源泉徴収税額とは?計算方法と源泉徴収票の見方を解説

Contents
会社は何を源泉徴収しているのか?
源泉所得税と所得税の違い
所得税というのは、1年間の所得に応じて所得のあった人が支払う税金のことです。日本国内に居住している人すべてに対して、すべての所得に所得税が課せられることになっています。
日本の所得税は累進課税で、その税率は1年間の所得額によって異なります。一方、源泉所得税は企業・会社が重症員や報酬を受け取る人から源泉徴収して、本人に成り代わって納める所得税です。
所得税は、1年間の所得額に応じて算出することになっていますが、1年分をまとめて一括で支払うことは所得者にとって大きな負担になります。そのため、給与支払いの際にあらかじめ源泉所得税を納めることになっています。
これは所得者にとっても大きな意味を持ちます。
毎月の給与から少しずつ所得税を差し引いておき、従業員に代わって雇用元が税務署に納めて、1年の最後に年末調整することで所得税の過不足を調節します。そのため、給与のほかに一定の収入を得ていたり、医療費控除を申告したりといった特別な事情がない限り、従業員は自ら確定申告をする必要がありません。
会社がこういった計算や税負担を行うことによって、社員が自分で申告する手間が少なくなり、さらに国の業務としても作業量を減らすことができています。
会社が源泉徴収するもの
会社が支払いの際に所得税をあらかじめ徴収して国に納付することを源泉徴収と呼びます。源泉徴収の対象となるのは給与所得や支払報酬などですが、これらを意識する従業員は多くないでしょう。
社員へ支払う退職金や、外部に支払う報酬、また株主への配当金も源泉徴収されています。
会社が源泉徴収するものは以下の4つです。
- 給与や賞与
- 退職金
- 支払報酬
- 支払い配当金
1.給与所得
会社が源泉徴収するものの代表が、毎月支払う給与から差し引かれる所得税です。現在は東日本大震災の復興を目的とした復興特別所得税も一緒に源泉徴収することになっています。
源泉徴収税額表には「甲乙丙」の3つの欄がありますが、1ヶ所からのみ給与が支払われる人は「甲欄」に記載があります。
2.退職所得
従業員に退職金が支払われるときにも、所得税は源泉徴収されます。税額は国税庁が定める「所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額の計算方法」を用いて算出します。
3.支払報酬
会社が弁護士や税理士といった個人に報酬・料金を支払うときにも、所得税及び復興特別所得税を源泉徴収することになっています。会社の義務として相手方に断ることなく控除して支払われます。
源泉徴収される報酬には以下のようなものがあります。
- 原稿料や講演料
- 弁護士、公認会計士、司法書士など特定の資格を持つ人に支払う報酬
- 画や演劇、テレビなどの出演料
- プロスポーツ選手の契約金
4.支払配当金
会社が株式の配当金を株主に支払うときにも源泉徴収して支払います。株を持っている人なら、配当金からあらかじめ所得税・住民税が差し引かれているのを見たことがあるでしょう。
ちなみに、法人が受け取る配当には住民税がかかっていません。
源泉徴収税額の税率と計算方法
計算方法の基本
給与の源泉所得税については、国税庁の「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」という表を使って計算します。この月額表は毎年1月に改訂されるので、源泉徴収税額を計算するには新しく表を確認する必要があります。日払いで働いている人に対しては、日額表を使います。
源泉徴収税額は給与計算の担当者が電卓を叩いて計算しているわけではありません。実際には給与所得の源泉徴収税額表を使って簡単に求めることが可能です。
必要なのは以下の2つの情報です。
- 課税対象額:その月の給与額から非課税である通勤手当と社会保険料を差し引いた金額
- 扶養親族等の数:一定の要件を満たす配偶者や親族などの人数
【課税対象額の求め方】
課税対象額は以下の計算式で求めます。
・課税対象額=支給額合計-非課税通勤手当-社会保険料
源泉徴収税の具体例
たとえば、扶養親族が2人いて、給与支給額が38万1217円あり、通勤手当が1万4760円ある人がいるとします。この人が健康保険料が2万1964円、厚生年金保険料が3万4770円、雇用保険料が1144円、合計5万7878円かかっているとすると、以下のように計算できます。
38万1217円-1万4760円-5万7878円=30万8579円
この情報を税額表に当てはめると、「給与等の金額」が「20万8000円~31万1000円」の範囲となり、扶養親族2人ですので給与所得の源泉徴収税額は5490円であることが分かります。
利子・報酬の源泉徴収
利子の源泉徴収税率は15.315%、地方税は5%となっています。利子が400円つく場合は「400×15.315%=61.26円」という計算で、源泉徴収税額は1円未満切り捨てで61円となります。利息として入金される金額は400円から源泉徴収税を差し引いた「314円」です。
また、税理士や弁護士などの一定の職種に支払われる報酬から源泉徴収税が差し引かれることもあります。
基本的に報酬に対する源泉徴収税額は10.21%で、100万円以上になると20.42%にアップします。
原則的には、消費税込みの金額から源泉徴収税を差し引くことになっていますが、請求書などで税込か税抜かの区分が明確になっている場合については、税抜の金額に対して源泉徴収税額を計算することが可能です。
たとえば、税理士の報酬が税抜で3万円であるとき、消費税は2400円となります。原則としては税込価格の3万2400円に税率10.21%と掛けた「3308円」が源泉徴収税額となります。一方、消費税との区分があるケースでは、税抜価格の3万円に10.21%を掛けた「3063円」が源泉徴収税額となります。
源泉徴収票の見方
源泉徴収票とは
源泉徴収票は、給与支払者がその年に支払った給与の合計額と源泉徴収した税額の合計額を記載する書類です。1ヶ所からのみ給与を受け取っているケースなど、確定申告が必要ない人には源泉徴収票のみが「その年の所得証明」の書類となります。
そのため、たとえば住宅ローンや消費者金融のカードローンなどの借入や賃貸契約時の信用力の判断に利用されたりします。また、公的な手続きで提出を求められることもあります。
通常、会社や企業などの給与支払者は1月1日から12月31日までの給与をもとに年末調整を行います。年末調整を行った後は、1月31日までに2通の源泉徴収票を発行することが定められています。年の途中で退職した人には、退職後1ヶ月に発行することが原則となっています。
発行した2通の源泉徴収票のうち、1通は本人に渡して、もう1通は税務署に提出します。
税務署に提出する対象者は以下の2種類の人です。
- 年末調整した際も給与の支払金額が500万円を超えた場合
- 年の途中で退職して、給与の支払金額が250万円を超えた場合
給与支払者は、給与受給者が居住している市区町村宛てにも「給与支払報告書」を提出します。これは翌年に課税される住民税を計算するために使われます。
源泉徴収票が作成されるタイミング
源泉徴収票は、社員・従業員ごとに作成されることになっています。
作成のタイミングは主に以下の2つのパターンです。
①従業員の退職時
従業員が退職したときに、1月1日から退職時点までの給与に基づいた源泉徴収票を発行する義務があります。これは、その従業員自身の確定申告や、次の職場での年末調整に使われることになっています。
②年末調整の計算後
年末調整の計算が完了したら、源泉徴収票を発行する義務が給与支払者にあります。いわば、年末調整の「最終報告書」として作成します。
従業員と税務署にそれぞれ1部ずつ、市区町村に2部提出されるので、会社・企業は従業員1人につき合計4枚作成する必要があります。
【提出部数】
従業員:1部
税務署:1部
市区町村:2部
源泉徴収票の見方
源泉徴収票で重要なものは以下の4つの点です。
1.支払金額
支払金額とは、給与、残業代(時間外手当)、ボーナス(賞与)のほか、各種手当などを含めた額面の給料のことです。1年分の合計額が記載されており、年収とおおよそ等しくなります。
注意点は以下の2つです。
- 通勤費などの非課税扱いとすべき手当は支払金額に参入してはならないとされています。通勤費のほか、出張などで発生する交通滞在費なども所得税が課されない手当です。
- 年の途中で、他の会社から転職した場合には、前職の源泉徴収票を転職先に回収させる必要があります。前職の支払金額や徴収額の情報がなければ、その年の支払金額を確定させることができないからです。通常は、企業は退職者に源泉徴収票を発行する必要があるので、もし未発行である場合には前の会社に請求して発行してもらうようにしましょう。
2.給与所得控除後の金額
年末調整では「給与所得控除」という控除があります。これは「会社員にも必要経費がある」という考えがもとになっており、一定の額をサラリーマンの必要経費とみなして年収から差し引くことで、払うべき税金を安くするという制度です。
給与所得控除はそれぞれの年収(支払金額)に応じて金額が変わります。この控除額は2020年分以降から変更され、以下のように定められています。
給与所得控除額
給与などの収入金額 | 給与所得控除額 |
---|---|
180万円以下 | 収入金額×40%-10万円
(55万円未満は55万円) |
180万円超360万円以下 | 収入金額×30%+8万円 |
360万円超660万円以下 | 収入金額×20%+44万円 |
660万円超850万円以下 | 収入金額×10%+110万円 |
850万円超 | 195万円(上限) |
3.所得控除の額の合計額
給与所得控除以外の控除の合計額が「所得控除の額の合計額」に記載されます。この合計額には大きく以下の2点が含まれます。
- これまでの給与計算で控除してきた金額:健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料など
- 年末調整で初めて控除される金額:配偶者控除、基礎控除など
4.源泉徴収税額
1年間で徴収した所得税の合計額が記載されています。
扶養親族の扱いの変更に注意
源泉徴収税は扶養親族の数がポイント
源泉徴収税の計算で重要になるのが、扶養親族の人数です。
源泉徴収される税額は、社会保険料などを控除した金額と扶養親族等の数の2つから求めます。扶養親族の人数が2人であるとき、通常は月額表の「甲欄の2人」に該当して、その部分に記載された金額が給与から控除されます。
ただ、この扶養親族等の数で税額が決まる「甲欄」と利用できるのは、会社に「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人です。提出していないと「乙欄」が適用されてしまい、税金が高くなります。
この申告書は1つの会社にしか提出できないことになっており、2つ以上の会社に勤めている人は、給料の金額が多いほうの会社に申告書を提出しておきましょう。
所得税上の扶養親族とは
まず配偶者は、本人の所得が900万円以下で、かつ配偶者の所得見積額が85万円以下の場合に源泉徴収での控除対象配偶者となって、扶養親族としてカウントします。
親族の場合では、年齢16歳以上で所得見積額が38万円以下のときに控除対象扶養親族となります。乳幼児や小学生、中学生などの16歳未満の扶養親族はここではカウントされません。
2018年からの変更点
扶養親族の考え方は、2018年から税制が変わっています。税金を納めている本人が所得900万円(給与収入だけの場合には年収1120万円)を超えると、配偶者の所得にかかわらず配偶者控除が受けられなくなり、扶養配偶者からはずれることになっています。
まとめ
源泉徴収税額は一見難しそうですが、源泉徴収票の見方が分かれば理解は容易です。複数の会社に勤めている人や副業を持っている人は、この金額は重要ですので注意しておきましょう。
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