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障害年金の申請では医師の診断書が重要

お金に関する豆知識   7,630 Views

障害年金の給付を受けるには、障害の原因となった疾患や怪我などについて部位ごとに決められた認定条件を満たす必要があります。

障害年金は、障害よって生活や仕事に制限が出ている人の経済負担をカバーするためセーフネットですが、医師の診断書と病歴・就労状況等申立書が非常に重要になります。

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医師の診断書が重要である理由

障害年金の基本的な理念

障害年金は、視覚や聴覚、手足など身体に重い障害が残った人がもらうものというイメージもありますが、実際には精神障害を要因として受給している人が数多くいます。

また、内臓疾患も対象となっており、がんが原因で障害の状態にある人にも受給できる可能性があります。抗がん剤や放射線治療による副作用でも、給付を受けられることがあります。

このようなケースで障害年金が給付されるのは、障害年金が基本的に「障害によって生活や仕事に制限が出ている人の経済的な負担を軽減すること」がそもそもの理念だからです。

たとえば、がんに罹患して身体の特定の部位の障害や全身の衰弱、治療の副作用で障害状態が出て、生活に支障が出たり、仕事ができなくなったりすると受給できる可能性があります。

精神障害があるのに、無理して治療費や生活費を稼ぐために働いている人もいますが、障害年金を受給できれば仕事を辞めて治療に専念できたり、自分ができる範囲の仕事に替えてもらったりすることができるかもしれません。

そういった目に見えない部分を伝えるのが診断書と病歴・就労状況等申立書です。そのため、この2つの書類は自分の障害の状態を正しく伝えるものにまとめてもらう必要があります。

支給の判定は書類のみ

障害年金の支給の判定は、提出する書類だけで行われます。請求では以下のような書類が必要となります。

  • 年金手帳
  • 本人確認書類
  • 診断書
  • 受診状況等証明書
  • 病歴・就労状況等申立書
なかでも受給を左右するのが、実際に治療した主治医が書く「診断書」です。書いてもらうには1通あたり3000円から1万円程度の手数料がかかります。

判定するのは役所の人ですが、この人たちは医療の専門家ではありませんし、実際にその人がどれだけ仕事に困難を抱えているかを判断できる基準は持っていません。医師の診断書を見て障害の程度を読み取り、受診状況と病歴と就労状況を見て判断します。

書類がどのように書かれているかによって、まったく判定が違ってくることがあります。診断書は障害等級と判定するためのもので、医師が書く内容によって受給の可否が分かれます。そのため、非常に重要な位置付けになっています。

書類の作成で大事なこと

初診日の特定が困難になるケースもあります。「なんとなく調子が悪いな」と思って受診したクリニックでがんが疑われ、別の病院を紹介されて手術や抗がん剤治療受けて、障害が残ったとき、病院の主治医に診断書を書いてもらうには、最初に行ったクリニックのカルテから初診日を確定します。

このように、初診を受けた医療機関と診断書を書いてもらう医療機関が違っているときには、初診日のほうに「受診状況等証明書」を書いてもらう必要があります。この証明書を見れば初診日が分かり、主治医も診断書を書きやすくなります。

また、「病歴・就労状況等申立書」も医師に書いてもらう書類ですが、これは基本的に患者が自己申告した内容が記載されます。

病気や怪我の種類や受診内容、治療の経過などを記載するだけでなく、日常生活の状況や仕事の状況を書く欄があり、「その障害によって日常生活にどのような支障があるのか」「以前に比較してどのくらい仕事に制限がかかっているか」を具体的に記入します。

ここで見えを張って大丈夫なようなフリはしないようにしましょう。あくまで正しく、きっちりと困っている状況を書いてもらわないと役所の人も判断に困ってしまいます。

体調が悪いなかで、年金事務所に行ったり書類を作成したりするのが大変という人も多くいます。そういった場合には病院の医療相談室にいるメディカルソーシャルワーカーに相談すると、障害年金に詳しい社会保険労務士を紹介してもらえることもあります。

障害年金だけで暮らしていけなくても、受給ができればその分確実に経済負担は軽減できます。受給できるかどうかが死活問題となることもあります。そのため、しっかりと適切な診断書を書いてもらうよう、患者のほうから積極的に情報提供しましょう。

障害年金の診断書の作成依頼

初診日を調べる

障害年金の申請・請求の手続きは、簡単ではありません。診断書さえあれば良いというものではなく、初診日を調べる必要がありますし、初診日の時点で国民年金に滞納がないことが確認できなかったり、障害等級に該当しなかったりすれば障害年金は支給されません。

障害年金では、その疾病について初めて医師に診てもらった日が初診日となります。

【事例】

  1. 歯科医師で腫瘍が見つかり、その後口腔外科に紹介されて通院・治療した場合には、最初の歯科医師の診察が初診日となります。
  2. うつ病で通院していたが、その後に検査したところ発達障害と診断されたとき、うつ病で通院していた医療機関が初診日となります。

初診のクリニックや病院と、現在の医療機関が違っているとき、初診の医療機関で「受診状況等証明書」を書いてもらわなければなりません。初診からずっと同じ医療機関に通院しているときには、この証明書は必要ありません。また、知的障害の場合には受診状況等証明書は必要ないとされています。

初診の医療機関がなくなったり、あまりに昔のことだったりする理由から、カルテが破棄されることもあります。このとき、最初の診察による「受診状況等証明書」の作成はできなくなりますので、そのときには2番目の医療機関で証明書を作成してもらうことになります。

最初の医療機関から証明書を出せない場合には、「受診状況等証明書が添付できない申立書」という書類を自分で書く必要があります。困難なのが精神障害の場合です。うつ病として診察されたのが、かなり若い頃であって、精神障害にまで悪化するのに長期間かかるケースは多くあり、こうした書類の用意はかなりの困難となります。

「受診状況等証明書が添付できない申立書」を書いたとしても、その他の客観的な資料を添付するよう要請されることもあります。

どうしても、初診日の証明が取れないケースが多く発生したため、そういった人の救済を目的として2015年に国民年金・厚生年金保険の施行規則が改正され、「障害年金の初診日を明らかにすることができる書類を添えるもとができない場合の取扱について」が通知されています。

詳しくはNPO法人や厚生労働省からの通知を検索して調べてみましょう。

診断書の作成を医師に依頼する

初診日が分かり、初診の時点で国民年金を支払っている、または免除されている場合には、障害年金の手続きに進むことが可能です。診断書は以下の8種類です。

眼の障害 眼の診断書
聴覚・鼻腔機能・平衡感覚・そしゃく・嚥下・言語機能の障害 聴覚・鼻腔機能・平衡感覚・そしゃく・嚥下・言語機能の診断書
肢体の障害 肢体の診断書
精神の障害 精神の診断書
呼吸器疾患の障害 呼吸器疾患の診断書
循環器の障害 循環器疾患の診断書
腎疾患・肝疾患・糖尿病の診断書 腎疾患・肝疾患・糖尿病の診断書
血液・造血器・その他の障害 血液・造血器・その他の診断書

初診日から1年6ヶ月~1年9ヶ月の頃に通院し、その頃にすでに障害の状態であるときには、障害認定日請求(遡及請求)をすることになります。そのときには、1年6ヶ月~1年9ヶ月の頃の状態が記載された診断書が1枚、請求日現在の状態を記載した診断書1枚の合計2枚の診断書が必要です。

初診日から1年6ヶ月~1年9ヶ月の頃に通院していないときや、初診日から1年6ヶ月~1年9ヶ月の頃は症状が落ち着いていたり、初診日から1年6ヶ月~1年9ヶ月のカルテがなかったりするときには、現在の状態が記載された診断書1枚のみで請求することになっています。

病歴・就労状況等申立書を作成する

初診日も分かり、医師の診断書も作成もできたら、次に「病歴・就労状況等申立書」を作成する必要があります。

「病歴・就労状況等申立書」には、発病の時期や発病時の状況、治療の経過、入院や退院、転院、治療の中断や再開、就学・就労の状況、作業所やヘルパーの利用の状況などを記載し、さらに日常生活や家庭での生活でどういった支障が出ているのかを具体的に書くことになります。

この申立書は障害年金の審査で非常に重要な書類です。記載の内容によっては障害等級の決定に影響を与えることになるからです。障害によって日常生活や就労にどのような支障があるのか慎重に記入していきましょう。

たとえば、1級と2級における生活の支障の程度の違いは微妙なところがあります。1級では「常に誰かの助けが必要」とされていますが、2級では「他人の助けをときどき必要」とされています。一人で外出できるのであれば2級となりますが、食事の用意や入浴などの身の回りのことができないときには1級です。

「常に助けが必要」なのかどうか、また外出はできるものの他の日常生活に支障があるといった場合にどう記載すべきかといったことを慎重に把握して記載しなければなりません。

障害年金の審査をするのは役所の専門の職員ですが、医療の専門家ではありません。そのため、審査では書類だけで判定します。書類で「日常生活に問題ない」と記載すると障害等級に影響します。日常生活での支障は、本人だけではなかなか判別しにくいケースが多くあります。

重要な書類ですので、作成では専門の相談員やケースワーカーなどに相談しながら書くようにしましょう。

まとめ

障害年金の申請では、医療機関の専門家や相談員など多くの人の手を借りることになります。申請は煩雑な手続きが必要で、本人が一人だけで行うのはかなり困難です。家族やソーシャルワーカー、ケースワーカーなどの手を借りて客観的な視点から書くようにしましょう。

等級の認定は、本人の今後の生活を左右しかねません。病歴・就労状況等申立書」などは慎重に書きましょう。

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若松 貴英

若松 貴英

保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士(中小企業主資産相談業務)・AFP(日本FP協会認定)/金融業務検定(法務上級)/銀行業務検定(法務2級・財務3級・税務3級)など。銀行勤務時は融資のスペシャリスト」(悪く言えば「融資しか知らない」)として勤務していました。そのため「借入」に対しる知識や経験には自信があります。