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企業年金とは?どんな種類があるの?

お金に関する豆知識   30 Views
企業年金とは、企業や会社が従業員の老後の生活を豊かにするために、国民年金と厚生年金に加えて設ける年金です。通常、会社員の年金は国民年金と厚生年金の「2階建て」ですが、さらにもう1段足して3階建てにしたものが企業年金で、近年では確定拠出年金制度が利用されています。

企業年金の基本的な知識

元は退職金だった

企業年金は、もともと「退職金」を分割して受け取るようにしたところから始まったシステムです。退職金は会社が長年勤めた社員をねぎらうための報奨金です。

この考え方はすでに江戸時代にさかのぼるほど古いもので、奉公の年季が明けた丁稚(でっち・当時の勤め人のこと)へ営業する権利を分けたり、独立資金を渡したりという「のれんわけ」という制度が元になっています。独立資金を渡す「のれんわけ」には、開業資金というだけでなく「功労・慰労」という意味合いがありました。

また、退職金は賃金の一部であるという考え方もあります。これは物価が急上昇しつつあった高度成長期、物価上昇に合わせて給与も引き上げようという時代に生まれましたものです。

会社の多くはあまりに早く物価が上昇するので、それと同じスピードで給料を引き上げすることができませんでした。そこで、その分を社員が退職するときに退職金として支払うことを考えるようになったと言われています。そこから、退職金は「賃金の後払い」を意味するようになりました。

その後、日本人の平均寿命が延びるなか、退職金は社員の老後度の生活保障という意味合いを帯びてきます。これを発展させたものが「企業年金」と呼ばれる年金の3階建てです。

新しい企業年金の制度

賃金の後払いとしての退職金は、会社が社員にお金を払う時期が遅いため、退職までに資金を積み立てて、退職時に多くの支払いをしなければなりません。企業としては、これも困難と考えるところも出てきました。そのため、退職金を分割して支払う「退職年金」というシステムが生み出されます。

この退職年金は、単に退職金を分割で支払うというだけではありません。企業は退職金という形でまとめて支払う必要がないので、その分の利息に相当する資金をプラスして支払うことにしました。運用益が出た分を年金に充当すると、より多くの資金を退職者に手渡すことができます。

これが「企業が退職者のために年金を支払うシステム」である企業年金の始まりです。

企業年金は1949年に大手の百貨店が導入したことが始まりと言われています。1952年には製紙会社と電機メーカーの2社がスタートさせて、当時の話題となりました。その後は平均寿命が急速に延びるなか、老後の生活保障という社員側のニーズとも合致するので、1960年代に企業年金は多くの企業で導入されるようになります。

以後、退職年金は企業や社員の要望に応える形で国が制度として認めています。1960年代に税制適格退職年金や厚生年金基金などが設立されています。中小企業だけが加入できる中小企業退職金共済制度もこの時期に設立されています。

年金の仕組み

日本の年金制度は、全国民に共通した「国民年金」を基礎年金として、厚生年金(被用者年金)と企業年金の3階建ての構造になっています。

1.基礎年金

基礎年金は国民年金という制度です。日本国内に住所のある20歳以上60歳未満のすべての人が対象となります。被保険者の種類によって、「第1号被保険者」「第2号被保険者」「第3号被保険者」の3種類に区別されます。

国民年金は誰もが加入し、誰もが受け取れる年金で、最も基本的な部分です。ここが3階建ての「1階部分」に相当します。

2.厚生年金

厚生年金は、民間の企業で働く従業員や公務員、私立学校の教職員で70歳未満の人が対象となる年金です。基礎年金の上乗せとして「報酬比例年金」が支給されます。正社員だけでなく、契約社員やアルバイトに対しても一定の条件で加入することができるものです。ここが3階建ての「2階部分」に相当します。

3.企業年金

3階建ての3階部分にあたる企業年金には、いくつかの種類があります。

  • 企業が従業員と給付の内容を約束して、高齢期になったときに従業員がその内容に沿った給付を受けることができるように設計したものが「確定給付企業年金」です。基金型や規約型などがあります。
  • 企業が従業員と給付の内容を約束して、高齢期になったときに従業員が受け取れる給付型のもののうち、確定給付型の企業年金を受け取れるものを「厚生年金基金」と呼びます。国の年金給付のうち、老齢厚生年金の一部を代行することになっていますが、厚生年金基金ではさらにそこにプラスアルファを行います。
  • この他、企業が拠出した掛金を個人ごとに区別して、掛金と個人の運用指図によって運用収益との合計額を給付金とする制度が「企業型確定拠出年金」です。

企業年金の種類

①確定給付年金

企業年金として多く利用されているのが「確定給付型企業年金」という制度です。これは確定給付企業年金法に基づいて実施される企業年金制度で、規約型と基金型の2種類があります。

規約型は、事業主が従業員の同意を得たうえで、制度の内容を定めた年金規約に基づいて、掛金を外部に拠出して資金を管理・運用して運用益を年金の給付に使うものです。基金型は、事業主が別法人として設立された企業年金基金によって運営されます。制度内容を定めた年金規約に基づいて資産を運用管理していきます。

確定給付企業年金には以下のような特徴があります。

  • 設立に必要な加入者数は、基金型では原則300人以上、規約型には人数の規定はない。
  • 掛金は原則として事業主が負担。本人同意のうえで2分の1を上回らない範囲で本人に負担させることも可能。
  • 年金の給付は原則として終身。また5年以上の有期年金。
  • 積立金を毎年計算し、基準額を下回るときには法令の定めによって掛金を見直しする。

②確定拠出年金の企業型年金

確定拠出年金という制度を使った企業年金もあります。これは確定拠出年金法に基づいた制度です。拠出額があらかじめ決定されており、将来受け取れる年金や一時金の給付金が個人ごとの運用実績に応じて変動します。

年金資金の運用は加入者が自己責任で行います。企業が実施して企業が掛金を拠出する企業型と、個人が任意で加入して個人が掛金を拠出する個人型の2種類があります。

年金制度として国民年金しか利用できない個人事業主が自分で掛金を支払う「個人型確定拠出年金」と同様の年金制度で、会社員の場合には厚生年金に加えて「確定拠出年金」を自己責任で掛けることによって3階建てにします。ただし、企業年金のときには企業が掛金を拠出するというだけです。

確定拠出年金には以下のような特徴があります。

  • 事業主が掛金を拠出。
  • 拠出には限度額が設定されている。
  • 年金給付は原則として5年以上20年以下の期間。
  • 給付額は、個人の運用によって決まるため、退職給付債務が生じない。
  • 事業主には従業員に対して投資教育義務がある。

③会社独自の年金

上記のほか、大企業のなかには企業独自の年金制度を持っているところがあります。

多くは「適格退職年金」と呼ばれるもので、企業が生命保険会社や信託銀行などの外部機関と契約して、年金原資を外部機関に積み立てるなどの法人税法で定める一定の条件がありますが、その条件を満たして国税庁から認可を受けることで、事業主が負担する掛金は全額を損金として扱うなどの税制上の優遇措置があります。

退職金の原資を社外積立によって標準化できることや、厚生年金基金に比較して少人数でも設立できるというメリットがあります。ホンダや日立などには、退職者に非常に有利な企業年金制度がありますが、これも適格退職年金制度を利用したものです。

近年では確定給付企業年金法の成立によって、2002年から新規の発足ができなくなり、それに従って既存の制度も税制上の優遇が受けられなくなりました。そのため、この制度は順次、確定給付企業年金などの他の制度への移行が進んでいます。

企業のなかには、「リスク分担型企業年金」という制度を導入して、独自性を保っているところもあります。

自分でもできる年金の3階建て

①個人型確定拠出年金

勤務先に企業年金制度がないときには、自力で運用したり貯金したりする必要性が出てきます。こういったケースに備えて2017年に設立されたのが「個人型確定拠出年金(iDeCo)」です。これまで企業年金といった年金の3階建てができなかった、3階建て部分がなかったという人のために設けられたものです。

基礎年金である「国民年金」しか掛金を払えない自営業者や、企業年金がなく年金が2階建てまでしかないサラリーマンでも利用することができます。専業主婦でも加入できるため、将来の年金が不安という人なら誰でも加入者となることが可能です。

個人型確定拠出年金(iDeCo)のメリットは税制優遇が豊富であるという点です。掛金を支払っている現役時代で掛金は全額所得控除とすることができます。

ポジティブなメリット
たとえばサラリーマンで企業年金がないときには最大月額2万3000円を拠出することができます。年間27万6000円となりますが、その全額が所得控除となります。

また、年金の3階建て部分がない自営業者であれば最大月額6万8000円も拠出することができ、年間で81万6000円も所得控除をすることが可能です。

ネガティブなデメリット
デメリットは、自分で運用する商品を選択しなければならないという点です。運用方法をしっかりと学んで、自己責任で掛金を支払っていく必要があります。また、原則として60歳まで引き出すことができないため、いざというときの資金として使うことができません。

所得控除になるのはメリットですが、あまり無理すると結局支払えないという事態にもなりかねないので、「このくらいなら大丈夫」という範囲で拠出するようにしましょう。

②個人年金保険

個人型確定拠出年金(iDeCo)の他にも、年金の3階建てになる制度があります。民間の保険会社が販売している個人年金保険という商品です。名称は「保険」となっていますが、システムとしては年金の3階建て部分を補うための保険商品です。

これも年金と同様、毎月保険料を支払って老後を迎えたタイミングでお金を受け取ることができます。

メリットは貯蓄が苦手な人でも積立することができるという点です。保険料は毎月銀行口座から引き落としされるため、自分で使ってしまう前に貯められるというメリットがあります。

また、節税効果も期待できます。年間の払込保険料によっても変動しますが、最大で所得税で4万円、住民税で2万8000円の節税効果があります。

デメリットとしては、民間の会社が運用するものであるため、「インフレに弱い」という点です。インフレは今の日本では考えにくいですが、デフレを脱却することを政府は目標としており、もしデフレ状態が解消されたら、すなわちインフレとなります。インフレが起こると貨幣価値は下がります。

たとえば、現在の500万円は40年前の約350万円と同じと言われています。これを応用すると、現在の500万円は40年後には約750万円となります。個人年金保険は基本的に固定金利で運用する商品であるため、インフレになったとしても金利が上昇することがありません。そのため、受け取るときに価値が低くなる危険性があります。

まとめ

企業の年金は、年金の3階建て部分に相当するものです。現在では個人型確定拠出年金に一括してまとめられていますが、企業によっては独自の企業年金を維持しているところもあります。

3階建て部分がない人も、自分で加入して年金を3階建てにすることが可能です。

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ライター紹介 ライター一覧

若松 貴英

若松 貴英

保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士(中小企業主資産相談業務)・AFP(日本FP協会認定)/金融業務検定(法務上級)/銀行業務検定(法務2級・財務3級・税務3級)など。銀行勤務時は融資のスペシャリスト」(悪く言えば「融資しか知らない」)として勤務していました。そのため「借入」に対しる知識や経験には自信があります。

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