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決算書とは?主な決算書類のわかりやすい読み方

金融用語集   10,805 Views

普段、何気なく接する機会の多い「決算書」。事業主なけでなく会社員の方も触れる機会もあります。

しかし「決算書」という言葉をきちんと理解しているでしょうか。曖昧なことしかわからないという方も多いのではないでしょうか。

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決算書とは?

決算書とは、わかりやすく一言でいえば「会社の状況を示す書類」です。

  • どれくらい儲けているのか?
  • どれくらいの損失を発生しているのか?
  • 財政状況はどうなのか?
  • 資産や負債内容はどうなのか?

これらの会社の状況を報告するための書類です。いわば「会社の成績表」のようなものです。決算書が読めるようになると、自社の経営状態はもちろん、取引先などの会社の状況まで分かるようになります。

数年分の決算書を比較することで、会社の業績の推移を把握することができますし、同業他社の決算書と比較すればそれぞれの会社の強みや弱みをつかむことができるようになります。

ちなみに、決算書という言葉は、実は法律用語ではありません。正確な名称は提出する目的によって変わります。

会社法では「計算書類」と呼ばれ、金融商品取引法では「財務諸表」と呼ばれています。それぞれの主な構成書類は次の通りです。

会社法での「計算書類」

  • 貸借対照表(B/S)
  • 損益計算書(P/L)
  • 株主資本等変動計算書
  • 個別注記表 など

金融商品取引法での「財務諸表」

  • 貸借対照表(B/S)
  • 損益計算書(P/L)
  • 株主資本等変動計算書
  • キャッシュフロー計算書(C/F)
  • 附属明細表 など

このうち「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」は「財務三表」と呼ばれ、決算書類の中でも主要書類とて重要視されるものです。

決算書の役割とは?

決算書にはどのような役割があるのでしょうか。決算書が必要になる主な場面は以下のようなことが考えられます。

  • 企業の確定申告を行うとき
  • 銀行などに融資の申し込みを行うとき
  • 出資者、取引先などのいわゆる「利害関係者」が経営状況を確認するとき
  • 自社の経営状況を把握したいとき

決算書は「第三者」に対して作成して開示するものと思われている方も多いでしょう。しかし決算書を分析し、自社の経営状況を客観的に把握するとも重要です。

そこから自社の問題点が判明し、経営改善を行うことで、事業改善、拡大につなげることができます。

決算書の作成タイミングは?

決算書は基本的に「1年に1度」作成するものです。それぞれの会社の「決算期=年度末」を基準として作成します。会社が1年間の事業活動によってどれだけ儲けたか(逆にどれだけ損失を発生させたか)、財産がどう変化したかを明らかにするために作成します。

ただし、決算書の作成は、日々の取引を記録していくことから始まるものです。事業取引は、一定のルールに従って正確に記録・集計・整理する必要があります、これらの一連の作業のことを「簿記」といいます。

言い換えれば、決算書は「日々、簿記という技術を活用した取引記録の集大成」となります。

簿記の主な流れは以下の通りです。

  1. 取引を仕訳して、勘定科目に振り分け、伝票に記入する
  2. 総勘定元帳に転記する
  3. 試算表を作成する
  4. 決算書を作成する

主な決算書類のわかりやすい読み方

①貸借対照表(B/S)

ある時点での会社の財産状況(資産と負債)を示す書類です。主に、倒産リスクや財務基盤の安定性を図るための書類です。

貸借対照表の左側には会社の「資産(現金などの流動資産や不動産などの固定資産など)」が記載されています。右側には会社の「負債(支払手形などの流動負債や長期借入金などの固定負債)」と、「純資産(自己資本や利益剰余金)」が記載されています。

この左と右の合計値は必ず一致していることから、左右のバランスが同じという意味で「バランスシート」とも呼ばれています。

賃借対照表の見方で一番重要なポイントは「自己資本比率」です。「自己資本比率」とは純資産に占める自己資本の割合で、高いほど健全な財政状態であると判断できます。

②損益計算書(P/L)

ある一定期間での営業活動でどのくらい利益が出たかを示す書類です。主に、倒産リスクや収益力を図るための書類です。

収益・費用・利益の各情報が記載されています。

例えば売上が減少した際には、「本業での利益が減っているのか」「売上自体が減っているのか」「費用が膨らんでいるのか」といった感じで、自社の問題点を導くことができます。

③キャッシュフロー計算書(C/F)

一定期間の会社のお金の動きを示す書類です。主に、倒産リスクや支払い能力を図るための書類です。

損益計算書では、会計期間での「実際の資金の回収状況等」は分かりませんが、キャッシュフロー計算書では明らかになっています。

企業の営業活動、投資活動、財務活動によるキャッシュフローが記載されており、それぞれの項目でのお金の流れのプラスとマイナスをチェックできます。

④株主資本等変動計算書

賃借対照表の中にある「株主資本」という項目の動きをまとめた書類です。

上記の「財務三表」に比べると、使用頻度は低い書類です。その名の通り、主に、株主の変動状況などを図るための書類ですが、中小企業以下では、株主資本に複雑な動きがあることは少ないためです。

決算書の数値だけにとらわれないこと

決算書は「数字」が並んだ書類です。しかし決算書の分析では売上や収益といった数値項目だけにとらわれないように注意することも必要です。数字の奥に隠れた会社の問題点を見つけるようにしましょう。

例えば売上がそれほど変わらないのに在庫の数字が増加している状態では、不良在庫が発生している可能性があります。

また企業規模に対して各数値が大きい(もしくは小さい)、そしてその数値の変動幅が大きい(もしくは小さい)というように企業規模に即さない変化が生じている場合にも、なんらかの問題があるはずです。

一部の数字だけにとらわれないようにして、また各決算書類のバランスなどを多角的に分析することがポイントです。

決算書の見方が分からない時には…

決算書は「会社の通信簿」ともいえるものですが、会計に精通していない経営者などは、その分析は難しいと感じる方も多いでしょう。

しかし事業の継続・拡大を図るためには、決算書の分析は欠かせません。正しく分析し事業に生かすためにも、正しい知識を身に着けることが重要です。

「自社の決算書の、この項目が分かりずらい」という時には、どのように対処すればいいのでしょうか?

①経理担当者に尋ねる

会社の「経理担当者」は、いわば「決算書作成の最前線」です。社長が社員に尋ねるのは気が引けるかもしれませんが、「ここはどうなっているの?」と質問してみることも大切でしょう。

②出入りの専門家に尋ねる

普段から税理士や会計士を利用しているのであれば、これらの専門家に尋ねることもおすすめです。決算書に関心を持っていることを示す意味でも、相談してみましょう。

逆に決算処理のすべてをこれらの専門家にまかせっきりにするのは、会社の代表者としては失格です。

③インターネットで調べる

インターネットで検索することで、様々な情報を入手することができます。決算項目の各内容を調べたりすれば、その意味に対する知識も身に着けることができます。大切なのは「自分で調べる」という点です。

まとめ

決算書は、日常の企業活動を記録した情報の集大成ともいえるものです。日頃の情報管理も重要になってきます。その上で、決算書類に対する知識も身に着け、事業の問題点の把握や拡大につなげていけるようにしましょう。

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若松 貴英

若松 貴英

保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士(中小企業主資産相談業務)・AFP(日本FP協会認定)/金融業務検定(法務上級)/銀行業務検定(法務2級・財務3級・税務3級)など。銀行勤務時は融資のスペシャリスト」(悪く言えば「融資しか知らない」)として勤務していました。そのため「借入」に対しる知識や経験には自信があります。