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消費者物価指数とはどういうもの?どうやって決めてるの?

 2020/04/06 お金に関する豆知識   492 Views
消費者物価指数とは、消費者が日常的に購入する段階での商品の小売価格の変動を表す指数のことです。総務省が毎月発表する小売物価統計調査を元に作成される指標で、数多くある物価指数のひとつです。

国民の生活水準を示す指標としても用いられ、投資をする人にとっても重要な数字です。

消費者物価指数とは?

そもそも物価指数とは

国民は生活のなかで、様々な商品を買ったりサービスを受けて支払いをしたりしています。たとえば、豚肉が100gで220円、キャベツ1個が210円、映画鑑賞料金が大人1回1900円などといった具合です。

それぞれの商品は価格が高くなることもあれば、安くなることもあります。国民が購入する商品は全体としてどの程度変化しているのか、つまり物価の動きを見るには、多くの商品の価格の変化を総合的に見て判断する必要があります。

物価が下がったとか上がったとか言うときには、1年前と比べることもあれば、前の月と比べることもあるでしょう。どちらにしても、「ある時点と比較する」ことで割り出すことに変わりません。

物価の動きは比較の基準となる「ある時点」を決めて、その時の物価に対してどの程度上昇・下落したのかを比率の形で見るのが分かりすい方法です。この物価の動きを比率で示したものが物価指数です。

消費者物価指数とそれ以外の物価指数との違い

物価の動きを見るといっても、商品の価値には生産者が出荷するときの生産者価格もあれば、卸売業者が小売店に販売するときの卸売価格もあります。それぞれの段階で取引される価格は異なります。

日本では小売段階の物価の動きを示す指数を「消費者物価指数」としています。この他に企業間で取引されるものの価値の変動を表す企業物価指数などがあります。

消費者物価指数は、日常生活で消費者が購入する商品の価格の動きを総合的に見て数値化するものです。消費者が日常的に購入する食料品や衣料品、電化製品、化粧品などの価格の動きだけでなく、家賃や通信料、学校の授業料や理髪店での理髪料などのサービスの価格の動きも含まれます。

消費者物価指数は総務省統計局が作成しています。略称として「CPI」という言葉も用いられます。初めて作成されたのは1946年で、当時の激しいインフレを計測するために使われています。

その後も「日本経済の体温計」と呼ばれるほどに、政府が経済政策を正しく推進するうえで重要な指標となっています。

消費者物価指数の使われ方

政府は毎年目標を立てて経済施策を実施します。このときに消費者物価の安定は中心的な課題のひとつです。2013年に発表された政府と日本銀行の共同声明では、物価安定の目標として、「消費者物価指数の前年比上昇率で2%とする」ことが掲げられています。

いわゆる「デフレ対策」「インフレターゲット」と呼ばれているものです。日本銀行が金融政策を決める際には、消費者物価指数は重要な判断材料となっています。

また、消費者物価指数は、公的年金の給付額などを決めるうえでも重要な役割を持っています。厚生年金や国民年金などの公的年金は、そのときの物価に合わせて給付される必要があるからです。

キャベツ1個が100円だった時代に合わせて年金を支払っていた人に対して、キャベツ1個が200円になった時代になってから、年金支払時の水準のままの年金を受給させると、その人の生活は破綻してしまいます。

そのため、年金の給付水準は前年の消費者物価指数の変化率を基準のひとつとして調整されることが法律で定められています。これは消費者物価指数が消費者が物品やサービスを購入するときの価格変化を総合したものだからです。

消費者物価指数に基づく利用例
  • 国民年金法・厚生年金法・国家公務員共済組合法:年金額の改定
  • 児童扶養手当法:児童扶養手当額の改定
  • 都市再開発施行令:補償金の支払いにかかわる修正率の算定
  • 国土利用計画法施行令:土地の価格にかかる修正率の算定
  • 土地収用法第88条の2の細目等を定める法令:損失の補償に関する修正率の算定

消費者物価指数はどうやって計算するの?

ラスパイレス式という計算式を使う

消費者物価指数は、ドイツの経済学者のラスパイレスが1864年に提案した指数の計算式を使って算出します。日本だけでなく、多くの国々がこの計算式を使って消費者物価指数を計算しており、各国の経済情勢を比較するうえでも使うことができます。

ラスパイレス式を簡単な事例を使って表現すると以下のようになります。

2015年の1年間に国民が実際に買った商品を調べて、すべてを1つの大きな買い物かごに入れたと仮定します。月平均で米を6kg、牛肉を500g、トマトを1000g、バス代4回分、新聞代、家賃など1つにまとめてみます。

これを買うのに全部で30万円かかったとして、次に同じものを翌年の2016年に買ったとき、買い物かごに入っているものは同じですが、それぞれの商品の値段は上がったり下がったりしています。この買物をするための費用は前年と同じではありません。仮に31万円かかったとすると、物価が上がったことによって前年よりも1万円多く支払ったことになります。

2015年の30万円を100とすると、2016年の31万円は比例計算すると103.3となります。これが2015年を基準とした2016年の消費者物価指数です。

基準となる時点の決め方

消費者物価指数は、ある基準となる時点を物価を100として、その後の物価を比較した数値です。そのため、比較の基準となる年を決める必要があります。

この基準となる時点の買い物の内容に基づいて買い物かごに入れる商品と、数量を決めて、その時の買い物費用を100として翌年からの変化を指数で表します。買い物かごの中身や数量と替えると、費用の変化がわかりにくくなってしまいます。

そこで、買い物かごの内容を基準時に固定して物価の変化だけを図れるようにしています。

ただ、時間とともに消費者の生活は変化していきますので、いつまでも買い物かごの内容を固定していると、現実に買う商品が違ってきてしまいます。そこで、ときどき買い物かごの内容を変える必要があります。

そこで、消費者物価指数やその他の経済指数は西暦年の末尾が0と5の年を基準時として、5年ごとに改定することにしています。2010年、2015年と改定されており、2020年、2025年にまた改定が入ります。

基準となる商品の決め方

消費者物価指数は、買い物かごの内容全体を購入するためにかかった費用を比較します。そのため、かごのなかに何を入れるかということは重要な問題となります。

消費者が購入するすべての商品を網羅するのは現実的には不可能ですので、家計のうえで重要度の高い商品を代表として選んで、その価格を調べることになっています。この商品のことを「指定品目」と呼んでいます。

指定品目は、家計調査で消費者が実際に記入した家計簿の集計結果を基準にして、支出額の多い品目を選んでいます。家計調査は統計法に規定されている基幹統計調査のひとつで、全国の世帯の家計の実態を明らかにすることを目的とした調査です。

全国の市町村から168市町村を調査対象として選定して、調査世帯を無作為に選定し、約9000世帯に毎月家計簿の記入を政府が依頼し、毎日の収入と支出について詳細に調査をします。

品目は重要度の高いものを選ぶ

消費者物価指数を図るうえで基準となる商品は、偏りがないように選ぶ必要があります。高所得者が選ぶような品目ばかり選んでも、低所得者が選ぶような品目ばかり選んでも問題でしょう。

所得の多くない人が普段からゴルフ場に通うことは考えにくいですし、高所得者と中間層、低所得者では選ぶ背広にも違いが出てくるでしょう。

家計の消費支出が高い品目は、たとえば米やパン、牛乳、卵、冷蔵庫などがあります。支出額の極めて低い品目はあまり値動きを見ても参考にはなりません。消費支出のなかでその品目の支出額がどれだけなのかを割合で示した数字を「ウエイト」と呼んで、調整することになっています。

2015年基準の消費者物価指数では、2015年の家計調査の結果をもとにして、家計のうえで重要な商品として584品目を採用しています。

たとえば以下のような品目です。

  • 食パンや生鮮野菜などの食料品
  • 衣料品
  • エアコン、テレビ、パソコンなどの家電製品
  • 家賃
  • 診療代
  • 外食
  • 授業料
  • クリーニング代
  • 映画観覧料
  • 携帯電話通信料

消費者物価指数はどう見るといいの?

消費者物価指数が表すものとは

消費者物価指数は、それぞれの家庭で違っている家計に対する物価の動きを表すのではなく、消費者全体に対する物価の動きです。商品は家庭ごとに購入するものが違いますし、数量も違っています。私立大学に通う子供のいる世帯と、大学に通う子供のいない世帯では家計の状態はまったく違います。

消費者物価指数は上がることもあれば下がることもあります。とはいっても、物価の動きがそれぞれの世帯に及ぼす影響は異なっています。そのため、一般化した数値ではありますが、家庭ごとに受け止め方は違うでしょう。

世帯主の年齢や職業、収入が異なると消費支出の内訳にも違いが出てきます。そのため、消費者全体の物価の変化を表した消費者物価指数以外にも、世帯属性別の指数も作成されています。

変化率の計算

前月から、または前年同月からの物価の変化をみるとき、2つの時点の指数を単純に引き算するのではなく、変化率を使ってパーセントで上昇・下落を表します。

ある時点の指数をA、それより前の時点の指数をBとすると、この2時点の間の変化率は以下のように計算します。

・(A-B)÷B×100=変化率

たとえば、2011年6月の消費者物価指数について、2010年6月からの1年間の物価の動きを見てみましょう。2010年を100とした2011年6月の指数は99.7で、前年6月の指数は100.1でした。その差は-0.4となります。

これを100.1で割って100倍すると、0.4%の下落となります。

・(99.7-100.1)÷100.1×100=-0.4%

物価の変動の要因

消費者物価は、2010年6月から2011年6月までの1年間に0.4%下落しました。この変化率は消費者物価全体の動きを示した数字です。これだけを見ても、どのような要因で下落したのかは分かりません。

そこで、どういった項目の物価がどのくらい動いたのか調べる必要があります。

それによると、光熱費と水道費、交通・通信費。教育費は上昇していますが、食料や住居、家具・家事用品、被服と履物、保健医療、教養娯楽は下落しています。さらに教養娯楽用耐久財や家庭用耐久財の下落幅が他の項目に比較して大きくなっています。

しかし、項目ごとにウエイトが異なっているので、同じ下落幅でも家計への影響は一様ではありません。

そこで、各項目のウエイトを加味して、それぞれの項目の動きが物価全体の動きに対してどの程度影響しているかを寄与度という数値を用いて調整します。

指数と生活実感のずれ

消費者物価指数の動きと生活実感が合わないということは良く言われることです。消費者物価指数は世帯で購入する代表的な商品を選んで、それらの商品の価格の動きを総合した指数です。この品目には、値動きの大きなものもあれば、ほとんど値動きのない商品もあります。

消費者物価指数は、指定品目の価格の動きを客観的に調べて、それぞれの重要度に応じてウエイトを加味して計算されます。こういった計算方式で算出されるのが消費者物価指数ですが、個人の生活実感は毎日自分が買うものの値動きにどうしても引っ張られる傾向があります。

たとえば、大学の授業料が値上がりしたとき、学生のいる世帯では家計に大きく影響します。前年と比較して物価が下がったと言われても、そういった家庭では入学金や授業料の支払いがあるため、前年より生活が楽になったという実感は得にくいでしょう。

消費者物価指数から何がわかるの?

平成30年間の消費者物価指数の動き

総合指数の推移

平成元年 88.5 平成11年 98.4 平成21年 97.2
平成2年 91.2 平成12年 97.5 平成22年 96.5
平成3年 92.3 平成13年 97.2 平成23年 96.3
平成4年 95.8 平成14年 97.2 平成24年 96.2
平成5年 97.1 平成15年 96.9 平成25年 96.6
平成6年 97.7 平成16年 97.2 平成26年 99.2
平成7年 97.6 平成17年 98.6 平成27年 100.0
平成8年 99.5 平成18年 97.2 平成28年 99.9
平成9年 100.1 平成19年 98.6 平成29年 110.4
平成10年 99.8 平成20年 97.2 平成30年 101.3

平成30年(2018年)は101.3で、前年から1.3ポイント増加しています。つまり、2015年にひと月に消費する家計が30万円であったとすると、同じ商品を購入するために、2018年には30万3900円が必要だったということを意味します。

長期的な変化を見てみると

消費者物価指数を長期的にみると、1970年から1990年までの物価上昇は非常に激しく、1970年は2015年の3分の1程度の物価水準でした。今の現役世代とその親の世代では物価は2倍から3倍程度には価格差があります。

また、2008年のリーマンショック以降続いた不況のなかでも、消費者物価指数はそれほど大きく変動していません。2008年から2015年までの間で最もポイントを下げているのは2012年の96.2です。

これは、2015年のひと月の家計が30万円であるとき、2012年なら28万8600円で済んでいたという計算になります。

物価は長期的には上がる傾向がある

物価が上がったとか下がったというのは、何をどのスパンで見るのかでまったく変わってきます。経済全体では企業は好景気のときに物価を上げる傾向がありますが、景気を計るうえでは、物価が上昇している局面ではインフレになりやすい経済環境であることも多くあります。

物価が上昇しても、収入が上昇すれば家計は受け入れやすくなりますが、物価上昇と所得の上昇が比例せずに収入が増えなければ家計としては単にモノの値段が上がっただけで、受け入れがたいものになります。

資本主義経済が持続するという前提では、緩やかではありますが、数十年という単位で見ると物価は上がり続けます。

技術革新で物価が下がることがあっても、新たな技術の開発で実用化が繰り返されて、さらに新しい製品やサービスが登場して、より豊かな社会へと経済規模は膨らんで、その上昇に比例して物価も上がります。

大切なのは、「長期的には物価は上昇するが、収入がそれに比例して、もしくはそれ以上に上昇する」ということがなければ、家計の単位で見るとインフレが起こってしまうという点です。

戦後直後からの急激な物価上昇は今後発生することは考えにくいですが、収入のほうも年功序列の時代が終わって確実な収入の上昇も約束されていません。自分の責任で何かしらの対策を採っていく必要があるでしょう。

消費者物価指数と株価

投資をしている人にとっては、消費者物価指数と株価との連動性は重視すべきポイントと認識しているでしょう。実は、日本経済の動向は株価のほうが早めに反映されて、遅れて消費者物価指数が反応すると言われています。

そのため、消費者物価指数が下がったから株価も下がるといった連動性は基本的にはありません。とはいっても、多くの金融機関や企業は毎月発表される消費者物価指数を参考にその後の政策や戦略を立てます。

この戦略が今後の企業の成長に関わっているため、最終的な株価への影響は把握しておく必要があります。

消費者物価指数は総務省統計局のホームページでいつでも誰でも確認できるようになっています。指数の基準は末尾が0と5の年です。2010年、2015年、2020年、2025年を100とする指数が以後の4年間発表されます。

株価の変動と直結するものではないにせよ、消費者物価指数は投資をするうえでは非常に重要な数字です。物価の変動は金利の変動に大きな影響を及ぼすからです。消費者物価指数が上がってインフレ傾向に入ると、モノの値段が上がり始めて、それに反比例してお金の価値は下がります。

すると、モノとお金の価値のバランスを保つために政府や金融機関は金利を引き下げる対策を打ち出します。投資したいと思っていた金融商品の金利が上がれば、投資家はモノだけでなく、お金に投資しようとします。結果的にレートの上昇につながります。

投資商品の利回りなどと消費者物価指数は直接的な関連性はないものの、景気動向の分かりやすい指標としては消費者物価指数は重視しておくべきでしょう。

まとめ

消費者物価指数は様々な場面で参考にされ、経済の先行きを知るためにも重要な数字です。算出される方法も知ったうえで、生活や投資に役立てていきましょう。

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若松 貴英

若松 貴英

保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士(中小企業主資産相談業務)・AFP(日本FP協会認定)/金融業務検定(法務上級)/銀行業務検定(法務2級・財務3級・税務3級)など。銀行勤務時は融資のスペシャリスト」(悪く言えば「融資しか知らない」)として勤務していました。そのため「借入」に対しる知識や経験には自信があります。

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