緊急小口資金の融資に何日かかる?申し込みから交付まで

Contents
緊急小口資金とは
一時的に困窮する世帯向けの制度
緊急小口資金は、所得の少ない世帯に対して資金の貸付と必要な相談支援をすることによって、その世帯の生活の安定と経済的な自立を図ることを目的とした社会福祉の制度です。緊急で、一時的な困窮に陥った世帯が、資金の貸付によって生活と返済の見通しが立つと判断され、しかも生活困難になった理由が定められた理由に該当するときに対象となります。
相談窓口となるのは、全国の社会福祉協議会です。政令指定都市なら各区に設置されていますが、それ以外では自治体ごとに1つずつ設置されています。横浜市なら中区、保土ケ谷区などにそれぞれ設置され、藤沢市には1つが設置されています。町村部にも1つずつ設置されており、地域の福祉のために活動しています。
こういった社会福祉協議会が窓口となって税金を原資とする公的な貸付制度は、「生活福祉資金貸付制度」として総合支援資金や福祉資金、教育支援資金などがありますが、そのうち、緊急性の高いものに対して実行される貸付が緊急小口資金という制度です。基本的に無利子・無担保・無保証人で借入することが可能です。
制度の基本的な考え方
①世帯の自立を支援する
緊急小口資金は生活福祉資金貸付制度のひとつであるため、個人ではなく「世帯の自立」を支援するための制度です。そのため、世帯全体の状況を把握したうえで融資されます。世帯に属する人全員の就労・就学・疾病、収入や家計の支出、負債の状況などを聞き取りしたうえで、必要に応じて状況の確認をします。
世帯員全員が承諾し、返済を完了するまで社会福祉協議会の職員が世帯を支援することになっています。
②貸付が支援となると判断されたときに融資
緊急小口資金は、貸付事業として実施されるものであるため、貸付することによって現在の困窮が解決することが確認できるというのが条件となります。また、借金を背負うのは世帯にとっての負担となるので、順調に返済できなければ世帯への支援を目的に貸付したものが逆効果となってしまいます。
そのため、負担が大きくて貸付が支援とならないと判断されるときには貸付は行われません。また、他の給付制度の利用などの方法があるときには、そちらを優先することになっています。
③実情を正しく伝える義務がある
緊急小口資金は、税金を原資とする公的な制度であるため、真に必要性があって、制度の利用が適切であると判断できるときに利用できます。資金貸付の契約を結んで、返済が完了するまで、社会福祉協議会の職員が継続的な相談支援をすることになっています。
必要かつ適切な支援をするために、世帯の生活状況や困っている実情を正確に伝える必要があります。世帯の全員と、社会福祉協議会との間に信頼関係が持てることが前提です。「お金がないから貸してほしい」と気軽に使えるような制度ではありません。
融資まで最短で5日
生活福祉資金貸付制度は基本的に「お役所仕事」であるため、どの貸付制度でも即日で融資されることはありません。緊急小口資金は「緊急」とあるので融資まで早そうに思えますが、最短でも申し込みから5日程度はかかります。
申し込みすると審査はすぐに実施されますが、実際にお金を手にできるまでには、聞き取りや生活状況の把握といった内容が絡むために時間はかかります。他に利用できる制度があったときには、そちらの利用を促されることがあり、申し込みして待った分だけ時間が無駄になってしまうこともあります。
収入の証明や金融機関からの借入といった負債、公共料金・税金の滞納状況も確認されます。こういったことを踏まえたうえで、給付金の利用や分割払いで対応できる場合にはそちらが優先されます。
緊急小口資金の貸付内容
緊急小口資金には以下の特徴があります。
- 無利子、無担保、保証人不要。
- 2ヶ月の返済猶予期間がある(据え置き期間)。
利子もなく、担保や保証人などを用意することもありません。緊急性の高い事案に対して貸付されるものであるため、審査は他の制度に比較して早くなっています。
貸付の概要
限度額 | 10万円 |
---|---|
金利 | ・無利子 ・返済期限を過ぎるとき、年率5%の延滞利子が発生 |
据え置き期間 | 2ヶ月 |
返済期間 | 12ヶ月以内 |
返済方法 | 原則的に口座引落で月賦返済 |
保証人 | 保証人、連帯保証人ともに不要 |
その他 | 世帯の構成員全体に対して貸付される |
限度額が10万円と非常に小さい設定になっており、緊急性が高い借入に対して、すぐに支援できる額となっています。世帯全体の収入や支出状況が確認されるため、どのような理由で困っているのか説明する必要があり、貸付条件は厳しめと言っていいでしょう。
緊急小口資金の利用条件
貸付対象となる世帯
緊急小口資金で貸付の対象となる世帯は、以下の条件を満たしている世帯です。
・低収入の世帯であること。
低収入ではあるが、定期的収入によってそれまでの生活を維持していた世帯であること。
・緊急かつ一時的に生活が困難であること。
貸付後は自分の収入で生計を立てられる世帯が、緊急で一時的に生活が困窮しているときに貸付が実施されます。
・返済の見通しが立つこと。
返済には2ヶ月の据置期間があり、貸付から3ヶ月後には返済が始まります。このときに返済の見通しが立つ世帯であることが条件です。収入減や失業による困窮であるときには、直近2年以内の就労状況から返済能力が判断されることになっています。
低収入とみなされる条件とは
低収入とみなされるには、一定の条件があります。世帯の人数ごとに収入の金額が決められており、それを超える世帯収入の場合には支援は受けられません。
世帯人数 | 平均月収 |
---|---|
1人 | 19万1000円 |
2人 | 27万2000円 |
3人 | 33万5000円 |
4人 | 38万5000円 |
5人 | 42万5000円 |
世帯全体の収入額から、家賃や住宅ローンの返済、療養費、仕送り費用などが一定の金額まで控除されます。
千葉県の社会福祉協議会が定義している収入基準によると、概ね以下のようなときに「低所得世帯」として利用が可能とされています。
- 夫:48歳、妻:42歳、子供2人:高校生17歳・小学生10歳の4人世帯でおおむね年収が500万円以下の世帯。
- 上記に加えて祖父母:75歳と72歳がいる6人世帯の場合には、世帯年収が1000万円以下の世帯。
貸付対象の事案
低所得の世帯ではあるが、返済の見通しが立つと見込まれるとき、以下のような理由で生活に困窮した場合に緊急小口資金が利用できます。
- 医療費や介護費の支払いで臨時の生活費が必要なとき
- 火災・水害などの被災によって生活費が必要なとき
- 年金や保険、公的給付などの支給開始までに必要な生活費
- 会社からの解雇や休業などによって収入が減ったときの生活費
- 滞納中の税金や年金、国民健康保険料、公共料金の支払いによる支出増
- 給与などの盗難によって生活が困難になったとき
- 事故などによって損害を受けたための出費増
- 社会福祉施設からの退出に伴う賃貸住宅の入居費
- 初回給与支給までの生活費が必要なとき
- 生活保護世帯
- 収入がない、または少ないために常に生活全般に困窮している世帯
- 多額の負債があり、返済が滞っている人のいる世帯
- 債務整理の予定がある人または債務整理中の人がいる世帯
- 生活状況が確認できない世帯
生計中心者が借受人となる
緊急小口資金は、「世帯への貸付」というのが基本の考え方ですが、貸付の契約は個人と締結することになっています。地域の社会福祉協議会と資金貸付の契約をする人のことを「借受人」と言います。借受人は原則的に生計中心者となります。
世帯の中で最も収入が多く、中心となって生計を支えている人が生計中心者です。夫が働き、妻が家事をしているというときには夫が生計中心者であり、借受人となります。夫が障害者で、妻が働いて家計を支えているときには、妻が生計中心者とみなされ、妻を借受人として契約を締結します。
社会福祉協議会の職員が世帯員の年齢や就労状況などを調査したうえで世帯の状況を把握し、誰を借受人とするのが適切なのか考えていくことになっています。
借受人となるには、以下の条件を満たす必要があります。
- 申請する都道府県に居住しており、住民票と現住所が一致していること。
- 社会福祉協議会が債権者である貸付制度の連帯保証人になっていないこと
- 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団員である者が属する世帯ではないこと
手続きの代行は可能ですので、こういったケースでは良く相談しながら進めていきましょう。
緊急小口資金の申し込みの流れ
①申し込みから融資まで
おおよそ、どの社会福祉協議会でも緊急小口資金で支援を受けるまでの流れは同じです。
- 居住している市区町村の社会福祉協議会に電話して、世帯の収入や負債状況などを詳しく説明し、緊急小口資金の融資を受けたいという希望を伝える。
- 社会福祉協議会に出向いて相談し、緊急小口資金の申し込みが適切であると判断されたら、世帯年収や借入状況などが分かる書類を用意する。
- 借入申込書と必要書類を提出する。
- 提出書類や相談内容を元に貸付の可否が決定される。場合によっては追加で聞き取り調査や書類の提出が必要となることがある。
- 貸付の可否が申請者本人へ連絡される。審査で否決された場合には支援は受けられない。
- 審査通過のときには、貸付決定日の翌営業日に申請者の口座へ資金が交付される。
申し込みから早くても資金が交付されるまでに5営業日ほどかかります。基本的に役所仕事ですので土日にはまったく何もしてくれません。
必要書類は9種類
申し込みには基本的に9種類の書類が必要になります。これを揃えるだけで時間も手間もかかります。申込者本人だけでなく世帯員全員の収入や負債の状況の分かる書類が必要です。
- 借入申込書:社会福祉協議会の窓口に設置してあります。
- 住民票の写し:世帯員全員分の住民票が必要です。発行から3ヶ月以内のものに限ります。
- 本人確認書類:申込者の身分証明となるものが必要です。運転免許証、パスポート、住民基本台帳カードなど顔写真入りの公的な書類が必要です。
- 健康保険証:社会保険証か国民健康保険証になります。切り替え中のときは相談が必要です。
- 借入申込者の世帯の収入証明:生計中心者だけでなく、配偶者や生計維持に寄与する人の収入証明書が必要です。源泉徴収票や確定申告書などを提出します。
- 借用書:社会福祉協議会の窓口に設置してあります。
- 申込者の実印と印鑑証明書:印鑑証明書は発行から3ヶ月以内のものに限ります。
- 預金口座振替依頼書:用紙は窓口に設置してあります。資金交付を希望する口座の通帳と届出印も提出することが必要です。
- 借入理由による確認書類:借入の理由を証明する書類が必要です。医療費の借入なら医療費の領収書、雇用保険給付制限中ならば雇用保険受給資格者証が必要です。
こういうときには利用不可
緊急小口資金は、生活福祉資金貸付制度として生活を立て直したい気持ちのある人に広く利用される制度です。ただ、公的な制度であって原資が税金であるため、利用できない立場の人も出てきます。
- 失業保険を受給している人:失業保険を受給していて安定した生活を送っていると判断されると、緊急小口資金の審査に通らないことがあります。ただ、利用したい目的や個人の状況によっても変わってくるので、まずは相談してみると良いでしょう。失業保険の受給中に思わぬ出費に見舞われてしまったというケースでは利用できることがあります。
- 安定した収入が一定以上ある人:安定した職業に就いていて、まとまった収入が一定以上あると判断されると緊急小口資金も利用できない可能性があります。自分は所得が低いから利用できるのではないかと考えても、貸付の基準からすると「低所得者」に該当しないため、申し込みそのものを受け付けてもらえないことがあります。ただ、これも状況次第ですので、社会福祉協議会に相談してみましょう。
- ギャンブルなどを目的にしている:低所得者に該当していても、お金の使い道がギャンブルや娯楽では緊急小口資金は利用できません。資金使途を隠そうとしても、基本的に使い道は証明しなければならないので無駄です。
- 生活の状況が分からない:世帯員全員の収入が分からないことや、財産があることを隠そうとしているといったケースでは緊急小口資金は貸出されません。どういった生活をしていて、今どのような資金が不足しているのか分からないのに、税金を使って貸出するわけにはいきません。
緊急小口資金の審査は厳しい?
民間から借りられないが返済能力があるという条件
緊急小口資金は生活福祉資金貸付制度のひとつで、「貸付」する制度です。取り扱っているのは厚生労働省で、要するに「国からお金を借りる」ということになります。借入金なので返済しなければなりません。他の生活支援制度として生活保護がありますが、これはまったく別で、「給付」ですから返済義務はありません。
この点で他の支援制度とは若干違っていると考えていいでしょう。生活福祉資金貸付制度の対象になるのは「民間から借りられない」世帯で、消費者金融や銀行といった民間の組織からお金を借りられないとされる世帯です。
おおよそ以下のような状況になっている世帯で貸付されます。
- 低所得者世帯:主に市町村民税が非課税となっている世帯
- 障害者世帯:障害者手帳の交付を受けた人が暮らす世帯
- 高齢者世帯:65歳以上の高齢者が暮らす世帯
所得は低く生活は厳しいということと、返済できる見込みがあることの分かれ目も微妙な判断となっており、「利用できると思ったのに、自分で何とかしてくださいと言われて追い返された」といった報告は多数寄せられています。「いったい何の役に立っているのか分からない制度」と批判されることもあります。
実際、利用できるかどうかは職員の判断次第というところもあり、あまり過大な期待はしないほうが良いでしょう。
ケースワーカーが一緒だと話が通りやすい?
緊急小口資金については数多く口コミ情報が寄せられています。なかには辛辣なものもあり、利用に制限がかかっていることが疑問視されています。
申請が通ったという人の体験談には注目すべきものがあります。「ケースワーカーがいるときといないときで職員の態度がまったく変わる。生活の状況を詳しく聞く姿勢になっている。福祉の窓口っていったいどうなっているのか」「一時的なお金が必要になったときに、支援センターのケアワーカーが力になってくれて融資を受けられた」という事例です。
何らかの障害や病気があるときには、ケースワーカーやケアワーカーといった、自分の事情を理解している人と一緒に窓口に行くことで主張を通しやすくなる可能性があります。職員に自分の困難な状況を正確に分かってもらうためにも、専門家の力を借りるのは効果的と言っていいでしょう。
緊急小口資金が借りられなかったら?
もしも緊急小口資金の審査に通らなかったら、他の制度の利用を検討してみましょう。
1.生活保護
どうしようもなく生活に困窮しているという場合には、生活保護が最も有力でしょう。社会福祉協議会の窓口でも同じような提案をされます。生活保護は貸付ではなく給付なので返済する義務がありません。もともと病気や障害などやむを得ない理由で生活の厳しくなっている世帯を助けるための制度です。
該当する場合には、この制度の活用を検討してみましょう。緊急小口資金を含む生活福祉資金貸付制度よりも対象世帯が広くなっています。
2.職業訓練受講給付金
あまり知られていませんが、職業訓練受講給付金という制度もあります。これは、何らかの事情で雇用保険を利用できない人を対象としたサポート制度で、自立した生活を目指すために有効な方法です。職業訓練を受けながら受講手当をもらえるという制度で、利用価値は高いと言っていいでしょう。
職業訓練受講給付金の支給額
受講手当 | 毎月10万円 |
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通所手当 | 職業訓練機関までの交通費 |
寄宿手当 | 毎月10万700円 |
前提として、職業訓練を受けられる能力が必要となります。身体が健康で、就職する先さえあれば働けると判断される人に社会福祉協議会のほうから勧められることもあります。職業訓練ですので受付はハローワークになります。
まとめ
緊急小口資金は利用しにくい部分がありますが、公的融資にしては融資までの時間が短く、幅広く利用できる制度です。公的融資ですので金利も非常に低く設定されています。申し込みには社会福祉協議会を利用しましょう。
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緊急小口資金というのは、「それまでは普通の暮らしができていたのに、予想外の出来事を原因とした急な出費に対応できない」というときに必要なお金を借りることのできる制度で、生活福祉資金のうちのひとつです。
利用にあたっては所得制限もありますし、即日融資は非常に困難です。