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遺産相続で確定申告は必要?相続税はいくらかかる?

 2020/04/02 お金に関する豆知識   1,733 Views

遺産相続をしたら確定申告をする必要があるのかどうかは、多くの人が疑問に思っている点でしょう。結論から言うと、多くの場合で確定申告の必要はありません。ただ、必要な場合には確定申告しておかないと損することもありますので、注意しておきましょう。

収入を得ることのできる資産を相続した場合には申告の義務が発生します。

遺産相続での相続税の基本を抑えておこう

相続税は基礎控除以下なら無税

相続税には、亡くなった遺族の以後の生活を支えるという意味合いもあるため、かなり大きな基礎控除額が認められています。相続人が取得した遺産の課税価格の合計額から基礎控除した残額に対して相続税がかかる仕組みになっています。

何はともあれ、以下の原則は覚えておきましょう。

「亡くなった人の遺産総額が3600万円以下なら相続税はかからず、相続税の申告の必要もない。」

基礎控除額は以下の計算式で算出されることになっています。

3000万円+600万円×法定相続人の人数

法定相続人とは、相続することができると法律で定められた人のことで、配偶者と血族相続人の2種類のことを指します。配偶者は法律上の婚姻関係がある人のことで、内縁関係は含まれません。

配偶者以外の相続人として血族相続人がいますが、血のつながりのある相続人以外でも養親子関係も含まれます。

法定相続人の人数と相続税の基礎控除額

法定相続人の人数 基礎控除額
1人 3600万円
2人 4200万円
3人 4800万円
4人 5400万円
5人 6000万円
6人以上 1人増えるごとに600万円を加算

国税庁の発表した資料によると、2017年中に亡くなった人は約134万人で相続税の課税対象となったのは、そのうち約11万200人でした。割合でいうと8.3%となります。つまり、相続税が課税されているのは全体の10%にも満たないことになります。

とはいえ、相続税の申告が必要なのに申告しなかった場合には、追徴課税で余計な税金がかかってしまうので、自分が関わる相続では注意しておきましょう。

また、相続税には「配偶者の税額軽減」という制度があり、配偶者の遺産取得額から、配偶者の法定相続分と1億6000万円のいずれか大きいほうの金額を差し引いて残った金額にのみ相続税がかかることも定められています。

相続財産から差し引いていい2種類のお金

亡くなった人を被相続人と言いますが、被相続人の状況によっては相続財産から差し引いて良いとされるお金があります。

まずは、被相続人が借金をしていて未返済であったときです。良くあるケースが住宅ローンの残債があるまま亡くなってしまうというケースですが、この債務は相続財産から差し引いて良いことになっています。

被相続人が借金を抱えているとき、借金も財産として相続人に相続されます。債権者は相続人に返済を請求して良いことになっています。この場合、現金などの財産よりも債務額のほうが多ければ相続放棄という選択肢を採ってもいいでしょう。

もし財産のほうが格段に多いときには、相続放棄するともったいないので、借金も一緒に相続して、相続人が相続財産から返済することになります。

被相続人が1億円の財産を残していたときに債務が1000万円あれば、相続財産は9000万円となります。

また、被相続人の葬儀にかかる費用に相当する金額も相続財産から差し引いて良いことになっています。

相続税早見表でおおよその相続税を知ろう

相続税の計算は、実際には複雑になることもありますが、おおよその額であれば簡単に計算することができます。以下の表で確認しておきましょう。

相続人が配偶者と子であるとき

遺産総額 配偶者 配偶者 配偶者 配偶者
子供1人 子供2人 子供3人 子供4人
5000万円 40万円 10万円 0 0
6000万円 90万円 60万円 30万円 0
7000万円 160万円 113万円 80万円 50万円
8000万円 235万円 175万円 138万円 100万円
9000万円 310万円 240万円 200万円 163万円
1億円 385万円 315万円 262万円 225万円

相続人が子供だけであるとき

遺産総額 子供1人 子供2人 子供3人 子供4人
5000万円 160万円 80万円 20万円 0
6000万円 310万円 180万円 120万円 60万円
7000万円 480万円 320万円 220万円 160万円
8000万円 680万円 470万円 330万円 260万円
9000万円 920万円 620万円 480万円 360万円
1億円 1220万円 770万円 630万円 490万円

遺産相続で確定申告が必要なケースとは

収入を生む資産を相続したとき

遺産相続で確定申告が必要な代表的なケースとして、賃貸アパートや駐車場といった「そのもの自体から収入を生む遺産」を相続した場合が挙げられます。この場合には、その受け取った収入に対して所得税の確定申告をする必要があります。

たとえば、今まで父親が賃貸アパートを所有しており、父親が確定申告をしていたとしましょう。この父親が亡くなった場合には、遺産である賃貸アパートを相続した相続人が父親に代わって今後の確定申告をしていく必要があります。

ここで問題になるのは、確定申告は「その年の1月1日から12月31日までの収入」の申告を翌年の2月から行うので、年度の途中で亡くなるケースが圧倒的に多いという点です。

たとえば、賃貸アパートを所有していてそのからの賃料収入のある父親が6月30日に亡くなった場合には、その年の1月1日から6月30日までの収入は父親の収入として、7月1日から12月31日までの収入は、アパートを相続した相続人の収入として確定申告の手続きを行う必要があります。

注意したいのは、被相続人の収入です。亡くなった被相続人に関わる収入の確定申告のことを「準確定申告」と言いますが、この準確定申告は死亡日から4ヶ月以内に行うこととされています。

相続人の確定申告は通常の確定申告と同様に翌年の3月15日までに行えば良いことになっています。

準確定申告は忘れがちなもののひとつですので、充分に注意しましょう。

相続人が被相続人の賃貸事業などを引き継ぐ場合には、いくつかの必要な手続きがあります。特に事業を継承した相続人が青色申告者になるには書類の提出期限に注意しましょう。

相続した土地・建物を売却したとき

相続した土地などの不動産や株式などの有価証券などを売却した場合には、相続とは関係ない土地などを売却した場合と同様に所得税の確定申告が必要です。ただ、その売却の際に支払うことになる税金は、大幅に節税できる特例が適用できることがあります。

「相続財産を譲渡した倍の取得費の特例」という制度です。相続した財産に相続税が課税されているとき、そのかかった相続税の一部を売却時にかかる税金から差し引くというものです。

土地などの資産を売却した場合には、通常以下のように税金を計算します。

(売却価格-もともと買った金額)×税率

相続が発生しているとき、「もともと買った金額」つまり取得費にさらにプラスして相続税の一部を加算することができます。

(1)「相続税の課税価格の計算の基礎とされた財産の価額を計算する。

(2)その者の相続税の課税価格+その者の債務控除額

(3)(1)÷(2)×その者の相続税額=取得費に加算する相続税額

【事例】

ある人が、相続で父親から相続税評価5000万円の土地と5000万円の現金、合わせて1億円を相続して相続税を2000万円払ったとします。そして、相続した土地を5000万円で売却したとき、この土地がもともといくらで買ったのか不明なとき、以下のように計算できます。

(1)売却した土地の相続税評価=5000万円

(2)相続税の課税価格=1億円

(3)5000万円÷1億円×2000万円=1000万円

ここから譲渡した際にかかる譲渡税を計算します。

(5000万円-5000万円×5%-1000万円)×20.315%=約760万円

もともと買った金額が不明の場合には売った金額の5%を概算取得費として計上します。

相続した財産を寄付したとき

相続した財産を寄附した際にも、確定申告をすることで節税することができます。相続した財産を寄付した先が「寄付先等の要件」に該当する必要がありますが、相続税から一定額を控除できる寄付金控除が適用されます。

さらに、この相続税に関する寄付金控除を適用した後にも、その相続人に関わる所得税からも一定額をさらに控除することができます。この寄付金控除を受けるためには、所得税の確定申告を行う必要があるので注意しましょう。

寄附する先は国や地方公共団体、ユニセフや赤十字などの特定公益増進法人などの決められた寄付先である必要があります。

確定申告の方法

所得税の確定申告をする方法は主に以下の3つの方法です。

①自分で税務署に行く

毎年、確定申告の時期になると全国各地の税務署で確定申告の相談窓口が設置されます。実際に行く必要はありますが、資料などの持ち込んで、その場で申告書作成のアドバイスをもらいながら確定申告をすることができます。

あまりにも金額が大きなケースや複雑なケースでは対応しきれないこともあります。

②国税庁のホームページで電子申告

国税庁のホームページから、所得税の確定申告書を作成することができます。ただ、ある程度の知識がないと未経験の人がいちから仕上げるのは困難でしょう。

③税理士に依頼する

税理士に依頼するのが、手続きとしては最も手間がかからないでしょう。ただ、内容にもよりますが手数料がかかります。最も簡単なものでも5万円程度は必要です。

不動産の相続で確定申告するケース

家賃収入と換価分割

不動産を相続した場合には、2つのケースで確定申告する必要があります。

1.家賃収入

家賃収入がある賃貸物件を遺産相続した場合には、家賃収入分が被相続人の所得になります。そのため、相続人が被相続人に代わって「準確定申告」をする必要があります。

準確定申告で被相続人の収入を確定して所得税を支払い、さらに被相続人が亡くなった日から発生する賃貸料については相続人が自分で確定申告する必要があります。

2.換価分割

不動産を売却してお金に変えて遺産分割するのを「換価分割」と言います。この場合は、不動産を買った人から受け取った売約代金は相続人の所得となるため、確定申告をする必要があります。

確定申告の期限

相続が発生したときの確定申告の期限は、家賃収入なのか換価分割なのかで異なるので注意が必要です。

  • 家賃収入があるとき:相続が発生した翌年の2月16日~3月15日
  • 換価分割で不動産を分けたとき:不動産を売約した翌年の2月16日~3月15日

確定申告を忘れると、無申告加算税と延滞税を課税されてしまうので忘れずに申告しましょう。忘れてしまった場合でも、なるべく早く申告して所得税を納めましょう。自主的に申告すればペナルティも軽く済みます。

相続税の納税期限は「被相続人が亡くなった日の翌日から10ヶ月以内」と定められているので、混同しないように注意しましょう。

また、被相続人が亡くなった年の確定申告は、相続人が代わりに行うことになりますが、これは相続発生から4ヶ月以内となっています。「相続が発生した翌年の2月から」ではないので充分に注意が必要です。

被相続人に家賃収入があるときには、おおよその場合で準確定申告が先に来ます。その後に相続人の家賃収入に対する確定申告が続きます。換価分割で不動産を分けた場合でも、被相続人が亡くなった日までの準確定申告が必要になります。

相続では課税のタイミングが微妙にずれていくので、いつ・何に対する・いくらの税金を申告すべきかスケジュールを管理しておきましょう。

準確定申告に注意

1.期限

相続に関する確定申告で忘れやすいのが、準確定申告です。準確定申告は相続発生から4ヶ月以内に行わないといけないため、なるべく早めに準備しておきましょう。亡くなった日が4月14日なら、8月14日までには申告しなければなりません。意外に早く4ヶ月はやってきます。

2.準確定申告の方法

基本的には、通常の確定申告とやり方は同じですが、確定申告書の提出先が被相続人の住所を管轄する税務署である点には注意しましょう。また、相続人の連名で申告する点も注意が必要です。

間違って相続人の住所を管轄する税務署に行っても受け付けてもらえません。被相続人と相続人が離れたところに住んでいる場合には、時間や手間がかかることになります。

3.所得控除が適用される

準確定申告でも、所得控除の適用を受けることができます。被相続人に受けられる控除がないかどうか確認しておきましょう。

  • 医療費控除
  • 社会保険料、生命保険料、地震保険料控除
  • 配偶者控除、扶養控除

所得控除を受けることができるのは、被相続人が死亡するまでに支払った金額であって、被相続人の死亡後に発生したものについては控除の対象外となります。

相続税控除の注意点

配偶者控除の基本

非課税
相続税の課税対象となるのは、被相続人が所有していた自宅や賃貸アパート、賃貸住宅、株券、国債、投資信託などの合計額です。

この額が3600万円以内であれば、まったく相続税はかかりませんし、申告の必要もありません。

また、配偶者は相続税が大幅に軽減されることになっています。全遺産の2分の1もしくは1億6000万円のどちらか高いほうまで非課税扱いです。

たとえば被相続人の遺産が1億円あったとしても、2分の1である5000万円を配偶者が相続したら配偶者に課税される税金はゼロです。すべての遺産の2分の1以下だからです。

また、1億円すべてを相続しても、1億6000万円以下なので課税されません。仮に遺産が5億円あったとしても、その2分の1である2億5000万円までは配偶者控除の対象となります。

配偶者は被相続人と生活を共にした人で、その人に対しては大きな軽減措置が採られていると考えていいでしょう。子供たちは独立生計を立てていても、配偶者は被相続人が亡くなった後の生活を遺産でまかなう必要もあるため、大幅に税負担が軽減されています。相続は突然やってくることもあります。

そのときに、慌てないように、まずはすべてを配偶者に相続してもらうというのも有効な方法です。

二次相続に注意しよう

相続で注意したいのは「二次相続」と呼ばれる相続です。

たとえば、夫婦のうち夫が亡くなった場合に配偶者がいったんすべてを相続すれば大きな控除を受けることができますが、やがてその妻のほうが亡くなった場合には、子供に相続されます。

その場合には、もともと母親が個人的に保有していた資産に父親から相続した資産が計上されます。

この二次相続では多額の相続税が課税される可能性があります。相続税率は累進課税ですので、一度に相続する資産が大きければその分だけ税率も上がります。

遺族が考えなければならないのは、どちらかというと二次相続であるというケースは多くあります。父親の死亡が突然であるとき、遺族は何も考えられなくなってしまうことは良くあることです。一段落ついたところで、改めて遺された人たちで遺産の扱いについて良く話し合っておきましょう。

二次相続の対策

一家の父が亡くなった後も母が健康であれば、二次相続に備える対策も採ることができます。良くある方法は、母が元気で判断力のあるうちに、母が保有している資産を子や孫に少しずつ贈与する方法です。

通常は生前に贈与をすると、相続税よりも高い税率で贈与税が課税されます。とはいえ、誰に対する贈与であっても、贈与の対象者1人に対して年間110万円までなら非課税で申告の必要もないので、スムーズに資産を分けることが可能です。

また、高齢者が高額な資産を持っているよりも、若い世代にお金を持って使ってもらうほうが経済が活性化されるので、たとえば子供の住宅購入資金や教育資金という事由で贈与する際や、相続時精算課税制度など、様々な税制で高齢者から若い世代への家族間贈与に対する優遇措置があります。

注意したいのは、贈与税が「もらった人に対して税金がかかる」という点です。あげるほうには課税されません。年間110万円はもらう側の基準です。

たとえば、娘とその配偶者、その間に2人の孫がいて合計4人にそれぞれ毎年110万円を贈与できます。110万円を4人、10年間継続すると4400万円を非課税で渡すことができます。

こういった対策をせずに遺産相続で4400万円を相続させるときには、その全額が課税対象となることもあります。贈与税の非課税枠を使うなど対策して、二次相続に備えましょう。

小規模宅地等の特例

被相続人が居住していた自宅を、配偶者や同居の親族が相続した場合には、自宅評価額が8割減になるという制度があります。「小規模宅地等の特例」という制度です。これは、今後も相続人が居住する場所に税金をかけて相続人の税負担を強いることを軽減する措置です。

被相続人の住居に継続して相続人が住むというときには、その人が自宅名義を相続することで税負担の軽減になります。もし同居していなくても、持ち家を保有していない相続人が相続した場合に利用できる特例もあります。

「家なき子特例」という制度です。いくつかの要件を満たしていることが必要ですが、適用されるかどうかは相続税に大きく関わることですので、良く調べておきましょう。

まとめ

相続税というと、怖いものとか非常な高額になるイメージがありますが、実際には相続が発生したケースのうち10%以内しか相続税はかかっていません。様々な税制上の優遇措置があります。準確定申告が必要なケースだけ、申告時期に注意しましょう。

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ライター紹介 ライター一覧

若松 貴英

若松 貴英

保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士(中小企業主資産相談業務)・AFP(日本FP協会認定)/金融業務検定(法務上級)/銀行業務検定(法務2級・財務3級・税務3級)など。銀行勤務時は融資のスペシャリスト」(悪く言えば「融資しか知らない」)として勤務していました。そのため「借入」に対しる知識や経験には自信があります。

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