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期限の利益喪失事由とは?

金融用語集   94 Views

金銭に関する契約書には、あまりなじみのない金融用語もたくさん登場します。「よくわからない」からといって、理解しないまま契約してしまうと、後から思いもかけない事態に陥るかもしれません。

期限の利益喪失事由」という言葉も、普段はあまり聞かない言葉です。いったいどのようなことを指すのでしょうか。

借り手側の受け取る利益が「期限の利益」

「期限の利益」とは、期限が到来しないことによって「当事者=借り手側」が受け取る利益のことです。「受け取る利益」とは、債権者=貸し手側から請求を受けない権利を指します。

簡単に言えば、「約束した返済日までに返済すればいい」という権利のことです。「期限の利益」が認められているからこそ、債権者から「やっぱりすぐに返してください」と要求されることはありません。

期限の利益が「喪失する事由」

しかし「期限の利益」が「喪失」してしまうこともあります。「期限の利益の喪失」とは、期限の利益がなくなってしまうこと、つまり債権者=貸し手側から一括返済を請求されることを指します。

当然、理由もなく期限の利益の喪失を主張することはできません。次の2つのケースの場合に期限の利益が喪失することになります。

①民法の規定

民法137条では、以下のように定められています。

(期限の利益の喪失)

次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。

一.債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
二.債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。
三.債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。

これらの事象が発生すると、債権者が貸したお金の回収が極めて困難になります。返済期日まで待っていては債権回収できなくなるリスクが非常に高くなります。この場合、債務者は期限の利益が主張できなくなり、債権者は「すぐに返済してください」と請求できることになります。

②契約上の条項

金銭契約上でも、多くの場合、期限の利益を喪失する条項が定められてます。「金銭消費貸借契約書」などでは、通常、期限の利益喪失についての規定があります。例えば次のような規定です。

第○条(期限の利益喪失)

次の場合,乙(債務者)は,甲(債権者)からの通知催告がなくても当然に期限の利益を失い,直ちに残元利金全てを弁済しなくてはならない。

  1. 元金もしくは利息を期限に支払わないとき
  2. 他の債務につき仮差押え,仮処分又は強制執行を受けたとき
  3. 他の債務につき競売,破産,民事再生又は会社更生手続の申立てがあったとき
  4. 乙の振出し,裏書,保証にかかる手形・小切手が不渡りとなったとき
  5. 甲に通知せず,乙が住所を移転したとき

民法の規定だけでは、債権者にとっては不十分です。

例えば民法の規定だけでは債務の返済が滞った場合でも、債務者が破産をしない限り、一括返済を請求できません。延滞という事態も債権者にとっては回収のリスクが高くなる事象です。

そのために民法よりも一段階厳しい規定を設ける必要があります。

このような事由を「期限の利益喪失事由」というのが、お分かりいただけましたでしょうか。

当然喪失と請求喪失

期限の利益喪失には「当然喪失」と「請求喪失」があります。

  • 当然喪失→一定の事由が生じた場合は当然に期限の利益を喪失する(当
  • 請求喪失→一定の事由が生じた場合に,債権者の請求によって期限の利益を喪失する

先の契約書上の規定は「当然喪失」の規定ですね。「当然喪失」「請求喪失」についても契約上に謳われています。当事者間のニーズによって組み合わされています。

期限の利益喪失はどのように運用されているのか?

実際には、期限の利益の喪失はどのように運用されているのでしょうか。

数日の延滞では、一括返済は請求されない

期限の利益喪失事項の中に「元金もしくは利息を期限に支払わないとき」というものがありました、ただし実際には、数日の延滞では、期限の利益を喪失して一括返済を請求されることはほとんどありません。

返済期限通りに返済されるべきものですが、ついうっかり2~3日返済が遅れるというのは、よくあるケースです。そのたびに一括返済を請求していたのでは、貸し手側にも大きな負担となります。

実際には返済期日から2~3ヶ月を経過したタイミングで一括返済を請求されることになります。このタイミングは「個人信用情報」に事故情報として登録されるタイミングでもあります。

重大な事象が発生した場合は、ただちに一括返済を請求される

契約書上の期限の利益の喪失条項のうち、回収リスクが高いと判断される事象は、直ちに一括返済を請求されることになります。「仮差押え」「仮処分」「強制執行」「競売」「破産」「民事再生又は会社更生手続」などはこの事象に当たります。

このように期限の利益の喪失条項に該当していても、実際に一括返済を請求されるかは、項目によって違っています。

まとめ

期限の利益は債務者に認められた権利です、しかし喪失事由に該当した場合、債権者から一括返済を請求されることになります。

そうならないためにも、契約前にしっかりとした返済計画を立てて、無理のない範囲で借入を利用することが重要です。万が一喪失事由に該当してしまう場合には、債権者に早めに相談して妥協策を探るようにしましょう。

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ライター紹介 ライター一覧

若松 貴英

若松 貴英

保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士(中小企業主資産相談業務)・AFP(日本FP協会認定)/金融業務検定(法務上級)/銀行業務検定(法務2級・財務3級・税務3級)など。銀行勤務時は融資のスペシャリスト」(悪く言えば「融資しか知らない」)として勤務していました。そのため「借入」に対しる知識や経験には自信があります。

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