多重債務の原因があります。

借入先が1件や2件程度のときには、「自分はどのくらいの借入があるのか」「どうやったら完全に返済することができるのか」といったことを計画的に考えることができますが、借入先が3件、4件と増えるに従って、返済することが目的化してしまいます。

利息ばかり払って借入残高がなかなか減らないため、どの程度のお金を借りているのか分からなくなります。「とにかく返すために借りなければならない」という発想になって、借り増しに歯止めがかからなくなります。

多重債務による生活への影響

多重債務状態になると、生活が「お金を返す」の1点に集中してしまいます。借入先が4件にもなると、毎月4回の返済日が来ます。おおざっぱには、毎週1回は必ずどこかの業者に返済する状態です。

ネガティブな評価
返済の管理が無理になってくると、今度は返済に遅れが生じるようになり、督促や取り立てといった催告が頻繁に行われるようになります。

複数の業者から借入している状態のときは、毎日のように入れ替わりで督促や催促が届くようになり、精神的なダメージが大きくなります。

多重債務になると、給与所得があっても大半が返済に消えてしまいます。手元に残るお金が少ないので、生活苦に陥りやすくなり、食べるものにも困る人も出てきます。家族がいる場合には配偶者や子供にも悪影響が及びます。

また、多重債務者は常に借金のことで頭がいっぱいになり、仕事も手につかなくなることが良くあります。

現在は、貸金業法か改正されたことによって、勤務先に催促電話などをしてはならないことになっていますが、それでも携帯電話にはひっきりなしに催促の連絡が来るようになり、仕事に支障をきたすことが多くあります。

現在は、貸金業法によって取り立ての方法にも制限がありますが、それでも午前中から夕方までの時間帯には電話による催促はして良いことになっており、業者からの電話におびえながら毎日を過ごすようになります。

借金依存症になることも

借金依存症は、医学的にも認められた依存症のひとつです。常に借金に依存していて、買い物やギャンブル、タバコやアルコールなどがやめられない状態になっています。買い物依存症やギャンブル依存症、アルコール依存症と併発することが多いと言われています。

依存症の人は、「借金はまだ返せる範囲だ。自分の意思で借りているのであって、依存状態ではない。その気になったらいつでも返せる」と確証なく思い込んでいます。そのため、周囲が注意しても聞かず、借金を重ねることが良く起こります。

お金を借りられるという事実によって、自分には信用があるのだと思いたい欲求があり、借りられると安心します。借りて安心しては、返済に追われて、また借りて安心するという循環が借金依存症です。そのため、借金の申し込みを断られると、突然不安に襲われたり、暴力的な衝動に駆られたりします。

借金依存症の多くは、金銭感覚が麻痺しており、たとえば電灯をつけっぱなしにする、エアコンをかけた状態で外出する、商品を購入するときに価格の比較をしない、といった特徴があります。

このような状態になると、本人だけの力で脱却するのは困難です。まずは「自分は借金に依存している」と自覚して、債務整理を始めましょう。そのうえで、カウンセラーや自助グループなどに通いましょう。

債務整理すると、いったんは業者・銀行からまったく借金できない状態になるので、その期間は借金せずに済みます。その間に精神状態を回復させましょう。

多重債務から脱出する方法

おまとめローンを利用する

多重債務を解決する方法として第一に挙げられるのが、「おまとめローン」を利用することです。銀行でも消費者金融業者でも提供されているものです。おまとめローンは名前の通り、2社以上から借りている借金を一本化するためのローンです。

消費者金融業者が提供するものは、アイフル以外は「貸金業者からの借入」しかまとめられませんが、銀行が提供するものは、貸金業者からの借入だけでなく、銀行のカードローンやショッピングでのリボ払いもまとめることができます。

消費者金融には、「年収の3分の1以上は借りられない」という総量規制がありますが、おまとめローンは総量規制の対象外で、法律で認められた多重債務解決方法のひとつと言っていいでしょう。

おまとめローンを利用すると、ほぼ必ず今までよりも金利が低くなります。貸金業法にも「顧客に一方的に有利となるローン」と規定されており、ほとんどの場合で「金利の引き下げ」によって有利なローンとして設定します。

そのため、毎月の返済負担を減らすことが可能ですし、借入先が1つになるので返済計画も立てやすくなります。毎月複数回やってきた返済日が1日になるので、精神的にもぐっと楽になります。

安定した収入があり、まとめることで減った返済額をしっかりと毎月支払えることが条件となりますが、債務整理などに比較すると、法律事務所に頼る必要もなく、きちっと支払いを続けている限りはブラックリスト入りすることもありません。

銀行系のおまとめローンは金利がおよそ年率で10%から14%程度、消費者金融系のおまとめローンでは金利が年率で12%から15%程度というのが相場です。

おまとめローンを使って完済すれば信用情報に傷が付くことはないため、将来のために自己破産はしたくないという人は、おまとめローンを検討してみましょう。

消費者生活センターに相談する

多重債務から脱出する方法そのものを検討したいが、どこに相談したら良いか分からないときには、消費者生活センターの多重債務相談窓口に行くと良いでしょう。

消費者生活センターは基本的に、事業者が提供する商品やサービスの苦情を受け付ける行政機関ですが、多重債務問題も金融商品に関する苦情のひとつとして受け付けてもらえます。

消費者生活センターの多重債務相談窓口では、多重債務に詳しいセンター職員からのアドバイスを受けることができます。行政機関がサービスとして行っているものであるため、相談に料金はかかりません。無料で、自分に合った多重債務の解決手段を相談することが可能です。

多重債務相談窓口は、市区町村の役所内に設けられていることもあります。自分が居住している区域の市区町村の公式ホームページを見て、「地域振興課」や「地域づくり課」という名称の部署があるときには、そこに窓口が設けられていることが多いです。

注意したいのは、消費者生活センターや、市区町村の役所に設けられている多重債務相談窓口の相談員は弁護士でもなく司法書士でもないという点です。

そのため、相談して当日中に何かしら債権者に対して動いてくれることはありません。むしろ、「いきなり弁護士に相談するのは抵抗がある」というときに使える方法です。

借金の金額があまりに大きいとか、収入に比較して高額の借入があるといった場合には、役所の窓口では対応しきれないため、弁護士への相談を勧められることもあります。

自分の収入と借入額を見比べてみて、「どうやっても返済できそうもない」と考えられるときには、初めから弁護士などの専門家に相談したほうが良いでしょう。

法テラスで無料相談を受ける

多重債務問題を解決するために良い方法は、法テラスで無料相談を受けることです。法テラスは経済的に余裕がないという人や、法律上の相談をしたいがどこに行ったら良いか分からないという人のために、弁護士や司法書士など、法律の専門家が無料で相談に乗ってくれる機関です。

法テラスは、全国に設置されているので、まずは検索してみて自宅に近いところに連絡して予約を取りましょう。このときに「借金問題を解決したい」と申し出ると、最初から弁護士が相談に乗ってくれます。

相談した弁護士にその場で受任を依頼することも可能で、すぐに受任通知を債権者に送付してくれます。貸金業者などの債権者は、弁護士の受任通知を受け取った時点で、借りた側の債務者に一切連絡を取ってはならないことになっています。

すべての交渉や連絡は、代理人である弁護士を通じて行うことになります。そのため、相談に行ったら、その日のうちか翌日・翌々日には催促の電話はストップします。

もし連絡があっても「債務問題の解決のために弁護士に依頼した」と言っておけば、それ以上の追求はしません。その後から落ち着いて自分の借金問題について考えることができるようになります。

もはや返済できない、これ以上の返済は自分一人では不可能だと思ったら、なるべく早い段階でどこかに相談に行きましょう。借金は他人には相談しにくい問題のひとつで、自分だけで抱え込んで状況を悪化させることが多くあります。

ただ、多くの人が乗り越えてきた問題でもあるので、必ず解決の方法はあります。まずは専門家に相談してみましょう。

多重債務を債務整理で解決するには

①任意整理

多重債務を債務整理によって解決するにあたって、最も良く使われる手段が任意整理です。これは、返済を継続することを前提とした方法です。

たとえば、現在残っている債務を利息制限法の利率で改めて計算しなおして、債務者の収入や支払い能力に合わせて事業者と支払い条件について交渉する方法です。たとえば貸金業者と相談して「今後の金利をゼロにする代わりに、現在残っている借金を時間をかけて返済する」ことを約束します。

メリットとして、裁判所と使わない私的な交渉という形になるので、費用が安く済んで時間もかからない点が挙げられます。通常のカードローンやショッピングリボといった無担保・無保証人の債務であれば、おそらく一番使われているのが任意整理でしょう。

任意整理は個人再生や自己破産に比較して「罪が軽い」とみなされ、たとえば政府の機関紙である官報に名前が載ることもありません。

また、個人再生や自己破産では、借りているすべての債務者に対して借金の減額や全額カットなどを交渉しますが、任意整理では「任意整理する債権と任意整理しない債権」を選べるという特徴があります。

これによって、たとえば「住宅ローンを支払いながらカードローンだけを任意整理する」「積立生命保険を解約せずに貸金業者からの債務だけを任意整理する」といった方法を選択することも簡単にできます。

ただし、利息をカットしたうえで3年または5年以内に完済できる程度の借入でない限り、任意整理はできません。

たとえば毎月3万円なら返済できるという人は、最長5年60回・180万円までしか任意整理の対象にできません。あくまで安定した収入があり、充分な返済能力がある場合に使える手段です。

②個人民事再生

任意整理はできないが、自己破産するほどでもないという人に使われる債務整理の方法が、個人民事再生です。省略して個人再生と呼ばれています。

これは、主に「住宅ローンを除く債務の額が5000万円以下である」「今後の安定収入が見込める」という条件を満たす人を対象に、生活の再建を図るものです。利息制限法による債務の再計算を行って借金の総額を確定して、「最低弁財額要件」によって返済額を確定します。

最低弁財額は民事再生法によって以下のように定められています。

最低弁財額

債務総額 最低弁財額
100万円未満 全額
100万円以上500万円未満 100万円
500万円以上1500万円未満 借金の総額の5分の1
1500万円以上3000万円未満 300万円
3000万円以上5000万円未満 借金の総額の10分の1
個人再生を行う条件
  • 債務者が個人である。
  • 継続的かつ反復して収入を得る見込みがある。
  • 借金の総額が5000万円を超えていない。
  • 債権者の過半数が個人再生を行うのに同意している。
  • 最低弁財額を下回らない。

車や貯金、退職金、保険解約による返戻金など財産として認められるものは、現金化して清算させられることがありますが、これも交渉次第です。自己破産との大きな違いは、自分の財産を守りながら借金の元本を減額して返済できる点です。

自己破産では、必要最低限の財産以外はすべて売却して債務者に配当しなければなりませんが、個人再生ではそういった義務はありません。財産として自宅を保有している人や、積立型の生命保険に入っている人が売却・解約をせずに借金を整理できるところが、個人再生のメリットです。

自己破産

あまりに多額の債務を抱えてしまった人が、返済の見込みがまったくたたないときに利用する債務整理の方法が自己破産です。不動産などの一定額以上の財産を処分して再出発します。

速やかな生活の再建を目指すための手段で、実際の手続きは裁判所に申し立てて破産決定をしてもらい、免責申立をして決定を受ければ、税金などを除くすべての債務がなくなります。

手続きでは、裁判所の監督のもとで破産者の財産を現金化して債権者に公平に分配します。

その意味では、債権者の利益は確保されていますが、破産者は分配の手続きが終わった後に裁判所から免責許可決定をもらうことで、それまで負っていたすべての債務の支払義務の免除を受けることができますので、ほぼ完全に破産者の利益のための制度と言っていいでしょう。

経済的な余裕を残して破産の申立がされることは非常に少なく、多くの破産者はギリギリまで返済の努力をしたうえでないと破産はできません。

良くあるケースが、債務者にあまり多くの資産が残っていない場合に、裁判所が破産手続開始決定を出すと同時に破産手続きを終了して免責に関する手続きが残るものです。手続き開始と同時に事件が廃止になるため、「同時廃止」と呼ばれています。

申立人に資産がないときには配当も出ないので、破産手続きを進めたところでやることはないので、手続きが開始されたと同時に終わるということです。

破産者に残るのは、現金を含めた20万円程度の資産のみで、ほぼ財産がない状態になります。公的にまったく借金をなくてしてあげる代わりに、本人は無一文に近い状態から再出発することになります。

まとめ

多重債務は、誰にでも起こる可能性があります。ささいなことをきっかけとして、いつの間にか借金が膨らんでしまったということは非常に多いと言われています。

まずは自分で多重債務の状態であると自覚して、そのうえでサポートしてくれる場所に相談に行って、今後の対処方法を考えましょう。

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若松 貴英

若松 貴英

保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士(中小企業主資産相談業務)・AFP(日本FP協会認定)/金融業務検定(法務上級)/銀行業務検定(法務2級・財務3級・税務3級)など。銀行勤務時は融資のスペシャリスト」(悪く言えば「融資しか知らない」)として勤務していました。そのため「借入」に対しる知識や経験には自信があります。

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