学資保険の受取人は誰にしたらいい?受取人変更はできる?
学資保険とは子どもの将来の教育費を準備するための保険ですが、満期が来たらお金を受け取る「受取人」は一般的に、子どもではなく契約者本人です。
なぜ受取人は契約者がいいのか、そして受取人の変更についても解説していきます。
Contents
学資保険の「契約者」「被保険者」「受取人」とは?
学資保険に関わるのは、「契約者」「被保険者」「受取人」の3者です。
契約者
契約者とは保険会社と保険契約した人で、保険料の支払義務などを負います。と同時に、契約内容の変更などの権利を持ちます。
契約者には一般的に、父・母どちらかがなることが多いですが、祖父母が契約者となることもあります。
被保険者
被保険者とは保険の対象となる人のことです。
学資保険の場合には保険の性質上必ず子どもが被保険者となります。
受取人
受取人とは、祝金・学資金・満期保険金などを受け取ることができる人のことです。学資保険の場合、契約者が受取人となることが多いです。
配偶者や子どもが受取人になることも可能ですが、契約者と受取人が異なる場合、保険金受取時の税金の種類が変わります。
受取人は契約者がいい?その理由は?
受取人はなぜ一般的に契約者が多いのか?そのほうがいい理由は税金です。
「学資保険は満期になったら税金がかかる?」の記事でも詳しく説明していますが、学資保険は満期などでお金を受け取る際に税金がかかるケースがあります。次の表をみてください。
受取人 | 税の種類 | ||
---|---|---|---|
契約者=受取人 | 所得税 | ① (満期保険金・祝金など)…一時所得 | 税金を支払うことはほぼない |
② (学資年金)…雑所得 | サラリーマンなら ほぼ非課税 |
||
契約者≠受取人 | 贈与税 | ③ 贈与税 | 110万円を超えると 税金がかかる |
こちらの表をみてもわかりますように、税金を考えると受取人は契約者本人であることが有利です。
① 満期金一括の場合、契約者なら税金を支払うことはほぼない
契約者と受取人が同一で、満期保険金を一括でもらうような学資保険であれば所得税のうち、「一時所得」に分類されます。
一時所得の場合、特別控除額50万円があるため、払込保険料が50万円以上多く返ってこなければ税金がかかりません。
このタイプの学資保険ではソニー生命学資保険のⅡ型が該当しますが、1,000万円満期金で10年払込にしたとしても+34万円、特別控除額の範囲内で税金がかかりません。
つまり、このタイプなら満期金で税金を支払うことはほぼありません。
② 学資年金の場合、契約者でサラリーマンならほぼ非課税
ちょっと注意したいのが満期金一括ではなく、大学4年間で毎年分割して受け取るタイプの学資保険。返戻率上位のニッセイ学資保険、明治安田生命、ソニー生命Ⅲ型がこのタイプに該当します。
学資年金タイプは所得税のなかでも「雑所得」にあたるのですが、雑所得では一時所得のような特別控除がありません。
ソニー生命Ⅲ型で計算すると、受取総額300万円10年払込の場合、雑所得は3万円程度。算出された雑所得はそのまま課税対象となります。
③ 契約者と受取人が違う場合は贈与税がかかる
例えば父親が契約者で母親が受取人など、契約者と受取人が違う場合、保険料を支払った本人ではない人が満期金を受け取ることになります。
この場合、お金を贈与されたのと同義になるため、贈与税がかかります。贈与税は他の贈与も含め、年間110万円を超えると税金がかかります。
「家計が一緒だから」という考えもあるかもしれませんが、保険契約は個人に紐づいているため夫婦であっても贈与税はかかってしまいます。
学資保険の満期金は110万円以上になることが多いため、契約者と受取人が違う場合には贈与税がかかると思っておいたほうがいいでしょう。
もし契約者と受取人が違う契約にするのであれば、年間の贈与額が110万円以内におさまるようにしましょう。
【結論】受取人は契約者本人が有利!
以上のことから、
- 学資保険の受取人は契約者本人が有利
- 契約者本人でも自営業の場合は学資年金だと雑所得がかかる
こうしたことが言えます。
もしも受取人を契約者にしていない、変更したいという場合には、保険会社に連絡をして受取人の変更手続きも可能です。
学資保険の受取人変更方法
学資保険の受取人を変更する際の手続き方法にはネット上でできるものからコールセンター、保険会社の担当者が訪問など保険会社によっても様々です。ここではソニー生命の学資保険の受取人変更方法について紹介します。
受取人変更手順
- ソニー生命の担当者またはカスタマーセンターに連絡
- 書類のお届け
【署名での手続き】請求書類を担当者から手渡しもしくはソニー生命から発送
【電子請求書での手続き】電子請求書をお客様WEBサービスへ送信 - 書類の提出
【署名での手続き】請求書類に記入後、返送
【電子請求書での手続き】お客様WEBサービスへログイン、電子請求書を確認のうえ手続き - 手続き完了
離婚したらすぐに契約者や受取人変更を
「学資保険は離婚したら解約する?財産分与や名義変更について」の記事でも詳しく解説していますが、離婚した場合には学資保険の契約者や受取人の変更をする必要があります。
名義を変更しないことでトラブルが発生するケースが多いからです。
離婚後は子どもの親権は母親側が持つケースが多いですが、対して学資保険の契約者は父親にしているケースが多いです。
親権者と契約者が同一でない場合、初めは子どものために将来渡すつもりでも、将来どのような経済状況になっているかわかりません。
新しい家庭を持っているかもしれませんし、もしかするとお金に困っているかもしれません。
子どものための学資保険ですが、渡してくれない、また満期まで待たずに途中で学資保険を解約してしまうといったケースもあるといいます。
離婚後、時間がたつほど名義変更をお願いするのは難しくなっていきます。離婚をしたら、トラブルを避けるためにも速やかに契約者や受取人変更手続きを行いましょう。
契約者死亡の場合の受取人はどうなる?
契約者が死亡した場合には、契約時に指定した「後継保険契約者」が新たに契約者や受取人を決定します。基本的には契約者の配偶者、祖父母などが後継保険契約者となります。
そして一般的に、後継保険契約者がそのまま新たな契約者になるケースが多いです。
また、受取人が死亡した場合にはその旨を保険会社に通知する必要があります。学資保険の多くは払込免除特約が付帯していますので、「払込免除の申請」を行う必要がありますし、速やかに保険会社への通知を行いましょう。
まとめ
学資保険の受取人を誰にしたらいいのかは各家庭により事情が異なるため、誰にするべき、というのは一概には言い切れませんが
- 一般的には税金の関係から契約者本人であることが多い
- 離婚時や契約者死亡時などには速やかに手続きを行ったほうがよい
ということが言えます。
学資保険契約の際の参考にしてみてください。
ただし、給与所得者(サラリーマン)の場合には所得が20万円までは非課税となります。学資年金タイプでもかなり高額な契約でなければ、給与所得者の場合には非課税だと思っておいていいでしょう。しかし自営業の場合にはこうした非課税枠がないため、雑所得はそのまま課税対象となりますので注意してください。