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キャッシュフローとは?わかりやすく解説

 2020/03/08 金融用語集   23,900 Views

事業活動において最も注意すべきことは「現金が不足しない」ことです。手元の現金が無くなってしまうと、いくら利益を挙げていても事業を継続するのが困難になります。「利益」と「現金=キャッシュ」は異なることを覚えていく必要があります。

そこで知っておきたいのが「キャッシュフロー」と言葉です。ビジネス場面でが避けることのできない「キャッシュフロー」について考えてみましょう。

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キャッシュフローとは?

  • 「キャッシュ」→手元の現金の他、普通預金、当座預金などを指す
  • 「フロー」→流れのこと

以上から「キャッシュフロー」とは、「現金の流れ」を示していることになります。キャッシュフローは、次の2つから成り立っています。

  • 流入する現金→キャッシュ・イン・フロー
  • 流出する現金→キャッシュ・アウト・フロー

キャッシュフローの収支は、この2つの差し引きとなります。

「キャッシュフロー」=「キャッシュ・イン・フロー」-「キャッシュ・アウト・フロー」

キャッシュフローはプラスの時は、会社のお金が増えています。逆にキャッシュフローがマイナスの時は、会社のお金は減っています。

会社からお金が無くなってしまうと、従業員の給与支払いや取引先への支払いなどが出来なくなり、会社は倒産してしまいます。

この点からキャッシュフローを常に把握しておくことが重要なのです。

利益とキャッシュフローの違い

「利益」とは「売上」から「費用」を差し引いたものです。

利益=売上-費用

例えば100万円で仕入れた商品を150万円で販売したとすると、利益は「50万円」となります。

50万円=150万円-100万円

ただし日本の企業間取引はほとんどの場合、現金取引ではなく「掛取引」です。売上と売上代金回収にはタイムラグが発生します。

商品売買の取引はあるが、代金はまとめて翌月に振込するという、いわゆる「ツケ」の状態です。

  • 利益=50万円
  • キャッシュフロー=▲100万円

この場合「売上」は「150万円」分、利益は「50万円」分計上されますが、実際の現金は会社に入ってきません。むしろ仕入代金「100万円」分がマイナスとなります。

このように会計上の「利益」「売上」と「キャッシュフロー」は必ずしも一致しないのです。

利益は上がっているのにキャッシュフローがマイナスとなる

先に説明した通り、売上と売上代金回収にはタイムラグが発生するのが一般的です。このことに注意しておかなければ、利益が計上しているのにキャッシュフローがマイナスとなり、資金繰りが苦しくなる、といった助教にもなります。

最悪の場合「黒字倒産」という事態にもなりかねません。

例えば、仕入代金の支払いと販売代金の回収に長期間かかってしまうケースを考えてみましょう!

仕入代金100万円を支払った2ヶ月後に、販売代金150万円が入金されるとします。この時点ではキャッシュフローは▲100万円、いわば100万円を立て替えている状態です。

ここで商品の評判が順調で1ヶ月後、売上が2倍になったとします。仕入代金も2倍の200万円となり、2ヶ月後に販売代金300万円が入金されることになります。

この時点では先の販売代金150万円は入金されていませんので、キャッシュフローは100万円+200万円=300万円のマイナスとなります。
(売上総額は150万円+300万円=450万円、利益総額は50万円+100万円=150万円計上されます)

この状態(毎月売上300万円、仕入200万円、利益100万円)が続くとすると、この取引におけるキャッシュフローがプラスになるのは、初回売上から6ヶ月目以降となります。

売上 売上総額 仕入 利益総額 キャッシュフロー 入金
初回 150 150 100 50 ▲100
1ヶ月後 300 450 200 150 ▲300
2ヶ月後 300 750 200 250 ▲350 初回売上150万円が入金
3か月後 300 700 200 350 ▲250 1ヶ月後売上300万円が入金
4ヶ月後 300 1,000 200 450 ▲150 2ヶ月後売上300万円が入金
5ヶ月後 300 1,300 200 550 ▲50 3ヶ月後売上30.0万円が入金
6ヶ月後 300 1,600 200 650 ▲0 4ヶ月後売上300万円が入金

つまりこの期間は手元資金や借入により補う必要があることになります。

(注)実際には仕入代金の支払いも掛取引(ツケ)となりますので、キャッシュ・アウト・フローにもタイムラグが発生します。ただしここでは利益とキャッシュの関係がわかりやすいように、仕入代金についての掛取引は考慮しないで説明させていただきました。

キャッシュフローの3つの分類

キャッシュフローは、現金の流れのタイプにより次の3つに分類されます。

①営業活動によるキャッシュ・フロー

会社の本業のよる現金の増減です。売上による現金入金、原材料費支払いの他、従業員の給与などもこれにあたります。

②投資活動によるキャッシュ・フロー

設備投資や余剰資金の運用による現金の増減です。余剰資金の運用には、有価証券や投資有価証券の取得、売却などもこれにあたります

③財務活動によるキャッシュ・フロー

資金を調達したり借金を返済したりした現金の増減です。株式の発行による収入や、配当金の支払いなどもこれにあたります。

ちなみに、①から②を差し引いたものが会社の「事業活動」により生み出されたお金で「フリー・キャッシュフロー」といいます。

この3つのキャッシュフローの流れを示したものが「キャッシュフロー計算書」で、貸借対照表・損益計算書を合わせて「財務三表」と呼ばれています。

まとめ

キャッシュフローは企業の状態を図る指標でもあります。ある意味、企業の生命線ともいえるものですので、経営者は常に頭に入れておく必要があります。

万が一キャッシュフローがマイナスとなる状況が予想される場合は、早急に何らかの対策を立てなければいけません。早期に対策を立てるという意味でも、キャッシュフローを念頭に入れた営業戦略を立てていくことが重要です。

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ライター紹介 ライター一覧

若松 貴英

若松 貴英

保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士(中小企業主資産相談業務)・AFP(日本FP協会認定)/金融業務検定(法務上級)/銀行業務検定(法務2級・財務3級・税務3級)など。銀行勤務時は融資のスペシャリスト」(悪く言えば「融資しか知らない」)として勤務していました。そのため「借入」に対しる知識や経験には自信があります。